みちのくの山野草

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時代は変わりつつある

2019-12-18 08:00:00 | 「羅須地人協会時代」の真実
〈『下根子桜の朝』平成23年11月11日撮影〉

【米田利昭の論文「宮沢賢治の手紙」より】

 今年ある方から、米田利昭の論文「宮沢賢治の手紙――教師をやめて本当の百姓に、羅須地人協会の頃――」のコピーを頂いた。興味深い内容と共に、賢治研究に対する冷静で客観的な姿勢を知って、私は頷きながら何回か読ませて頂いた。
 そこで、今回はこの論文を改めて読み直しながら少し私見を述べてみたい。

 まず同論文の最初の項目「本当の百姓とは」についてであり、それは次のようにして始まっていた。
207 大正十四年(一九二五)年六月二十五日 保阪嘉内宛あて
お手紙ありがとうございます。
来春わたくしは教師をやめて本当の百姓になって働きます いろいろな辛酸の中から青い蔬菜の鞠やドロの木の閃きや何かを予期します わたくしも盛岡の頃とはずゐぶん変わってゐます あのころはすきとほる冷たい水精のやうな水の流ればかり考へてゐましたのにいまは苗代や草の生えた堰のうすら濁ったあたたかなたくさんの微生物のたのしく流れるそんな水に足をひたしたり腕をひたして水口を繕ったりすることをねがひます…(投稿者略)…
 生涯の友保阪嘉内にあてた最後の手紙である。賢治が農学校の教師をやめた大正十五年三月、始めたのが十年十二月だから、四年四ヶ月の教員生活だった。ある人が、教師としてマンネリズムに陥ったので、そうならなかった賢治に学びたい、と言った。気持ちは分かるが、十年も二十年も教師を続けていればこそマンネリにもなるので、たった四年でやめた賢治はマンネリズムになりようがなかった。
             〈駒沢女子大学「研究紀要」創刊号 平成六年十月、59p〉
 私はこの論文を読み始めて、とりわけ、「たった四年でやめた賢治はマンネリズムになりようがなかった」と断定していることを知って、今までの澱のようなものが私からすっと取り除かれた気がした。時代は変わりつつあるのだ。今までとは違ってこれからは、賢治だからということで極端な忖度をすることもなく、バイアスをかけなくてもよい時代にやっとなってゆくのだ、と私には解釈できたからだ。これからの時代は、賢治の名誉と尊厳を傷つけない限り、裏付けがあるとか、検証されたものであるとかという場合にはそのことを正直に言っていいのだ。
 そして、少し前に、NHKEテレの番組〝先人たちの底力 知恵泉「宮沢賢治 ”好き”こそ苦しみと生きる道」〟で斉藤環が、
    賢治はニートであり、パラサイトだ。
と堂々と言っていたことは、その証左なのだろう。

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 賢治の甥の教え子である著者が、本当の宮澤賢治を私たちの手に取り戻したいと願って、賢治の真実を明らかにした『本統の賢治と本当の露』
 本書は、「仮説検証型研究」という手法によって、「羅須地人協会時代」を中心にして、この約10年間をかけて研究し続けてきたことをまとめたものである。そして本書出版の主な狙いは次の二つである。
 1 創られた賢治ではなくて本統(本当)の賢治を、もうそろそろ私たちの手に取り戻すこと。
 例えば、賢治は「ヒデリノトキニ涙ヲ流サナカッタ」し「寒サノ夏ニオロオロ歩ケナカッタ」ことを実証できた。だからこそ、賢治はそのようなことを悔い、「サウイフモノニワタシハナリタイ」と手帳に書いたのだと言える。
2 高瀬露に着せられた濡れ衣を少しでも晴らすこと。
 賢治がいろいろと助けてもらった女性・高瀬露が、客観的な根拠もなしに〈悪女〉の濡れ衣を着せられているということを実証できた。そこで、その理不尽な実態を読者に知ってもらうこと(賢治もまたそれをひたすら願っているはずだ)によって露の濡れ衣を晴らし、尊厳を回復したい。

〈はじめに〉




 ………………………(省略)………………………………

〈おわりに〉





〈資料一〉 「羅須地人協会時代」の花巻の天候(稲作期間)   143
〈資料二〉 賢治に関連して新たにわかったこと   146
〈資料三〉 あまり世に知られていない証言等   152
《註》   159
《参考図書等》   168
《さくいん》   175

 現在、岩手県内の書店での店頭販売やアマゾン等でネット販売がなされおりますのでどうぞお買い求め下さい。
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      〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
               電話 0198-24-9813
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