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桑の海 光る雲

桑の海の旅行記・エッセー・書作品と旅の写真

鳳凰山

2020-08-20 18:14:40 | 旅行記
8/18,19

以前北岳に登ったときに八本歯のコルから振り返ってみた鳳凰山の姿が忘れられず、いつか登りたいと思っていました。また、稜線の真っ白い砂地に咲く赤いタカネビランジの花も見てみたいとずっと念願していました。

本来は夜叉神峠から薬師岳小屋泊まりで登る予定でいたのですが、今年のコロナ関連の諸事情から、急遽青木鉱泉からドンドコ沢を登って鳳凰小屋に泊まり、稜線を歩いて中道を下ってくるルートに変更しました。災害で不通になっていたドンドコ沢のルートが8月8日から再開したのも、このルートを選んだ理由です。

「日本百名山」の深田久弥が、小林秀雄(評論家)・今日出海(作家)と一緒に登ったこのルート。寝不足のまま登った今日出海は、登山中に深田久弥の命を受けた小林秀雄からステッキで叩かれながら登ったと書き残しています。確かにふらついた足下ではいつ崖下に転がり落ちるかわからないほどの急峻なルートでした。

しかし途中にはいくつもの滝がちょうど良い具合に位置しており、滝に着くたびに休憩して涼風に吹かれながら息を整えました。中でも最後に見た五色の滝は姿も美しく、水しぶきも心地よいものでした。そして、滝の右の崖には今回の登山の目標の一つでもあるタカネビランジがたくさん咲いていたのも印象的でした。

五色の滝を過ぎると傾斜が緩やかになり、沢の中の砂地を歩いて行くと鳳凰小屋に着きました。鳳凰小屋はまさに昔ながらの小屋という感じでしたが、山小屋でカレーを頂くのは初めてで新鮮でしたし、ソーシャルディスタンスを広く取った部屋で隣になった方とは話も弾みました。小屋の下に咲くタカネビランジや、山梨で絶滅危惧種に指定されているシラヒゲソウも見ることができました。

翌朝は、最初の地蔵岳までの登りが実にきつかった。今回の登りで一番大変だったかも知れません。前半の樹林帯の登りは斜度もきつく、砂地に出てからは砂に足を取られて思うように進めず困りました。でも賽の河原に着くと、目の前に甲斐駒ヶ岳と仙丈ヶ岳がどーんと聳えているのが目に入り、いずれも昨年登頂した山だと思うと、実に感慨深いものがありました。振り返ると後ろには観音岳の向こうに、雲海の上に青く聳える富士山が眺められました。

地蔵岳のオベリスクには登ることができないので、途中まで上がり、ちょうど見頃のホウオウシャジンとタカネビランジを探してカメラに収めました。また、タカネビランジの花の咲く向こうに甲斐駒ヶ岳や北岳が聳える様子をカメラに収めたかったので、そうした場所を探して写真を撮っているうちに、ずいぶんと時間が経ってしまいました。本来ならこの時期はたくさんの人が山にいるはずですが、この日は平日でもあり、コロナ騒動でそもそも山にはほとんど人がいません。単独行の私は記念写真を写すのに難儀しました。

アカヌケ沢の頭から眺めた景色も素晴らしかったです。ここでようやく北岳・間ノ岳・農鳥岳の白峰三山が姿を見せました。振り返ると北には八ヶ岳・蓼科山。北西はるか遠くには北アルプスの山々。さらに遠くには火打山・妙高山まで見えます。北東方向には浅間山など上越の山々から金峰山を初めとする奥秩父の山々、東には深田久弥終焉の地である茅ヶ岳が見えました。

ここからは深田久弥も賞賛した真っ白い砂の道が稜線に沿って続きます。これをたどりながら、右手にはずっと北岳を眺め、足下にはタカネビランジの花を見ながら、雲一つない空の下、心地よい風に吹かれながら軽快に進んでいきます。それにしても、めったにない最高の天気なのに、北岳にも間ノ岳にも誰も登っていないというのはなんとも不思議です。(ひょっとしたらトレランの人などが登っているかも知れませんが)

鳳凰山の最高点の観音岳に到着しました。ここは岩が積み重なっており、たまたま一緒になった方々(前夜鳳凰小屋でテン泊された自衛隊の皆さん。日頃の訓練の甲斐あって立派なガタイにテン泊用の大きな荷物を背負って軽快に歩いて行くのはさすがだなぁと思いました。)に写真を写していただくことができました。それにしても若い方はスマホで写真を撮り慣れているだけあって、皆さんこちらがお願いしたとおりの写真を写して下さるのが嬉しいです。(昔はなかなか上手く撮れず、思い通りの写真が撮れるまで何人もの人にお願いしたり、撮影後に手元不如意でカメラを落とされカメラが壊れてしまい、同行していた人のカメラを借りて写真を写さなければならなくなったりしたこともありました。)観音岳からの眺めも素晴らしく、30分ほど、誰もいない山頂での時間を楽しみました。特に、山頂から見える多くの山々に登頂したことがあるのは、これまた毎度のことながらなんとも感慨深いものがありました。

観音岳から薬師岳までも、真っ白い砂が敷き詰められた美しい稜線でした。正面に富士山、左手に白峰三山、足下にはタカネビランジ。美しい光景をまさに独り占めしながら到着した薬師岳の広い山頂には誰もいません。自衛隊の人たちも直前に下山をし始めたところでした。やむなく山頂標や行先標の上にカメラを置いて、セルフタイマーで記念撮影をしました。そして、この後もう見ることができない山々の姿を目に焼き付け、毎度の事ながら後ろ髪引かれる思いで中道を下りました。

中道は聞きしに勝る長さ。うんざりするほど下り続けますが、途中わずかに平らなところがあり、そこで息をつくことができました。標高が下がるにつれて気温が上がっていくのがよくわかります。終わりに近づいたところでトレランの男性に抜かれましたが、この方はこの日の6時に青木鉱泉を出て約6時間でここまで走ってきたとのこと。毎度の事ながらトレランの方のすごさには感心させられます。

