桑の海 光る雲

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書道について40

2008-01-05 21:23:01 | 日記・エッセイ・コラム

○3年生の頃①

3年生になって、書コース内で新しい企画が持ち上がった。それは、学生が作品を発表する機会を増やすために、6月に大学内のギャラリーでグループ展を開こうというのである。

話はあれよあれよという間に広がり、十数人のメンバーが集まって、展覧会を開くことになった。展覧会の名称は、大学周辺の麦畑が色づく頃だということで、「麦秋展」ということになった。

展覧会の企画運営は学園祭の書展で慣れているので、それに従って準備を進めた。作品制作に当たっては、事前に批評会を行ったのが新しいことであった。これがために、参加者は皆結構真剣に作品制作に打ち込んだ。コンセプトとしては、なるべく普段書いたことがないような書風に取り組むということであった。

私はこの頃関心を抱いていた北魏時代の「石門銘」の書風による楷書作品と、鷄毛筆を用いた漢字仮名交じり書を発表することにした。前者は特有のアンバランスな、それでいて雄大でおおらかな文字の結体を表現するのが難しかった。後者は高校時代に使い慣れた鷄毛筆と宿墨を使って、これまたとっておきの題材・南こうせつが歌った「夢一夜」の歌詞を書いた。鷄毛筆特有の線と、宿墨特有の墨色を生かしつつ、歌詞の内容(男の私には正直言ってわかりもしない内容ではあったが)を表現することに苦心した。

実はこの時の記憶というのがほとんど無い。批評会の時、ある1年生が同じ詩文をいくつもの書風で書き分けてきて、さも自分は豊かな才能を持っていると言わんばかりに講釈を垂れて皆の顰蹙を買ったことを覚えているが、それ以外の批評会の様子は全く覚えていない。また、他のメンバーがどんな作品を書いたのか、2,3人の学生のものしか記憶がない。展覧会の様子がどんなであったかも全くと言っていいほど記憶がない。ただ覚えているのは自分のことばかりで、「夢一夜」を違うコースの女性の先輩がとても褒めてくれたことと、この展覧会の作品に使うために友人のために刻した印を、当時技官だった小西斗虹先生(篆刻を専門にやっておられた)が大変評価してくれたことである。

この麦秋展は、これ以降書コースの年中行事となった。私が大学院1,2年の時は、私が中心になって企画・運営をした。批評会は第1回の時しか行われなかったけれど、麦秋展は現在も開催されているのは嬉しいことである。

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