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気の向くままに

山、花、人生を讃える

ある、いい話

2019年05月16日 | 人生

10日(金)~12日(日)は嬉しい楽しい練成会があった。

 

11日は県外からのゲスト講師を招いていたので、特にこの日は200人を超える参加者があり、道場に入りきれないぐらいの大盛況だった。わたしはパソコンに張り付いて参加者の名前などを入力しながら、ゲスト講師の話を聞いていた。以下はその覚書です。

 

 

或る一人の女性が空港の売店で、何となく本を買い、お菓子を買った。そして椅子に腰を下ろし、買った本を読み始めた。そして、お菓子をバッグから出してつまみ始めた。と彼女は思っていた。

彼女の隣には男性が座っていたが、彼女がお菓子をつまむと、隣の男性も、そのお菓子をつまんで食べる。彼女がつまめば、男性も同じようにつまむ。

その男性の様子に、彼女は「なんて図々しい男」と思いながら、素知らぬ顔で本を読み、お菓子をつまんでいった。その繰り返しで、ついにお菓子は最後の1つになった。

彼女はその最後の1つを、隣の男性はどうするだろうと思い、その一つには手を出さないことにした。

すると男性は、その最期のお菓子を手に取って、半分に割り、その半分をニコニコと彼女に差し出した。

彼女はその男性の、まるで自分のお菓子を人さまに分けるかのような、悪びれもしない平然とした態度に、ますます「なんて図々しい奴」といよいよ腹が立った。が、彼女は何も言わず、搭乗時間が来て機内の人になった。

そして落ちついてから、何かを出したくなってバッグを開けると、なんと、先ほど食べたと思っていたお菓子が、バッグの中に入っているのに気がついた。

それでようやく、自分のお菓子だと思って食べていたのは自分のものではなく、隣にいた男性のものだったと初めて気づき、恥ずかしさでいっぱいになった。そして、男性に謝りたいと思ったが今となってはどうにもならなかった。

そして最後に、彼女がこの経験から学んだという結論的な話があり、それが思わずホロリとなるとても良い話だったが、そこがどうしても思い出せない。あとは自分で想像するよりほかはないのだが・・・まるで何も浮かんでこない。

それとは別に、この男性は、「なんて図々しい女」とは思わず、最後の一つを半分に割り、ニコニコと彼女に渡すとは、実に素晴らしい紳士がいるものだと感心させられた。

 

話が長くなるが、ここまで書いてきて、10年ぐらい前の私の兄の話を思い出した。

 

兄の車のボディーに少し傷がついていて、「私がどうした?」と聞くと、

「小さい子供を乗せた若い母親にぶつけられた」という。

「それでどうした?」とさらに聞くと、

「何も言わずに許してやったよ。最後に、運転席に乗った母親に、あんたいい人にぶつかってよかったなあといってやったら、嬉しそうに笑っていたよ」と愉快そうにいう。わたしは大いに感心して、

「ふ~ん、偉いねえ!」と言うと、

「自分の娘と思ったら、文句も言えんだろう」

とのことだった。そう言ったときの笑った顔が実に良かったのである。それで、もし自分にもそんなことがあったら、「あんたいい人にぶつかってよかったなあ」とにっこり笑って、同じセリフを吐いてやろうと思ったのでした。