気の向くままに

山、花、人生を讃える

続「ウイルスVS人類~未知なる敵と闘うために~」から

2020年04月09日 | 新型コロナについて

以下は前回記事からの続きです。

 

≪ナレーション≫

○未知のウイルスと戦う人類、そのリスクを高めているのが人類が排出する二酸化炭素による地球温暖化である。2015年、シベリアの永久凍土でフランス国立科学研究所などのチームが3万年前の地層からモリウイルスという新種のウイルスを発見した。温暖化によって永久凍土が解けた場所で見つけたモリウイルスは極めて増殖能力が高い全く未知のものだ。

 

番組参加者以外の研究者談

○無数のウイルスがあらゆる大地や海に存在します。永久凍土が掘り起こされ、人間がウイルスに感染する機会が増えます。リスクは必ずあります。

 

≪ナレーション)≫

○リスクは森林にも拡がっている。1998年、マレーシアでニパウイルスと呼ばれる、それまで全く知られていなかった病原体が人に感染し、100人以上の死者が出た。ニパウイルスはオオコウモリから発見された。マレーシアでは養豚業が盛んになるにつれ、森林が伐採され、大規模な養豚場がつくられるようになった。その結果、今までジャングルに潜んでいたウイルスが豚を介して人へと感染したとみられる。
 温暖化はウイルスの拡散を加速させる。その一つがジカウイルスの感染症、ジカ熱です。妊婦に感染すると胎児の発育に影響し、脳が未発達のまま生まれることがある。従来、ジカウイルスの感染は赤道付近の熱帯地域に限られていたが、温暖化の影響で媒介する蚊の生息域が拡大し、今や日本での感染も危惧されています。

 

五箇公一(国立環境研究所)談

○気候変動を引き起こしたのは、経済格差を埋めようとする工業の発展が、途上国で、かつての先進国以上に速い速度で起きている。そうすると、生物多様性のホットスポット(保全の重要地域)というエリアの真ん中でそういうこと(工業発展)が起ってしまう。開発と森林伐採という破壊、それが急速に進む中では、そこに閉じ込められていたウイルスたちが、まさに人間という新しい住処を得て、それが今、北と南がつながることで北の人口密集地に入り込むという図式が、1980年以降からずーと続いているわけですよね。
  気候変動を起している開発とグローバル化に、実は今このウイルスが便乗しているという状況がある。
南の人たちが森林を伐採しなくてもいいようにするにはどうしたらいいかというのが、大きな課題なんだが、未だそのゴールには到底たどり着かない。そのしっぺ返しとして、感染症の問題も起こっているのだと思う。

 

押谷 仁(東北大・専門家会議メンバー)談

○新型コロナウイルスで、この数週間以内で見えてくるのは南北問題です。まずアジアですが、アジアの大都市はこのウイルスを恐らく制御できない。そうすると次はアフリカで、アフリカも非常に経済発展して都市に人が集まっている。中國の武漢のような状態が、アジア、アフリカの大都市に起きて来るということを考えた時に、我々が一体何が出来るのか?アジア、アフリカの人たちをどう救うのかということもありますけども、日本でこのウイルスをどう制御するかということで、大きく変わってくる。

 

五箇公一(国立環境研究所)談

○感染症というパンドラの箱が開いてしまったという状況ですから、医療や技術をサポートとして南の爆発を抑えなきゃいけない。逆に言うと、このパンドラの箱を閉じる為にも、今までと同じことをやっていては駄目で、パラダイム・シフトが出来るかどうかが、人類として生き残れるかどうかの鍵になる。    (パラダイム・シフト:価値観やライフ・スタイルの転換)

 

押谷 仁(東北大・専門家会議メンバー)談

○世界は自分の国さえよければという方向に動いてきたが、このようなウイルスに対しては全く通用しない,ということが突き付けられているんだと思います。もし日本で大きな流行が起きそうになった時、そして医療の限界を超えそうになった時には徹底的に社会活動を制限して、ウイルスの拡散を抑えるわけだが、ウイルスは完全になくなるわけではなく、また他の場所で小さなクラスターが起る。それをまた潰していく。長期戦覚悟でやって行かないと、このウイルスへの対応はできない。

 

五箇公一(国立環境研究所)談

○外来種対策も同じで、地方の現場でよく尋ねられるが、「これはいつまでやればいいんですか?」と聞かれる。僕はいつも「終わらないです」と言うしかない。何故なら、入り続けるから。日本がインポートとインバウンドに頼り続けるかぎりは、これは終わらないんです。
    特に感染症の場合は感染者=重症者という形で出ればすぐ芽が摘めるんですが、このウイルスのように潜伏という形で来る以上、終わらないですよね。しかも、日本だけじゃなく世界中で起きているとなれば、日本で潰しても、また世界から入って来る、の繰り返しになる。

