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〈『追悼 義農松田甚次郎先生』(吉田六太郎編)、吉田矩彦氏所蔵〉
さて、この『追悼』集についての投稿をそろそろ終えようと思っているのだが、その前にこの編者吉田六太郎に関して少し述べたい。
まず私が、「岩手の吉田」が甚次郎とどんな関係にあったのかを初めて知ったのは『續 土に叫ぶ』によってだった。というのは、同書の中に、
塾修了生の秋田の中山君、岩手の吉田君、村の方々……
とか、
村塾創立第十週(ママ)年記念式の辭
秋晴れの本日は、茲に本塾創立第十週(ママ)年記念式を擧行致すに當り、東京の羽田先生を初め、茨城の荻津恩人、岩手の吉田同志、秋田の中山修了生 、宮城の阿部同志、遠來の賓客として……
〈『續 土に叫ぶ』(松田甚次郎著、羽田書店)168p~〉秋晴れの本日は、茲に本塾創立第十週(ママ)年記念式を擧行致すに當り、東京の羽田先生を初め、茨城の荻津恩人、岩手の吉田同志、秋田の中山修了生 、宮城の阿部同志、遠來の賓客として……
というような記述があったからだ。それも、吉田は「同志」であり「賓客として」ということだから、甚次郎とは強く結ばれておりなおかつ一目置かれていた人物だったようだということを知った。
さて、それではこの吉田とは具体的にはどんな人物だったのだろうか、そう思っていた矢先、『「賢治精神」の実践【松田甚次郎の共働村塾】』の中に、
見前の吉田六太郎先生は毎日激励のハガキを下さいますが、この熱で一寸も動けないのです。では失礼します。
松田甚次郎
宮澤清六様
〈『「賢治精神」の実践【松田甚次郎の共働村塾】』(安藤玉治著、農文協)219p~〉松田甚次郎
宮澤清六様
という記述が見つかった。ああそうか、「岩手の吉田」とはあの吉田六太郎<*1>のことだったのか、と私は知ったのだった。
そして安藤は前掲書の中で、この『追悼 義農松田甚次郎先生』について、
次に一冊のガリ版の追悼文集を紹介したい。五〇頁の内容につめこまれた細字の文章は裸眼では読みとれないほどびっしりの追悼誌である。…投稿者略…
かつての同志の手になるこの手づくりの一冊は、まさに追悼誌として、その配慮・努力の過程を思うとただ「悲痛なる壮観」とでもいうほかはない、真情のこもったものであった。
右の企画から手配、印刷作業のほとんどすべてを一人の手でなしとげた吉田六太郎は入塾生ではないが、生前、松田が最も心を許し合った同志の一人であった。
〈同226p~〉かつての同志の手になるこの手づくりの一冊は、まさに追悼誌として、その配慮・努力の過程を思うとただ「悲痛なる壮観」とでもいうほかはない、真情のこもったものであった。
右の企画から手配、印刷作業のほとんどすべてを一人の手でなしとげた吉田六太郎は入塾生ではないが、生前、松田が最も心を許し合った同志の一人であった。
と述べてあるとおりで、吉田六太郎が発行のために費やした労力と時間は如何ばかりであったであろうかと、私はいたく感心し敬服する。そして、吉田がそこまでしたのも甚次郎のことを高く評価し、敬意を払おうとしたからであろう。
お陰様で、この度この『追悼』集を読んで、幾つかの新たなことを知り、多くのことを学ぶことができた。言い換えれば、松田甚次郎はたしかに今でも生きていて、ふたたびその偉業は昔のように高く再評価されるであろうことが期待できるということを知った。
それから最後に、この『追悼』集の後記は次のようになっていたので載せたい。
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この後記は単なる「後記」ではなくて、「未完書後記」というタイトルにしてあり、吉田六太郎の人柄が偲ばれた。この『追悼』集についてここまで調べてきて、吉田六太郎の真摯さ、ひたむきさ、そして熱に圧倒されぱなっしだったが、それだけでなく、謙虚な人でもあったということもこれで知った。
たしかに、吉田と松田とは「最も心を許し合った同志」であったのだ。
<*1> 吉田六太郎は、私の知人でもある吉田矩彦氏の父上であることは以前から知っていた。
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この度、『宮沢賢治と高瀬露―露は〈聖女〉だった―』
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