もううんざりと思った頃に廃屋が見え、登山口の林道に出ました。右手に沢の音を聞きながら林道を下ります。青木鉱泉の手前に川を渡る近道があると聞いていましたが、先頃の大水で川を渡るのが困難だとの情報を耳にしていたので、そのまま林道を、青木鉱泉の入り口の橋まで進み、橋を渡って青木鉱泉に戻りました。駐車場では先ほどのトレランの方と再会し、やはり近道で川を渡るのに難儀したとのことでした。私のすぐ後に続いていた自衛隊の皆さんも近道を通って川を渡るのに難儀したようで、結局林道を最後まで歩いた私の方が早く着くことができたようです。

今回の鳳凰山は、素晴らしい天気に恵まれ最高の登山でした。しかし、最初の地蔵岳の登りと最後の中道の下りは、ここ何回かの登山の中では特にハードなものでした。






























南八ヶ岳縦走

2020-08-05 19:55:46 | 旅行記
8月2日(日)
梅雨明け最初の日曜日。昨年麓まで来ながら諸事情で見送った南八ヶ岳を、反時計回りで縦走してきました。
八ヶ岳は以前10月に赤岳に登ったのと、7月に高山植物を見に横岳に登ったとき以来3回目ですが、今回は初めて硫黄岳まで縦走することにしました。反時計回りの縦走にしたのは、ヤマレコで北沢から硫黄岳までのルートが長いことを知ったこと、以前赤岳に登ったとき、赤岳から横岳へ向かう斜面が急で、これを登りたくないと思ったからです。結果的には反時計回りにして正解でした。
普段は単独行がほとんどなのですが、今回は珍しく同行者が一緒です。若くて体力もある同行者には申し訳ないと思いつつ、初めて八ヶ岳に登る同行者の道案内のつもりで登りました。
・赤岳山荘~行者小屋
去年の台風で登山道が荒れ、ルートが付け替えられたとおぼしきところも多く、何回かルートを見失うことがありました。先行する6人組に頼りっぱなしでした(たまたま前後になった皆さんでしたが、彼らのおしゃべりも楽しませてもらいました)。
・行者小屋~赤岳
文三郎尾根のルートを採りました。2回目ですが実にきつかった!しかしコースタイムでは赤岳への分岐まで1時間かかりませんでした。
途中小休止のたびに後ろを振り返り、蓼科山や遠く雲間に見え隠れする北アルプスの山々を眺めました。南アルプスの山々も見えました。特に昨年の同じ日に登頂した甲斐駒ヶ岳が見えたのは感激でした。
赤岳への登りは、前回手袋なしで登って懲りたので、今回は忘れずに持参しました。山頂では残念ながらガスがかかって富士山は見えませんでした。つい30分くらい前までは見えていたそうなので残念でした。山頂は例によって混雑しており、写真を写して早々に下山しました。
・赤岳~横岳
ここでも後半は手袋を付けました。前回来たときは高山植物を見に来たわけですが、今回は時期が過ぎており、ウルップソウやチョウノスケソウの残骸ばかり。チシマギキョウは見頃でした。横岳の山頂も前回は誰もいなかったのに、今回は結構な数の人がいました。この辺りでは東側はすっかりガスがかかってしまいました。
・横岳~硫黄岳
横岳からは大同心が見えました。クライマーがいたのはびっくり。後で調べたらクライミングの名所だったのですね。硫黄岳山荘までは火山らしくざらざらと歩きにくい道。硫黄岳への登りは平たい石が積み重なり、これはこれで歩きにくい道でした。途中でとても珍しい白いチシマギキョウを見つけました。気がついた人はどれくらいいたことでしょうか?
・硫黄岳~赤岳鉱泉
硫黄岳は平たい石が敷き詰められた広い山頂です。こんな山頂はなかなかありません。快い風が吹き、北側の眺めの良いところで昼食にしました。一瞬雲が切れ、赤岳~阿弥陀岳が見えましたが、すぐに雲に隠れてしまい、そのまま見えなくなってしまいました。赤岳鉱泉への下りは単調ですが歩きやすく、コースタイムより大分早く下りることができました。
・赤岳鉱泉~赤岳山荘
赤岳鉱泉はたくさんの人で賑わっていました。若い人が多く、テントもたくさんありました。ここから林道終点(堰堤広場)までが意外と長く疲れました。また林道も思った以上に長く、疲れた足で登山靴で約30分林道を歩いたので、最後はかなりバテました。
3回目の八ヶ岳でしたが、後半は初めて歩くルートであり、また同行者もいたので、いつもと違った楽しさのある山行でした。同行者もいたく感激してくれ、連れてきて良かったと思いました。






























大江湿原のワタスゲ

2020-07-05 18:17:22 | 日記
尾瀬の大江湿原のワタスゲが、今年は当たり年とのことなので、見に行ってきました。今日は予報では曇り、しかし尾瀬の方の空は明るかったため、日中は何とか天気は持つのではないかと予想して出かけたら、幸いなことに下山途中で少し雨がぱらついたほかは何とか天気は持ってくれました。
ワタスゲは確かに見たこともないくらいたくさん咲いていましたが、ピークは先週だったようです。一方でニッコウキスゲのつぼみも至る所にたくさん見られ、こちらも昨年同様の当たり年になりそうです。
大清水から一ノ瀬まではバスを利用したので、正味4時間ほどのお手軽ハイキングでした。

































今年最初のハイキング

2020-05-28 19:01:19 | 旅行記
今年最初のハイキングは前日に登山口が開放された尾瀬へ。(一応県境は越えておりません。)
水芭蕉はまさに見頃で、しかもここ数年では一番きれいに咲いているように思えました。
こんなに人が少なく静かな尾瀬は初めてです。のんびりと尾瀬ヶ原を一周し、約20㎞を歩きました。




































