みちのくの山野草

みちのく花巻の野面から発信。

決めつける前に為すべきことが

2019-12-24 08:00:00 | 虫の眼だけでなく鳥の眼にも
〈『ぼくはヒドリと書いた。宮沢賢治』(山折 哲雄・綱澤 満昭著、海風社)の表紙〉

吉田 では、『ぼくはヒドリと書いた。宮沢賢治』の話に戻ろう。Y氏は同書の最初に、
 「ヒドリ」と「ヒデリ」の問題には方言が関わっています。賢治が詩の中になぜ方言を取り入れたのかという視点で方言を含む言葉の問題をみますと……
              〈『ぼくはヒドリと書いた。宮沢賢治』(山折 哲雄・綱澤 満昭著、海風社)14p~〉
と述べているのだが、これについては鈴木どう思う。
鈴木 それはまず、「賢治が詩の中になぜ方言を取り入れたのか」ということがそれこそ「問題」になるんじゃないのかな。
 一体、
雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ蔭ノ
小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ 
の中に、「ヒドリ」を除いて、Y氏は他に方言が一言でもあるとでも思っているのだろか。
荒木 どう転んだって、方言は見つからない。ならば当然、この「ヒドリ」も標準語だべ。
吉田 にも拘わらずY氏は始めっから、「賢治が詩の中になぜ方言を取り入れたのか」と言って、「雨ニモマケズ」の中に賢治は方言の「ヒドリ」を取り入れたと決めつけている。
荒木 いわば、Y氏は虫の眼になっている。
鈴木 そうまさしく。だからY氏はそう決めつける前に、私たちのように鳥の眼にもなって、「雨ニモマケズ」全体を俯瞰してみることが必要だと思うんだな。
荒木 決めつける前に為すべきことがあるべ、ということだな。

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 賢治の甥の教え子である著者が、本当の宮澤賢治を私たちの手に取り戻したいと願って、賢治の真実を明らかにした『本統の賢治と本当の露』
 本書は、「仮説検証型研究」という手法によって、「羅須地人協会時代」を中心にして、この約10年間をかけて研究し続けてきたことをまとめたものである。そして本書出版の主な狙いは次の二つである。
 1 創られた賢治ではなくて本統(本当)の賢治を、もうそろそろ私たちの手に取り戻すこと。
 例えば、賢治は「ヒデリノトキニ涙ヲ流サナカッタ」し「寒サノ夏ニオロオロ歩ケナカッタ」ことを実証できた。だからこそ、賢治はそのようなことを悔い、「サウイフモノニワタシハナリタイ」と手帳に書いたのだと言える。
2 高瀬露に着せられた濡れ衣を少しでも晴らすこと。
 賢治がいろいろと助けてもらった女性・高瀬露が、客観的な根拠もなしに〈悪女〉の濡れ衣を着せられているということを実証できた。そこで、その理不尽な実態を読者に知ってもらうこと(賢治もまたそれをひたすら願っているはずだ)によって露の濡れ衣を晴らし、尊厳を回復したい。

〈はじめに〉




 ………………………(省略)………………………………

〈おわりに〉





〈資料一〉 「羅須地人協会時代」の花巻の天候(稲作期間)   143
〈資料二〉 賢治に関連して新たにわかったこと   146
〈資料三〉 あまり世に知られていない証言等   152
《註》   159
《参考図書等》   168
《さくいん》   175

 現在、岩手県内の書店での店頭販売やアマゾン等でネット販売がなされおりますのでどうぞお買い求め下さい。
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      〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
               電話 0198-24-9813
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