ゲートの横に入山届けがあるので記入する。見るとけっこうな数の人が入山しているのがわかる。週末だともっと混雑するのだろう。平日にしておいてよかった。
ここから約1時間半の林道歩きである。許可された車はこの林道を終点の取水口まで行けるのだそうだ。ネット上の山行記録を見ると、偶然そうした車と遭遇し、乗せてもらったりしているケースがあるようだ。私も淡い期待を抱いたが、結局遭遇しなかった。
林道歩きは実に単調で、しかもザックは重く、歩き始めてすぐに感じ始めた肩の痛みは、間もなくシビレに変わったように思えた。いい加減うんざりした頃に取水ダムに着いた。ここには駐車場があり、一台のワゴン車が停まっている。きっと事情のある人が入山しているのだろう。帰りにでも一緒になれるとありがたいのに、と思った。
ちなみにここまで誰とも会わなかった。以前ゆわんと村宿泊者10,000人目を答えるクイズで当選し、賞品としていただいた鈴を付けており、ずっと大きな音を立ててくれていたので、熊の心配はなかったが、それにしても深山奥深くを長時間一人で歩き続けるのはやはりちょっと怖かった。
取水口からいよいよ山に入る。初めは緩やかな川沿いの道を登っていく。いや、登っていくというほどの斜度はない。しかし、川岸のあちこちに大きな岩が点在しているので、それをよけるために結構アップダウンがある。
30分ほど歩くと、赤いテープが下がっているところに着く。ネットで見た最初の渡渉地点である。ここで登山靴を脱ぎ、ウェーディングシューズに履き替えるのである。ウェーディングシューズでなくても、普通のスニーカーでも何とか歩けるとも書いてあった。実際、渡渉地点には誰かがはいたスニーカーが何足か落ちていた。きっと、渡渉用の靴を持ってこなかった人が履き終えたものをここに放置し、同じように持ってこなかった人が使い回しているのだろう。(あるいは、ただ単に捨てたのかも知れない)
目の前の沢は30㎝ほどの水深がある。流れは緩やかだ。登山靴をザックに入れ、ウェーディングシューズに履き替えた。そしていざ水に入ろう、と思ったその時のことである・・・