那珂川町のイワウチワ

2020-03-21 22:45:20 | 日記
友達のAさんが昨年見に行き、今年は私も是非見に行きたいと念願していた、栃木県那珂川町富山のイワウチワ群生地に行ってきました。
植林されたヒノキ林の林床一面にイワウチワが大群落を作っており、それはそれは見事でした。特に尾根筋の日当たりの良いところは、遊歩道の左右に一面に咲いていて、とてもきれいでした。
写真ではわかりにくいかも知れませんが、イワウチワの花は意外と大きく、大人の人差し指の先くらいの大きさで、花の直径は2㎝ほどもあります。花の色は咲き始めはやや濃いめのピンクで、開くに随って白くなっていきますが、ピンク色のやや濃い個体とほとんど白の個体とが混在していました。
那珂川町には群生地が同じ谷沿いに2箇所あり、手前の舟戸群生地は観光バスも入り多くの人が訪れているようでしたが、こちらは駐車場から1㎞以上歩かなければならないので、私はネットで調べて奥の金谷群生地に行きました。ここまで足を伸ばす人は少ないようで、のんびりと小1時間ほど写真を撮りながら見て回ることができました。
今日明日がちょうど見頃です。可能なら来週は高萩の横根山のイワウチワの群生地にも行ってみたいと思っています。こちらはイワウチワの大群落の間を登山道が通っているそうなので、いっそう楽しみです。













































桑海書作展

2020-02-27 20:33:03 | 日記
このたび初めての個展を開催しました。34点の作品を展示しました。1/3の作品が新作で、残りの作品は学生時代から今日に至るまで発表してきたものです。












































































2回目の紅白歌合戦観覧

2020-01-11 18:23:21 | 日記
本年もよろしくお願い致します。
昨年の大晦日には、5年ぶり2回目の紅白歌合戦を観覧してきました。今回も2回目とは言いながら最高のひとときを過ごすことができました。今年から観覧応募ハガキを出したい人もいるようなので、その辺りからのいきさつや要領も併せて書きます。
・10月頭
NHKホームページに応募要領が出ます。今回も年賀状の失敗したのと使い残りを郵便局に持っていき、お金を追加して往復ハガキ100枚に交換、プリンタで印刷して、前回当たったときと同様に何カ所かのポストから日を分けて少しずつ発送しました。返送されてくるハガキには、当落に関係なく1枚ずつ番号が振られており、いっぺんに発送するとそのまとまりごとに近い番号、あるいは連続した番号が振られ、当選の確率が下がるように思えるからです。
私は初めて応募した7年前から毎年100枚出していますが、嵐ファンの中には今年1,000枚出して当選した人もいるとか。しかし、後述する隣の席の人や電車で一緒になった方々は10枚くらいしか出していないそうです。でも倍率が年々上昇し、前回(6年前)は700倍、今回(昨年)は1,000倍で、今年(2020年)は嵐の活動休止と重なるので、さらに倍率が上がることは必至です。また、来年(2021年)はNHKホールが改修のため、東京国際フォーラムで開催されることが決まっています。ここはNHKホールに比べてキャパが多く、嵐が活動休止後であるため、来年の当選確率は今年よりも下がると思われます。
・12月頭
当選通知及び落選したハガキが届き始めます。前回当たったときは当選ハガキが封筒に入れられて普通郵便で届きましたが、チケット転売が法律で禁止されたためでしょうか、今回は当選ハガキと、偽造防止を施した別の当選通知が一緒に封筒に入れられて、簡易書留で届きました。当選通知は必ず返信ハガキが届き始める初日に届きます。当選通知が届かずいきなり落選ハガキが届いたときは間違いなく落選です。今回は当選通知が届いた日に不在にしており、不在通知に「NHK」とあったことで当選を知りました。
当選したらすぐしなくてはいけないのが、ホテルの手配です。都内の人は問題ないと思いますが、何しろ終了が23:45、ホールを出るのは0時過ぎになるので、遠方の人はその日のうちに帰れません。都内ではカウントダウンライブも多く開催されており、特に渋谷周辺でのホテルの確保は至難の業です。しかし、大晦日の夜は山手線や中央線は終夜運転をしています。私はそれを知っていたので、2回とも渋谷でなく池袋に泊まりました。渋谷や東京駅近辺を外せばホテルは比較的楽に確保できますし、25日以降は一気にキャンセルが出るので、そこを狙うのも方法です。私は1回目の時はこれで池袋のホテルを確保しました。当日隣の席に座った安中のご夫婦も、この方法で渋谷のホテルを確保したそうです。遠方の方は飛行機や新幹線も押さえないといけませんね。当日反対隣の席のご婦人方は北海道から見に来ていましたし、帰りの電車で一緒になったご夫婦は新潟から見に来ていました。
・当日
15時から渋谷のNHK前の引換所で座席指定の入場券が配られます。NHKの敷地に入る際には当選通知を見せなくてはいけません。また、1枚の当選で2人入場できるのですが、前回は1人で引換所に入場し、もう1人の分の入場券も一緒に交換してもらうことができたのですが、今回は2人一緒でないと交換できないことになっています。早く並ぶと良い席が当たると信じられているのか、15:10頃到着した頃には既に大行列ができていました。ここで前述の安中のご夫婦と列が前後になり(なんと偶然にも会場での席も隣り合わせになりました)、いろいろ話をしました。そのご夫婦は火曜日夜に放映されているうたコンに何度も当選されているそうで、紅白当選は初めてとのことでした。列は順調にはけていき、7つあるブースに順番に振り分けられていきます。ここで当選ハガキを渡し、写真入り身分証明書を提示します。すると、パソコンがランダムに選んだ席番号がチケットに印字されたものを渡されます。前回は3階席の一番後ろの方でしたが、今回は2階席の2列目。歌手の顔も見えるし、ステージ全体も見渡せるかなり良い席のようです。チケットを渡されると手首にリストバンドが巻かれ(終わった後これが外れなくて、結局はさみで切って外した)、手の甲にスタンプを押されます。これで受け付け終了。17:45の入場まで時間を潰すのですが、私はホテルに戻ってチェックインし、駅のレストラン街で夕食を済ませました。大晦日はどこもレストランが早じまいし、もちろん終了後に食事ができるところはどこもなく、入場前の早い段階で食事を済ませておくのが良いと思います。
・19:15番組開始
本番直前、暗いステージ上に出場するアーティスト達が並びます。前回より人数が明らかに少ない。セットも中央の階段状のセットと、両脇の石柱のセットだけで殺風景なので、なおのこと寂しく見えます。実際の放映ではプロジェクションマッピングで華やかな映像が出るのだろうと思われました。
新国立競技場からの録画映像が流れ、いよいよ番組開始です。前回は中央の階段をアーティスト達が一斉に下りてきて、ステージ上に居並んでスタートしたので、これから始まるというわくわく感がたまらなかったのですが、今回の最初からステージ上に並んだ形でのスタートはちょっともの足らなかったです。
なお、ステージ上方には、テレビの放映では映らないように大きなモニターが設置されており、三階席後方の観客はこちらを中心に見ることになります。また、遠い席の人のためにオペラグラスのレンタルもあります。

