はぐれ遍路のひとりごと

観ながら歩く年寄りのグダグダ紀行

「海から富士山・剣ヶ峰」1日目-3

2013-07-16 11:25:38 | 富士山
 水ヶ塚を12時40分に出発。何となく快調に歩ける気がする。
登山道脇にベトベトしていて触るのも嫌な茸があった。その湿った茸の横には乾いた茸も倒木に付いていた。
この茸は食べる事ができるのだろうか? イヤどうも食べられそうもない---- そんなとき後ろで「ガサ!」と音がした。
慌てて振り返ると角のない鹿がピョッンピョッンと飛び跳ねながら林の中に入って行った。そして立止ってこっちを見ている。
しめた! 慌ててカメラを取り出し鹿の方向にカメラを向けるのだが鹿が分からない。再度肉眼で確認しズームを上げて、
いざ写そうとしたら鹿はゴソゴソと林の陰に入ってしまった。
慌てて撮った写真は。鹿の尻の白い毛だけが写った何とも情けない写真でした。

 

 2合5勺の標識に東に(右)に行くと「幕岩」「御胎内」の表示ある。
まだそこには行った事がないが御胎内辺りが江戸時代の須山口登山道の1合目だったらしい。その御胎内から
幕岩に掛けてが旧登山道で世界遺産の構成資産になっている。
富士山好き、しかも須山口を何度も利用している自分なのに、本当の1合目を知らないなんて恥ずかしい。
ヨシ!今年中に一度歩いてみよう。

 その時は何故か快調で1号5勺で休憩もせずに次の2合目を目指して歩き出してしまった。
道は徐々に山道状態になり周りの景色は苔や緑の草に覆われた林になる。
私はかって青木ヶ原樹海はこの感じを更に苔深くした物だとばかり思っていた、。だが実際に歩いてガッカリした。
時季が紅葉のときだったので地表は茶色の枯葉が覆われイメージが全然違っていた。
樹海も春歩けば苔に覆われた景色を見る事ができるのだろうか?

 倒木地帯に入るが登山道は良く整備されていて倒木はない。ただ須山登山道全体で3本の倒木があったが
どれもが苦労なく跨げるものです。(去年の倒木に今年の分が1本増えていた)

 倒木地帯にある2合目に何とか到着。1号5勺で休憩しなかったためか疲れ果ててしまった。
これからは馬鹿な事は止めよう。小屋に早く着いても仕方ないのだから十分に休みながらゆっくり歩こう。

 

 私のお気に入りの「樅の小道」は、樅が大きく育ったせいか幅広く刈られて風情を失くしていた。
樅の新芽は一見素肌に触れると痛そうだが、実際は柔らかくチクリともしない。

 2合5勺の御殿庭下の辺りからだろうか、虻が何匹か体の周りを飛ぶようになった。ブーンと羽音をたて
顔の近くに来たときは手やタオルで追っ払っていた。そのうちズボンや腕にもたかってくる。
歩いているときはまだ良いが歩きを止めると服やズボンの上に止まってくる。
「イテ!」ザックを下ろした背中を刺されてしまった。それからはパニック状でタオルを振りますようになった。
だいたい富士山でこんなに沢山の虻に襲われるなんて初めてだ。アブは子供の頃に川で泳いでいると
1匹か2匹が襲ってきて、その羽音を聞くと「虻来襲!」と叫んで水中に避難したものだ。
それが水も無い富士山で襲われるとは-----
タオルの使い方も徐々に上手くなりズボンに停まったアブを狙い撃ちをする。地面に落ちてまだ動いているアブを
靴で踏み潰してやる。残酷? トンデモナイ何もしないのに襲ってくるアブの方がよっぽど残酷ですよ。
何匹殺しただろうか?10匹や20匹ではきかない気がするが一向にアブの数は減らなかった。
結局樹林帯が終わる3号5勺の辺りまでは虻来襲は続いていた。

 

 山岳地帯に行くと見かける、木にぶら下がった苔があるが、ここではその苔が地面に落ちていた。
苔を拾おうとすると苔は地表に根を張っている。木に垂れ下がっているだけで養分を摂取できるのに
地面に落ちると根まで張る必要があるのか? 木に垂れ下がった苔とは違う種類の苔なのか?

