みちのくの山野草

みちのく花巻の野面から発信。

素知らぬふり?

2019-12-22 16:00:00 | 虫の眼だけでなく鳥の眼にも
〈『ぼくはヒドリと書いた。宮沢賢治』(山折 哲雄・綱澤 満昭著、海風社)の表紙〉

鈴木 そこでその前に確認しておきたいことが次の事柄だ。
 例えば、Y氏は『デクノボー 宮沢賢治の叫び』の230pで、
 南部藩の公用語として、手間労働を「日用取」と書いて、ヒドリと呼んでいたという。
と述べている。あるいは、『遠野物語と21世紀東北日本の古層へ』の36pでは、
 「日取り」というのは方言だけれども、南部藩では半ば公用語だったんですね。そういうことを詳細に議論した新しい本が出たんです。和田文雄さんという方の『宮沢賢治とヒドリ』(コールサック社、二〇〇八年)という本で、これでもうだいたい決定したなと、ぼくは思うんだけれども。
とY氏は語っている。
吉田 つまり、和田氏の主張をY氏はいわば鵜呑みにし、しかもそれをいわば喧伝していたということだ。
鈴木 のみならず、Y氏は、前掲書のやはり36pで次のようなことを語っている。
 東京のマリオンでシンポジウムをやったんです。その時に、入沢さんからお手紙と「ヒドリ」についてのご論文を送っていただいたんですが、そこでも学会としては「ヒデリ」の誤りであるということに決まっている主旨の指摘がありました。…(投稿者略)…
 それは、「ヒデリノトキハナミダヲナガシ」と「サムサノナツハオロオロアルキ」となって、対句表現になるから、というのが理由ですね。
とだ。
荒木 そうか、そうすると、和田氏のこのなにやら詐術めく引用にY氏は気付いていないわけでもなさそうだな。
吉田 図星だ。ちなみに、この『ぼくはヒドリと書いた。宮沢賢治』の中でY氏は、以前に『デクノボー 宮沢賢治の叫び』等で言っていた「南部藩の公用語として、手間労働を「日用取」と書いて、ヒドリと呼んでいたという」ような発言はしていないから、それがその証左と言えるだろう。
荒木 そっか、和田氏が「典拠を改竄?」というような虞があることに気付いていたからこそ、今回は素知らぬふりをしたのかもしれないということか。
吉田 実は、Y氏にはどうもそのような性向があるんじゃないのかな。あのオウム真理教に関してもそうだったから。ご自身ではよくお調べにもならずに、結果的には「お先棒を担ぐ」ということになったということが否めないと僕は思っている。
荒木 何だよ、その「オウム真理教に関しても」というのは。

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 賢治の甥の教え子である著者が、本当の宮澤賢治を私たちの手に取り戻したいと願って、賢治の真実を明らかにした『本統の賢治と本当の露』
 本書は、「仮説検証型研究」という手法によって、「羅須地人協会時代」を中心にして、この約10年間をかけて研究し続けてきたことをまとめたものである。そして本書出版の主な狙いは次の二つである。
 1 創られた賢治ではなくて本統(本当)の賢治を、もうそろそろ私たちの手に取り戻すこと。
 例えば、賢治は「ヒデリノトキニ涙ヲ流サナカッタ」し「寒サノ夏ニオロオロ歩ケナカッタ」ことを実証できた。だからこそ、賢治はそのようなことを悔い、「サウイフモノニワタシハナリタイ」と手帳に書いたのだと言える。
2 高瀬露に着せられた濡れ衣を少しでも晴らすこと。
 賢治がいろいろと助けてもらった女性・高瀬露が、客観的な根拠もなしに〈悪女〉の濡れ衣を着せられているということを実証できた。そこで、その理不尽な実態を読者に知ってもらうこと(賢治もまたそれをひたすら願っているはずだ)によって露の濡れ衣を晴らし、尊厳を回復したい。

〈はじめに〉




 ………………………(省略)………………………………

〈おわりに〉





〈資料一〉 「羅須地人協会時代」の花巻の天候(稲作期間)   143
〈資料二〉 賢治に関連して新たにわかったこと   146
〈資料三〉 あまり世に知られていない証言等   152
《註》   159
《参考図書等》   168
《さくいん》   175

 現在、岩手県内の書店での店頭販売やアマゾン等でネット販売がなされおりますのでどうぞお買い求め下さい。
 あるいは、葉書か電話にて、『本統の賢治と本当の露』を入手したい旨のお申し込みを下記宛にしていただければ、まず本書を郵送いたします。到着後、その代金分として1,650円(本体価格1,500円+税150円、送料無料)分の郵便切手をお送り下さい。
      〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
               電話 0198-24-9813
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