◎印象に残ったアーティスト
以下、印象に残ったアーティストについて感想を書きます。批判的なコメントも書きますが、そのアーティストのファンの方ごめんなさい。取り上げられていないアーティストについては特に印象に残ったことはなかったということであしからずご了承下さい。

*郷ひろみ:トップバッターでしたが、ステージ上が出場者で雑然としているうちに歌が始まってしまい、前回の時のような観客も含めた「億千万!」コールも抑え気味で、ちょっとかわいそうでした。
*島津亜矢:名曲「糸」を歌いましたが、本当なら自分の歌を歌いたかっただろうに、これまたちょっとかわいそうでした。何とか中島みゆきを引っ張り出して歌わせたいですね。
*天童よしみ:今回はアーティストの衣装の色と照明やプロジェクションマッピングの映像の色がかぶってしまうケースが多く、中でも天童よしみは一番かわいそうでした。
*AKB48
例のグループの中で唯一知っている曲を歌ったところは良かったのですが、いろんなグループのメンバーが大量にステージ上に登場したので、ほとんどカオス状態。テレビでは一部だけ映し出されていたのでしょうが、ステージ全体を見るとはっきり言ってわけがわからず、この演出は失敗だと思いました。
*LiSA
この人を見たのも歌を聴いたのも初めて。アニメの主題歌とのことですが、私個人としては今回の紅白でベスト5に入る熱唱でした。
*坂本冬美
こういう懐かしい名曲を、しみじみとそして力を込めて熱唱してくれると、20世紀の頃までの紅白を思い出しますね。あの頃観覧に行きたかったです。
*King Gnu
このグループを見たのも歌を聴いたのも初めて。これまた熱唱で、特に声量と声の高さに圧倒されました。こういう一般にはあまり知られていない、けれど一部の人には強く支持されているアーティストを探し出してきて出演させるのは、最近の紅白の一つの方向性ですね。この紅白を機会に顔と名前と曲が知られ、さらにメジャーになっていくことでしょう。
*福山雅治
事前にパシフィコ横浜からの中継ということがわかっていたので、トイレに立つ観客多数。はっきり言って全出場者の中で会場が最も”盛り下がって”いました。内村光良から「来年こそは是非来て下さいね~!」と言われて「は~い!」と答えていましたが、多分口約束でしょう。歌の前のコントは面白かったですが(聞くところによると、今年の大晦日、福山雅治はライブ等の予定はないそうです。ひょっとして。。。)。
*Little Glee Monster
NHKのラグビーで何度も耳にした曲ですが、本物を聞くとやはり良いですね。
*DA PUMP
メドレーということでしたが、実際は2曲だけ。でも「U.S.A.」を実際に聞くことができたのは良かったです。会場も盛り上がりました。
*Official髭男dism
これも初めて聞きました。ボーカルの声がよく響き、透明感もあって胸に響きました。このまま一発屋で消えてしまわないことを願うばかりです。でも、グループ名、もう少し普通の名前にできなかったのかな?私も初めて名前を聞いたときはコミックバンドか芸人か何かかと思ってしまいました。
*水森かおり
歌よりも“イリュージョン”ばかりが先立って、失敗の演出。演歌歌手なのだから、じっくり歌を聴かせて欲しい。小林幸子が出場しなくなった今、巨大衣装でアピールする方がずっと良いと思いました。
*椎名林檎
昔はあの歌いっぷりがあまり好きでなかったのですが、昔の荒々しさが穏やかになってずいぶん聞きやすくなったように思います。
*三山ひろし
けん玉は途中で失敗して新記録達成ならず。でも、けん玉挑戦シリーズはもう飽きました。普通にじっくり歌を聴かせて下さい。
*Perfume
ステージと映像と照明が一番凝っていたのがこのグループ。前半はほとんど音とダンスばかりで、後半で歌が入りました。でも不思議な迫力と魅力を感じました。
*星野源
歌は悪くなかったのですがやはり中継(録画)だったので魅力は半減。中継とわかるや、福山雅治の時と同様、多くの観客が席を立ちトイレに向かいました。
*石川さゆり
本人は新曲を歌いたいのでしょうが、恐らく「津軽海峡冬景色」か「天城越え」のいずれかを歌うという条件付きで紅白に出させてもらっているのでしょう。いずれにしてもキーの高さも声量も歌い方も40年前と全く変わらないのは驚異的です。これこそ本物のプロの歌手と言えるでしょう。
*RADWINPS
これもステージでなく別のスタジオで歌っている中継でした。私も生演奏が聴けるかと期待していただけに残念。中継とわかったときの会場のがっかり感は、竹内まりやの時とこのRADWIMPSの時が特に大きかったように思います。
*Superfly
Lisa、MISIAと並んで熱唱に圧倒されたうちの1人。ただ、歌に合わせてオレンジ色の衣装を着てきたのに、照明までオレンジ色にしてしまったものだから、せっかくの衣装が映えずかわいそうでした。
*菅田将暉
この人の歌を聴いたのも初めて。でもなかなか良い声をしているし、米津玄師の歌もよくできているので、両者が上手くマッチして聞く人の心に響いたのだと思います。
*いきものがかり・ゆず
いずれも名曲を歌いました。安心して聞けます。
*松田聖子
始めと終わりのところで「聖子~!」と叫びましたが、どちらも目立たなかったようで残念。前回見たときの「赤いスイートピー」というバラードと異なり、今回のメドレーは「夏の扉」のようなアップテンポの曲も入っていたので、聖子自身も大きく体を動かしノリノリでした。1階席は途中から総立ち。1階席の最後列に座っていたラグビー日本代表は必然的に全員立たないわけにはいかず、一般の観客と一緒になって曲に合わせて体を動かしていました。
*氷川きよし
龍に乗ったパフォーマンスは、実は今から30年以上前にユーミンが自分のコンサートで行っており、私は以前DVDでそれを見たことがあったので、真っ先にそれを思い出してしまいました。龍は1階席の前の方までせり出し、1階席の観客は結構怖かったかも知れません。歌は男性歌手の中ではKing Gnuと並んで熱唱で圧倒されました。
*MISIA
今回最高の歌唱を見せたのがMISIA。ネットでも絶賛されていました。LBGTに関わる演出もされていましたが、とにかく「Into the light」がすごかった!単なるがなり声を上げているのではなく、ホール全体にマイクなしでも届くようなまさに“熱唱”の言葉がぴったりでした。前回見に来たときはナミビアからの中継だったので、生歌を聴けて本当に幸せでした。本来の“歌唱”という点では、今回の紅白では明らかに女性歌手の方が勝っていたと思います。