 フーやっと山体変動観測装置の所まで来た。ここまで来れば後はシメタもので暗くなろうが雨が降ろうが
どうと言うことは無い。タイミングよく霧が晴れて宝永山の一部や火口縁も見えてきた。
今日は曇り時々晴れの状態で景色は見えなかったが汗をかく量が少なくて済んだ。お蔭で疲れも大分違うだろう。
サーノンビリ6合目の小屋に行こう。

 今日は早朝から歩いていて、追い越したり追い越されたりした登山者は居なかったが、擦違った登山者は
2合目付近で1組いた。私と同年配の10人ほどグループで山中湖村に住んでいると言っていた。今日は
水ヶ塚に車を置いて宝永山の入口までの往復だという。私が海から歩いてきたと云うと興味を示して
色々質問をしてきた。お蔭で気分よく話ながら楽しく休むことができた。

 

5時10分。ようやく富士宮口6合目宝永山荘に到着した。フー疲れた。山小屋に入らずベンチで休憩をする。

海からここまで13時間35分掛かっている
去年は    12時間55分だったので40分遅れだ。
歩く前は2時間近く遅くなるのでは思っていたので40分遅れは上出来な歩行速度だ。
データをもう少し細かく見ると

   海岸~弁当場   弁当場~水ヶ塚  水ヶ塚~6合目
今年  6:15      2:20     4:30
昨年  6:00      2:10     4:20

今年の歩行時間は満足だが、6合目に着いての疲れの具合は昨年より疲れている。
先ず何かに寄り掛からなければ座れず。昨年まではあんなに美味しかった氷結も一口飲んでムカっときた。
(それでも我慢して飲むところが意地の汚いとこ)
夕飯は今年は初めてメニューから好きな物が選べるようになっていたが、例年と同じカレーを頼んだ。
だが小屋の人は盛んに「なんでも頼めるのだから良く選んで」と言ってカレーを受けてくれない。
こっちは定食の様な御飯だけだとノツノツしそうなのでカレーを頼んだのにー。
結局小屋の人の勧めもあり、汁もありそうな牛丼にした。
ところが駄目だった。ノツノツしてご飯が喉を通らない。夕飯を食べないと明日に支障が出ると味噌汁やお茶で
何とか残さず食べたが気持ちが悪い。寄り掛かっているのも大変になり横になってしまった。
歩行タイムはともかく疲れは大分溜まったようだ。

 7時に2階の寝部屋に上がる。今日の泊り客は私を含め3人だけなのでお互い離れた寝場所にしてくれた。
今年富士山は世界遺産になったが、今日は梅雨が明けたばかりで、しかも富士宮口は通行禁止がようやく
昨日解除したのだ。更にこの小屋はバスの終点から15分の所なのだから、泊まる人などいる方がおかしい。
と自分の判断に満足を覚えたいところだが、宿の人の話では明日は40人の予約が入っているとか。
新しいもの好きの日本人は恐ろしい!!

 

------------------- ************************** ----------------------------

4月頃から老人性(?)睡眠障害に罹ってから睡眠薬を飲んでいるが、今日はその薬を通常の半分飲んで
布団に入る。
その薬の効果てきめんですぐ寝込むことができた。
ところが10時頃だろうか、ザックの中で何か音がしている。半分寝ボケながら何だろうと考える。
アッ!そうだ。今日は妻の携帯電話を借りてきているのだった。あわててザックから携帯を取り出した。

 アーア携帯の電源を切っておくべきだった。後悔先に立たず。それから先は一睡もできず朝を迎える
羽目になってしまった。
そんなとき考える事はどうしょうもない事ばかりで、胸の不快感や脈拍の早い事が気になりだした。
明日の行程を考えても弱気の虫が起き山した、山頂まで登れるイメージが湧かない。
無理をして倒れでもしたら周りの迷惑になる。どうしよう?
結局布団の中で明日の山頂行は諦めて、来た道を水ヶ塚へ下り幕岩や御胎内に行く事にした。
起床予定の3時のアラームを無視して、そのまま布団の中で時を過ごす。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