桑の海 光る雲

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つれづれなるままに17・耶律楚材のこと①

2006-01-28 21:07:05 | 日記・エッセイ・コラム

書作品には、漢詩を書くことが多い。その題材を集める中で、大学1年の時、私は岩波文庫の「中国名詩選」という本を入手した。その後、その中から内容的に共感する詩を選んで、ページに折り目を入れ、展覧会ごとにその中から、季節や気分に合う詩を選んで書いていた。

その中に、耶律楚材という人の詩「西域河中十詠」という題の詩が一首掲載されていた。耶律楚材は高校の時世界史で名前が出てきたことがある。世界史の授業で習った内容は、入試に関係なかったこともあってほとんど忘れていたが、この人は珍しい名前だったので覚えていた。

その「西域河中十詠」は、チンギス=ハンの西征に従って中央アジアに出かけた耶律楚材が、当時河中と呼ばれた現在のサマルカンドで、当地の景物を題材にして詠んだ詩である。

詩の中には葡萄、杷欖(スモモの一首)、鶏舌肉(スパイスを利かせた鶏肉)、馬首瓜(ラグビーボールのような細長い瓜)、流沙といったシルクロード地方の景物が詠み込まれ、極めて異国情緒に満ちた詩となっている。兼ねてからシルクロードにあこがれを抱いていた私は、この詩に強く惹かれ、グループ展のために、この詩を用いて楷書作品を制作し、発表するに至った。

「中国名詩選」には「西域河中十詠」のうちの一首しか掲載されていない。「十詠」ということは、他に九首あるはずである。私はその九首を何とかして読みたいと思い、大学の図書館に向かった。

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