◎特別コーナー編
最近特別コーナーが増えてきました。今年は多すぎたと思います。1組か2組登場してこそ“特別”なのであって、こうまで続けて登場しては価値がありません。

*ディズニー映画と夢のステージ
前回見に来たときは「アニメ紅白」というコーナーがあり、私はそのコーナー全部をトイレ・休憩タイムにしました。こう言ってはなんですが、こういう子ども向けコーナーは紅白には全く不要なものだと思います。
*YOSHIKISS
まさかKISSがステージに登場するはずもなく、もちろん録画でちょっとがっかり。わざわざ特別コーナーにする意義はあったのでしょうか?
*美空ひばり「あれから」
テレビで2度、既に見ていたので何の感興も湧きませんでした。美空ひばりを実際に見ている世代には、何だか気味悪く感じたし、故人への冒涜に思えてなりませんでした。歌そのものは悪くないのですが。
*ビートたけし「浅草キッド」
前回見に来たときは美輪明宏が「ヨイトマケの歌」を歌い、3階席でも思わず涙してしまったのを覚えています。正直言ってあまり期待していなかったのですが、今のビートたけしとして精一杯の“熱唱”であり、しみじみと胸に響き、いい歌を聞けて良かったと、最後には思いました。
*竹内まりや
今回一番がっかりしました。ステージで歌うものばかりと思っていたからです。「中継」という言葉が聞こえた瞬間、観客席全体が落胆ムードに包まれました。紅白初登場と謳っておいて結局スタジオからの中継。まぁ、中島みゆきも2回とも中継なので致し方ないとは思うのですが、大規模なオーケストラやバンドを従えているわけでもないのに、なぜステージでなくスタジオからの中継になったのか知りたいところです。歌そのものは良い歌だったのですが、落胆の方が先に立ってしまって、あまり感動できませんでした。
*松任谷由実「ノーサイド」
今回の紅白で最も楽しみにしていた曲。この歌を聞くために会場に来たと言っても過言ではありません。もちろんこの歌を挿入歌にしたNHKのラグビー日本代表の活躍を取り上げた番組の焼き直しということはわかっているのですが、私自身ユーミンの曲の中でベスト10に数えている名曲中の名曲を、生で聞けるのが楽しみでなりませんでした(今まで見た2回のユーミンのコンサートでは聞くことができませんでした)。
ステージ上に、昨年同様に地味な衣装のユーミンが現れただけで、すっかり舞い上がってしまいました。そして松任谷正隆の演奏する、おなじみのエレピの前奏が流れ始めた途端、一気に歌に引き込まれます。もちろん往時よりキーは下がっていますが、そんなことは関係ありません。昨今生歌が“痛い”と評判で、今回も心配していたサビの部分の高音も、キーを下げたおかげで無事切り抜けました。バックには日本代表がベスト8を決めた試合と、準々決勝で敗れた試合の映像が次々と流れていきます。もちろんラグビーの試合もテレビで見て感動したわけですが、何より大好きなこの曲が紅白という特別な舞台で歌われているのを直に聞くことができたことに感動し、思わず涙してしまいました。
背景に流れる映像を見ながら、私は今回のラグビーワールドカップ日本大会を目前にして亡くなったミスターラグビー・平尾誠二のことを思い出しました。歌詞に出てくる「あなた」「彼」にそのまま平尾誠二のことが当てはまるような気がしてなりませんでした。
幸いなことにユーミンはフルコーラスを歌い、前奏も間奏も後奏も原曲通り全部入り、まさにフル演奏でした。この一曲を聞いただけで、本当に来て良かったと心から思いました。

