10日(金)~12日(日)は嬉しい楽しい練成会があった。
11日は県外からのゲスト講師を招いていたので、特にこの日は200人を超える参加者があり、道場に入りきれないぐらいの大盛況だった。わたしはパソコンに張り付いて参加者の名前などを入力しながら、ゲスト講師の話を聞いていた。以下はその覚書です。
或る一人の女性が空港の売店で、何となく本を買い、お菓子を買った。そして椅子に腰を下ろし、買った本を読み始めた。そして、お菓子をバッグから出してつまみ始めた。と彼女は思っていた。
彼女の隣には男性が座っていたが、彼女がお菓子をつまむと、隣の男性も、そのお菓子をつまんで食べる。彼女がつまめば、男性も同じようにつまむ。
その男性の様子に、彼女は「なんて図々しい男」と思いながら、素知らぬ顔で本を読み、お菓子をつまんでいった。その繰り返しで、ついにお菓子は最後の1つになった。
彼女はその最後の1つを、隣の男性はどうするだろうと思い、その一つには手を出さないことにした。
すると男性は、その最期のお菓子を手に取って、半分に割り、その半分をニコニコと彼女に差し出した。
彼女はその男性の、まるで自分のお菓子を人さまに分けるかのような、悪びれもしない平然とした態度に、ますます「なんて図々しい奴」といよいよ腹が立った。が、彼女は何も言わず、搭乗時間が来て機内の人になった。
そして落ちついてから、何かを出したくなってバッグを開けると、なんと、先ほど食べたと思っていたお菓子が、バッグの中に入っているのに気がついた。
それでようやく、自分のお菓子だと思って食べていたのは自分のものではなく、隣にいた男性のものだったと初めて気づき、恥ずかしさでいっぱいになった。そして、男性に謝りたいと思ったが今となってはどうにもならなかった。
そして最後に、彼女がこの経験から学んだという結論的な話があり、それが思わずホロリとなるとても良い話だったが、そこがどうしても思い出せない。あとは自分で想像するよりほかはないのだが・・・まるで何も浮かんでこない。
それとは別に、この男性は、「なんて図々しい女」とは思わず、最後の一つを半分に割り、ニコニコと彼女に渡すとは、実に素晴らしい紳士がいるものだと感心させられた。
話が長くなるが、ここまで書いてきて、10年ぐらい前の私の兄の話を思い出した。
兄の車のボディーに少し傷がついていて、「私がどうした?」と聞くと、
「小さい子供を乗せた若い母親にぶつけられた」という。
「それでどうした?」とさらに聞くと、
「何も言わずに許してやったよ。最後に、運転席に乗った母親に、あんたいい人にぶつかってよかったなあといってやったら、嬉しそうに笑っていたよ」と愉快そうにいう。わたしは大いに感心して、
「ふ~ん、偉いねえ!」と言うと、
「自分の娘と思ったら、文句も言えんだろう」
とのことだった。そう言ったときの笑った顔が実に良かったのである。それで、もし自分にもそんなことがあったら、「あんたいい人にぶつかってよかったなあ」とにっこり笑って、同じセリフを吐いてやろうと思ったのでした。