《『コミック版 世界の伝記 ガリレオ』(能田達規著、ポプラ社)》
荒木 まず俺が吃驚したことはさ、ガリレオって19歳にして「振り子の等時性」を発見していたってことだ。そしてそれが何故できたのかというと、
どのようなことでも実験するガリレオの精神が 数かずの新発見を生みだしたのです
〈『コミック版 世界の伝記 ガリレオ』(能田達規著、ポプラ社)<*1>〉そしてまた、
ガリレオはこの後も数かずの発見をなしとげ「近代科学の父」と呼ばれることになりました
ということを俺は知って、如何に実際に確かめてみるということが大事かということを知ったね。吉田 この本の見返しにもあるように、ガリレオは「うたがいを持つことは発明の父である」といっているという。だからガリレオはまずは先入観を捨ててよく観察し、そこから仮説を見出し、それが正しいか否かを実験を繰り返すことによって検証したということになろう。それが彼が「近代科学の父」と呼ばれる所以だろうし、そのような姿勢、いわば「仮説検証型研究」という手法は今でもこれからも僕たちは見習わねばなるまい。
鈴木 折角吉田がいい話をしているのに、話を折ることになって申し訳ないのだが、この本は基本的には子ども向けのものとばかり思っていたが、ここに「物理」の註釈が、
※1 当時は「科学哲学」と呼ばれていた
となされており、一瞬私は身を正した。そして改めてこの『コミック版 世界の伝記 ガリレオ』を見直したよ。
吉田 それからもう少し頁をめくれば、ガリレオがピサ大学に入ってからのこととして、ここにもアリストテレス関連のことが書いてある。
荒木 どこどこ、これだな。
教授:
同じ高さから地上にふたつの物体をおとすと重い方が軽いものより早くおちます
これはアリストテレスという偉大な学者が……
ガリレオ:
質問があります
教授は実際にそれをたしかめてみたのですか?
教授:
たしかめるまでもない
物理学の初歩の初歩だ
きもの少しはアリストテレスの本を読みたまえ
そっか、やはり当時の象牙の塔は「アリストテレス」が水戸黄門の印籠だったんだ。同じ高さから地上にふたつの物体をおとすと重い方が軽いものより早くおちます
これはアリストテレスという偉大な学者が……
ガリレオ:
質問があります
教授は実際にそれをたしかめてみたのですか?
教授:
たしかめるまでもない
物理学の初歩の初歩だ
きもの少しはアリストテレスの本を読みたまえ
吉田 ちょっと妙な喩えだけどな。まあそんなものだろう。
鈴木 おいおい、続けて、
この学校はだめだ
教師は大昔の学者の言うことをそっくりそのまま言うだけでなにひとつ新しい勉強をしようとしない
というガリレオのぼやきも書いてあるぞ。教師は大昔の学者の言うことをそっくりそのまま言うだけでなにひとつ新しい勉強をしようとしない
吉田 まさに、石井洋二郎氏が
あやふやな情報がいったん真実の衣を着せられて世間に流布してしまうと、もはや誰も直接資料にあたって真偽のほどを確かめようとはしなくなります。
情報が何重にも媒介されていくにつれて、最初の事実からは加速度的に遠ざかっていき、誰もがそれを鵜呑みにしてしまう。そしてその結果、本来作動しなければならないはずの批判精神が、知らず知らずのうちに機能不全に陥ってしまう。
と嘆いているとおりだ。情報が何重にも媒介されていくにつれて、最初の事実からは加速度的に遠ざかっていき、誰もがそれを鵜呑みにしてしまう。そしてその結果、本来作動しなければならないはずの批判精神が、知らず知らずのうちに機能不全に陥ってしまう。
荒木 つまり、それは今の『賢治学界』というか、「賢治研究」とそっくりだと言いたいわけだな。
吉田 まあ、敢えて否定はしないが、もしかするとそれ以上かも知れんな。
鈴木 なんだよ「それ以上」というのは?
<*1:註> 残念ながら、『コミック版 世界の伝記 ガリレオ』には頁の記載がない。したがって、これ以降、同書からの引用頁は明示できないので、同書からの引用である場合には出典の表記を割愛させてもらう。
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賢治の甥の教え子である著者が、本当の宮澤賢治を私たちの手に取り戻したいと願って、賢治の真実を明らかにした『本統の賢治と本当の露』
〈平成30年6月231日付『岩手日報』一面〉
を先頃出版いたしましたのでご案内申し上げます。
その約一ヶ月後に、著者の実名「鈴木守」が使われている、個人攻撃ともとれそうな内容の「賢治学会代表理事名の文書」が全学会員に送付されました。
そこで、本当の賢治が明らかにされてしまったので賢治学会は困ってしまい、慌ててこのようなことをしたのではないか、と今話題になっている本です。
現在、岩手県内の書店での店頭販売やアマゾン等でネット販売がなされおりますのでどうぞお買い求め下さい。
あるいは、葉書か電話にて、『本統の賢治と本当の露』を入手したい旨のお申し込みを下記宛にしていただければ、まず本書を郵送いたします。到着後、その代金分として1,620円(本体価格1,500円+税120円、送料無料)分の郵便切手をお送り下さい。
〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
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