嵐の出番が終わり、今年はそれぞれの面が白と赤に塗り分けられたうちわの一方を掲げて、紅組白組どちらが良かったかを示します。前回見に来たときは、このときだけペンライトを赤か白か好きな方に点灯させることができ、それによって結果を集計していましたが、今回はうちわでした。麻布大の野鳥観察サークルの学生が大活躍でした。
中継の多かった白組に対し、紅組はMISIAを初めとして熱唱した歌手が多く、歌だけなら紅組が断然優位でした。実際にゲスト審査員は紅組勝利でしたが、嵐ファンが多くを占める観客と視聴者は白組勝利となり、結果白組の勝利となりました。
表彰が終わり「蛍の光」を合唱し、最後に例年通り紅白のテープが観客席に噴射されて番組は終了。たまたま赤いテープが一本目の前に飛んできたので、たぐり寄せて持って帰ることにしました。前回は終了後に、その会で紅白を卒業した森進一に花束が贈呈されるなどのイベントもあったのですが、今回は最後に司会者達が挨拶をして終了となりました。
ロビーでペンライトを返却し、アンケートを渡してホールを後にしました。外では「青の洞窟」というライトアップイベントが行われており、大きな鐘も設置されています。ちょうど日付が変わる直前だったので、除夜の鐘のつもりでロープを引いて鐘を鳴らしました。
隣の代々木第一体育館では浜崎あゆみのカウントダウンライブがまだ開催中。原宿駅から終夜運転の山手線に乗りました。リストバンドが取れないと話していたら、たまたま横にいたご夫婦も観覧帰りで、同じように困っていました。新潟から見えたというご夫婦と、紅白の感想などを話しているうちに池袋に着きました。
翌朝は前回同様ホテルの和食レストランでおせち料理のバイキングの朝食を頂いて群馬に戻ってきました。

2回目の紅白観覧でしたが、2回目でも最高でした。前にも書きましたが、これだけの数のアーティストのコンサートやライブを全部見るとなると、数百万円はかかるところ、紅白だとハガキ代と1泊分の交通費、宿泊費しかかからないわけで、とてもお値打ちです。
今年の紅白は嵐祭りなので、当選確率はさらに下がると思われますが、例年通り応募はするつもり。それより来年の紅白は、嵐祭りも終わり、改修されるNHKホールに替わって、NHKホールよりもキャパの大きい東京国際フォーラムで開催されるので、当選確率も少し上がると思います。
今年は例年以上に中継が多く、またAKB系及びジャニーズ系のグループが出演者の多くを占めていたことに対する批判が例年以上に多かったと思います。また、特別企画として竹内まりや・ビートたけし・松任谷由実・AIによる美空ひばりは、いずれも歌をじっくり聞かせるもので許容できるものの、それ以外の企画は紅白に必要だったのか、首をかしげずにはおれませんでした。
視聴率過去最低を記録した今回の紅白を受けて、東京オリンピックと嵐の活動休止を前面に出した今年の紅白がどうなるのか、今から楽しみにしておきましょう。

御嶽山

2019-09-17 20:28:09 | 旅行記
9/16(火)に、7月に尾瀬に一緒に行った知人と御嶽山に登ってきました。本当は蓼科山に登ろうかと思ったのですが、熱帯低気圧のため東の方にある山は雲がかかりそうな様子。西の方は猛暑日の予報。よって、日帰り可能でできるだけ西にある山で未踏の山ということで、御嶽山に行き先変更。知人は仕事の関係でもぜひ行ってみたい山ということで変更を快諾してくれました。

自宅から御嶽ロープウェー(実際はゴンドラ)乗り場まで4時間かけて運転し、7時に現地着。ゴンドラで上まで上がれる一番簡単なルートにもかかわらず、駐車場は休日の割にかなり空いていました。

ゴンドラで標高2,000mを超える飯森高原駅まで上がり、7:20に登山開始。さすがに信仰の山だけあり、裸足で登る行者の方がいたのには驚かされました。七合目の行場山荘を過ぎると、登山道は丸太を敷き並べた斜度のきついものとなります。人気の山だけあって、多くの人で賑わっています。しかし、登山道の幅が微妙で、遅い人たちを横から追い抜くことができないのはいささか辟易しました。

それにしても大変な暑さです。日差しもきつく、下界では間違いなく猛暑日になると思われます。3,000mの山なので、今日は長袖のアンダーシャツの上に半袖ポロシャツ、麻混の長ズボンをはいてきて正解でした。登山道は斜面にほとんどまっすぐに付けられており(信仰の山ゆえか?)、とにかく登りにくく、暑さも手伝ってかなり消耗しました。

八合目の女人堂で大休止。右手には乗鞍岳と奥穂高岳と前穂高岳の山頂部、その左には笠ヶ岳と奥穂高岳と北ノ股岳が遠く眺められました。毎回のことながら、いずれの山頂にも足跡を残しているのは感慨深いものがあります。ここまでは御嶽山の山頂部分もよく見えたのですが、ガスが次第にかかってきてしまいました。

ここから山頂までは火山特有の岩礫地を登っていきます。白い砂は5年前の噴火の際の火山灰と思われます。白茶色の岩礫に所々混じって見られる灰色の岩は同じく5年前の噴火の際の噴石と思われます。上に行くに従って火山灰も噴石も増えていき、噴火の恐ろしさを思わずにはおれませんでした。

九合目の石室小屋は、近くに見えながらなかなか近づくことができません。日差しも斜度もきつくなって一層へばりました。石室小屋は、今はエスケープルートもありますが、古くは登山道がこの建物の中を通っていて、ここを通らないと登頂できなかったようです。ここでも大休止。アンケートの協力も求められました。

石室小屋を出て覚明堂の横を通り過ぎると、いよいよ山頂が目に入ってきます。ガスがかからないうちに登頂しようと足を早めました。しかし、これまでと異なって斜度も緩やかとなり、砂礫地となって歩きやすくなったので、山頂を眺めながらの歩みは快調でした。

山頂下にはシェルターが三基設置されています。これが完成したことが、登山道の一部再開につながったようです。シェルターの前に荷物を置き、山頂に続く地味にきつい石段を登って山頂に着きました。スタートして、かなり休憩を入れながら、それでも2時間45分で着きました。時間と距離の割にはかなりきつい登りでした。

山頂からの眺めは素晴らしいものでした。北側の手前には一ノ池と二ノ池、一ノ池の向こうには白山連峰、富山方面は一面の雲海、二ノ池の向こうには、雲はかかりながらも北アルプス方面の山々が見えます。東側には中央アルプスの山々が連なり、左の高まりは木曽駒ヶ岳、南の高まりは空木岳、途中のとがった山は宝剣岳と思われます。さらに遠くの八ヶ岳連峰や南アルプスの山々には雲がかかり、行き先を御嶽山に変更して正解だったことを改めて思い知らされました。

