みちのくの山野草

みちのく花巻の野面から発信。

鳥の眼になれば対偶法で成り立っていることも

2019-12-25 12:00:00 | 虫の眼だけでなく鳥の眼にも
〈『ぼくはヒドリと書いた。宮沢賢治』(山折 哲雄・綱澤 満昭著、海風社)の表紙〉

荒木 そして鳥の眼になれば、この「ヒドリ」も当然標準語のはずだということが容易にわかるのにな。
 しかもそれに引き続いて、それに当て嵌まるような標準語の「ヒドリ」が存在しない、ということに俺でさえも気付くのだから、殆どの人はなおさら気付くだろうに。
鈴木 あれれ、荒木謙虚だな。でも、殆どの人はそう判断するだろう。
 また、同じく鳥の眼になって〔雨ニモマケズ〕、
雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ蔭ノ
小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ 
全体を俯瞰すれば、これは対偶法(あるいは対句法)という修辞法で成り立っていることにもすぐ気付く。
荒木 当然、
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
の部分も対句になっているってわけだ。
吉田 そこでだ、この二つの条件、
   標準語であり対句法
を満たす「ヒドリ」とはなんぞや、ということを検討することが次に為すべきことだ。
荒木 そして、そのような標準語「ヒドリ」がないということがこれでダメ押しされるってわけか。
鈴木 だから、虫の眼ばかりじゃなく、時に鳥の眼にならないと……
吉田 ところがY氏は前者の眼だけなようで、この二つの条件を同時に満たす「ヒドリ」とはなんぞや、という観点からは一言も論じていない。

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 賢治の甥の教え子である著者が、本当の宮澤賢治を私たちの手に取り戻したいと願って、賢治の真実を明らかにした『本統の賢治と本当の露』
 本書は、「仮説検証型研究」という手法によって、「羅須地人協会時代」を中心にして、この約10年間をかけて研究し続けてきたことをまとめたものである。そして本書出版の主な狙いは次の二つである。
 1 創られた賢治ではなくて本統(本当)の賢治を、もうそろそろ私たちの手に取り戻すこと。
 例えば、賢治は「ヒデリノトキニ涙ヲ流サナカッタ」し「寒サノ夏ニオロオロ歩ケナカッタ」ことを実証できた。だからこそ、賢治はそのようなことを悔い、「サウイフモノニワタシハナリタイ」と手帳に書いたのだと言える。
2 高瀬露に着せられた濡れ衣を少しでも晴らすこと。
 賢治がいろいろと助けてもらった女性・高瀬露が、客観的な根拠もなしに〈悪女〉の濡れ衣を着せられているということを実証できた。そこで、その理不尽な実態を読者に知ってもらうこと(賢治もまたそれをひたすら願っているはずだ)によって露の濡れ衣を晴らし、尊厳を回復したい。

〈はじめに〉




 ………………………(省略)………………………………

〈おわりに〉





〈資料一〉 「羅須地人協会時代」の花巻の天候(稲作期間)   143
〈資料二〉 賢治に関連して新たにわかったこと   146
〈資料三〉 あまり世に知られていない証言等   152
《註》   159
《参考図書等》   168
《さくいん》   175

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      〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
               電話 0198-24-9813
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