一方で、山頂には東海テレビの取材クルーが来ており、登山客にインタビューをしていました、私たちは声をかけられませんでしたが、インタビューされていた人たちの後ろにはきっと映っているはず。恐らく御嶽山噴火五周年記念番組かコーナーなのでしょう。山頂の社や神像は既に修復されていましたが、社務所や小屋は修復中、周辺の記念碑や灯籠、鐘にも噴石が当たった跡があっただけでなく、山頂に登る石段の手すりにもその跡が生々しく残っており、さらに壊れた石灯籠は、5年経った今でも火山灰に厚く覆われていて、噴火のすさまじさをまざまざと見せつけられ、恐ろしくなりました。

山頂で30分ほど過ごし、シェルターの所に下りて昼食にしました。知人は今回もコーヒーを淹れてくれ、ありがたく頂戴しました。

お昼を食べているうちに山頂はすっかりガスに覆われてしまいました。帰りは黒沢口分岐から火山灰で埋まってしまった二ノ池(残念ながらガスで何も見えなかった)にちょっと立ち寄り、今度は石室小屋へのエスケープルートを通って、再び石室小屋に立ち寄りました。石室小屋を後にし、今度は石室小屋の中を通らないエスケープルートを通り、あとはひたすら下っていきました。登りの時と違って、ガスがかかったおかげで涼しく、快調に下っていくことができました。女人堂で再び大休止。久しぶりに飲んだカルピスウォーター(300円也)の美味しかったこと。大休止の後はひたすら飯森高原のゴンドラ乗り場目指して下っていきました。下りは2時間15分。それでも結構休憩時間は取っていたので、いかに快調に飛ばせたかがわかります。

下山後は木曽温泉で汗を流し、高速とした道を通って帰途に就いたのですが、思いがけず事故渋滞にはまり、予定より30分以上かかってしまいました。今週はあと二回登山の計画があります。いつも単独行の私としては珍しく、二回とも友人などと登る予定。いずれも登ったことのある山に登る予定ですが、前に登ったときとはルートを変えるので楽しみです。後は晴天を祈るのみ。


御嶽山山頂部分


御嶽山山頂標


一ノ池と二ノ池


山頂から白山を望む



山頂から木曽駒ヶ岳と宝剣岳を遠望する

仙丈ヶ岳・甲斐駒ヶ岳

2019-08-03 19:39:12 | 旅行記
今まで何度か企画して実現できなかった仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳に登ってきました。

7/31は、仙流荘まで車で向かい、そこからバスで登山口の北沢峠に行き、そこにあるこもれび山荘に前泊しました。これによって翌朝早朝からの行動が可能になるのです。こもれび山荘の一階は一人一人の寝床がカーテンで仕切られているのが珍しく、寝付きの悪い私には、遅くまで回りを気にせず本が読めるのでありがたかったです。

8/1は、仙丈ヶ岳に登りました。ヘッドライトを持って来ていないので、周囲が明るくなってきた5時に出発しましたが、ルートははっきりしていたので、あと30分早く出ていれば山の上での眺めをもっと堪能できたのにと、ちょっと後悔しました。
大滝頭までは樹林帯を徐々に詰めていく感じで、さほど苦なく登れましたが、大滝の頭から小仙丈ヶ岳までは斜度もきつくなり、稜線をほとんど直登していくのでかなりバテました。途中で森林限界を超えるので、日中の日差しのきつい時間帯はかなり消耗すると思われます。
小仙丈ヶ岳からの眺望は、ガスは出始めていたものの素晴らしかったです。南には富士山・北岳・間ノ岳の“標高ベスト3”が並んで眺められ、さらにその西遠くには、未踏の塩見岳が見えます。東から北にかけては鳳凰三山と甲斐駒ヶ岳、その奥には八ヶ岳が見えます。北から西にかけては北アルプスと中央アルプスが見えるはずなのですが、残念ながら雲が出始めてあまり見えません。しかし、遙か遠くにはっきりと、かつて縦走した槍穂連峰を認めることができ、中でも槍ヶ岳の“穂”と大キレットの形は明確に見てとることができました。
山頂にはガスがかからないうちに到着することができました。居合わせた人たちとの話も弾み、のんびりとひとときを過ごせました。意外と高山植物も咲いていました。そのうちにガスがどんどん出てきて、南と東に見えた山々は見えなくなってしまいました。
下りは一般的には藪沢方面へのルートをとるようですが、小仙丈ヶ岳からの眺望を再度楽しみたいと思い、来た道をそのまま引き返しました。小仙丈ヶ岳まで来ると、遠くの山々は見えなくなったものの、カールの向こうに聳える仙丈ヶ岳の姿はもう一度目に焼き付けました。後は淡々と下って北沢峠に到着したのですが、なんと往復で6時間かかりませんでした。ランチにスープカレーをいただき、本を読んだり昼寝をしたりして、夕食までの時間を過ごしました。

8/2は、甲斐駒ヶ岳に登りました。こちらの山こそ青空の下登頂したかったのと、仙丈ヶ岳よりも時間がかかるため、4時半に登り始めました。北沢から仙水峠に登るルートを取ったのは、眺めが良いのと、ガスがかからないうちに摩利支天と山頂部分を眺めたいと思ったからですが、これは結果的に正解でした。
北沢沿いのルートは淡々と登るだけでしたが、仙水峠から駒津峰への登りは実にきつかった!下山する人がいなかったので、ペースを崩さず登れたのは良かったのですが、今回の山行で一番きつい登りでした。途中からは北岳・間ノ岳・仙丈ヶ岳がきれいに眺められました。
駒津峰の山頂からの眺望も素晴らしかったのですが、仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳には早くもガスがかかり始めました。ここから六方石までの稜線歩き、巻き道の最初の部分あたりは、大きな岩を登ったり下りたりと、三点支持の連続で、朝露で岩が濡れていたこともあり、ちょっとヒヤヒヤしました。そこを過ぎると、甲斐駒ヶ岳の特徴である白い砂の登りの連続です。途中標識が見えにくいところがあり、ルートを間違ってしまうことが2,3度ありました(下山時もそうでした)。黒戸尾根からのルートとの合流点から見ると、尾根を登ってくる人が何人もいるのに驚きました。
山頂は広々としており、あちこちに巨岩が転がっています。朝早いため、私以外には人は1人しかいませんでした。一服していたのを無理を言って写真を写してもらいました。10分ほど静かな山頂で過ごしているうちに、次々に人が登ってきました。前夜の宿で一緒だった人も2人やって来たので、いろんな話をして、これまた楽しいひとときを過ごせました。
小1時間ほどして人がどんどん増えてきたので、下山することにしました。駒津峰からは、仙水峠へ下ると途中かなり多くの人とすれ違うことが予想されたので、行きとは別ルートの双児山へのルートを取りました。結果的にこれは正解で、途中10人ほどの人としかすれ違いませんでした。なお、途中でオコジョがまるまる太った大きなネズミをくわえて運んでいくのを見ました。昨年の雲ノ平周遊の時もオコジョを見かけましたが、南アルプスにも生息しているんですね。
予定通りお昼前には下山できたので、こもれび山荘名物の、今日はタコライスを頂きました。同じテーブルになった方と話していると、なんと礼文島・星観荘宿泊経験者とのことで、思いがけないところで星観荘ネタで盛り上がれて楽しかったです。それ以外にも、山小屋や山頂で一緒になった方々といろいろ話をすることができたのは良かったです。
仙流荘にバスで戻り、バスを降りるとものすごい暑さでした。すぐに仙流荘で風呂に入って汗を流しました。風呂から上がって車に乗ろうとすると、突然雷が鳴りました。早く下山できて良かったと思うと同時に、まだ山にいる人たちは雷雨に遭うのではないかと心配になりました。また、ここ三日間冷房のないところで過ごしていたので、帰りのバスの中の冷房のために頭痛がしてしまいました。

今回の山行も、まずまず楽しめましたが、やはり快晴の空の下、両方の山に再度登りたいと思いました。


小仙丈ヶ岳からの仙丈ヶ岳

仙丈ヶ岳

藪沢カールの向こうの仙丈ヶ岳山頂

仙丈ヶ岳山頂標

小仙丈ヶ岳から見た北岳と間ノ岳

小仙丈ヶ岳から見た甲斐駒ヶ岳

小仙丈ヶ岳から見た甲斐駒ヶ岳山頂部分

ミヤママンネングサ

チシマギキョウ

仙水峠からの摩利支天と甲斐駒ヶ岳

駒津峰からの甲斐駒ヶ岳

六方石からの甲斐駒ヶ岳

甲斐駒ヶ岳山頂標

駒津峰への稜線からの北岳・間ノ岳・塩見岳

駒津峰への稜線からの仙丈ヶ岳

駒津峰への稜線からの鳳凰三山

尾瀬横断ハイキング

2019-07-21 22:50:04 | 旅行記
知人が群馬在住なのにまだ尾瀬に行ったことがないとのことだったので、連れて行きました。知人は結構健脚なので、1日で尾瀬沼も尾瀬ヶ原も行けるようにしました。私は尾瀬には何度も行っていますが、せっかくなので今まで歩いたことのない、大清水から尾瀬沼に入り、尾瀬ヶ原に下って横断、鳩待峠に上がって戻ってくるというルートにしました。このルートは今回と逆のルートが一般的なのですが、幸い車が2台あるため、今回のようなルートが可能になりました。

大清水から一ノ瀬までのシャトルバスは実に快適で、これがあるからこそこのルートは成立したと言っても良いでしょう。今まで約1時間かかった林道歩きが10分で済んでしまうのは夢のようでした。
一ノ瀬から三平下までは短時間で歩けましたが、久しぶりの山歩きだったのと、意外と蒸し暑くかなりへばりましたが、何とか歩き通せました。途中雲の切れ間から日が差すこともあり、沼のほとりからは燧ヶ岳がきれいに眺められました。

知人が長蔵小屋にいる友人と会いたいとのことで行ってみたところ、その友人から、大江湿原のニッコウキスゲが見頃だとの情報を得ました。早速小屋の下に降りてみると、一面にニッコウキスゲが咲き、見事な眺めでした。鹿の害でニッコウキスゲが激減している中、大江湿原は湿原全体を柵で囲っているため、ニッコウキスゲの見事な群落を見ることができるのは幸いでしたが、一方ではいささか寂しい気もしました。

いずれにせよ、もう花が終わっていると思っていたニッコウキスゲの見頃の時期に当たったのは幸運でした。
大江湿原の分岐から尾瀬沼の北岸に回って沼尻に出、新築された沼尻休憩所で小休止。その後白砂湿原を抜けていよいよ見晴までの長い長い下りにかかりました。毎度のことながらこの下りはうんざりします。雨の後で足場も悪く、いささか苦労しました。

見晴に降りると残念ながら至仏山は雲の中。見晴の小屋の前で昼食にしました。のんびりと時間を過ごして北回りで戻ります。東電小屋までは快調に飛ばし、そこからいよいよ次のお目当てのニッコウキスゲの群落に向かいますが。。。え、こんなに少なくなってるの?鹿の害がひどく、ニッコウキスゲはほとんど壊滅状態と言われていたのは本当でした。9年前に見た、一面の黄色い花々はすっかり姿を消し、9年前の半分ほどしか咲いていません。さらに牛首まで先を急ぎ、中田代の群落に足を伸ばすと、言葉を失いました。9年前には見事な群落を作っていたニッコウキスゲが一つも咲いていないのです。ただただ言葉を失うばかりでした(あまりの落胆に、写真を撮りませんでした)。

後はひたすら黙々と木道を歩いて山ノ鼻に向かい、棒のようになった足を引きずるようにして、鳩待峠の急な坂を登り切りました。知人は1日で尾瀬を満喫できたとのことだったので、私自身もかなりくたびれましたが、連れてきて良かったと思いました。