 

≪押谷  仁(東北大・専門家会議メンバー)談

○これは非常に制御しにくいウイルスだが、相当な積極的対応をすれは確実に制御できます。で、クラスターを起さないように、人が集まる機会を極力減らす対応をすれば確実に減ります。ただ、それをすると大きな社会的、経済的影響がある。日本でどこかの地域で厳しい状況になることが十分予想されますが、そうなった時に、人工呼吸器が足りない、ICU(集中治療室)が足りない、そうなれば人が救えなくなる。そうなった場合に日本の国民性やメンタリティーから言うと、それを受け入れることが出来ないと思います。であれば、それが予想される場合、その前にかなり積極的な対応をせざるを得ない、その準備をみんなで積極的に考えなければいけない。そういうところに来ているんだと思います。

 

五箇公一(国立環境研究所)談

○ウイルスに対しては当然新薬の開発などの科学技術に頼らなければならないが、根本的には長期的に見て、こういったクライシス(危機)を繰り返さないためには、自然と共生するというライフ・スタイルの転換を、これからは本当に考えて行かなければならない。我々は本当に手を出してはいけないところまで自然に対して侵食してしまったがためにこういう問題が起きている。そこからウイルスなど、人間社会へのリスクとして降りかかって来ている。その悪循環を断つためには、自然の摂理に準じた共生ということを今始めないと、人間社会は崩壊しか道筋がなくなってしまう。それぐらいに深刻に受け止めないといけない。それを今回のコロナウイルスが教えてくれている気がしています。

 

以上ですが、最後まで読んでいただきありがとうございます。

 

≪追記≫

豚コレラが流行したとき、何万匹もの豚が殺処分されました。感染していなくても、感染が拡がるのを防ぐためには止むを得ないとして・・・。そして、新型コロナウイルスの流行が始まったころ、知り合いが冗談で「豚でなくてよかった」などと言ってましたが、私も今、つくづく「豚でなくてよかった」と思います。もし自分が豚だったら・・・と想像し、恐ろしいことだと思い、ああ、人間でよかったと思うわけです。

『神との対話』という本には、
「あなたがたは自然は残酷だというが、自然ほどやさしいものはない。あなたがたは自然に対して如何に残酷なことをしているか、少しは考えた方がいいのではないか」ということが、書かれていたのを思い出しました。

 


「ウイルスVS人類~未知なる敵と闘うために~」から

2020年04月08日 | 新型コロナについて

4月1日の記事で、「友からのお薦め番組」というタイトルで、BS1スペシャル「ウイルスVS人類~未知なる敵と闘うために~」という番組を紹介させてもらいました。

それで、モノは「ついで」ということで、すべてではありませんが、番組の中で出演者たちが話したことのうち、比較的耳にしているところは省略し、通常のニュースなどには出て来ない話を文字にしてみました。

話し手が話した通りではなく、わかり易いように簡略化したり、多少言葉を変えたりしていますが、意味としては変わっていないつもりです。
ブログ記事としては少し長いので、前篇と後篇に分けてアップさせてもらいますが、読んでいただければ幸いです。

 

BS1スペシャル「ウイルスVS人類~未知なる敵と闘うために~」

【出演】押谷仁(東北大・専門家会議メンバー)、五箇公一(国立環境研究所)、瀬名秀明(作家)

 

≪ナレーション≫

○中国経済が発展し、物資や人の往来が増えてきたという状況の中でヒアリも入って来た。ウイルスも、ウイルスそのものの力というよりも、人の往来の速度が速まり、世界の距離が縮まってきた、そう云うことが大きな要因としてある。航空機で移動する人は現在35億人と言われ、この15年余りで倍増した。

 

○2013年に発表された中国の一帯一路構想はかつてのシルク・ロードのように、アジアとヨーロッパを陸路と海路でつなぐ壮大な計画だが、この10年で、中国とヨーロッパを往来する列車も大幅に増加し、グローバル化が急速に進む中で発生したのが、新型コロナウイルスだったのだ。

 

○コロナウイルスは、表面の突起が太陽のコロナ冠に似ていることから名付けられた。コロナウイルスは6種発見されていて、

 ①その内の4種類については症状が軽い。

 ②2002~2003年に発生したSARS(重症急性呼吸器症候群)は、感染者数が約8000人、致死率約10% 野生のコウモリ由来のウイルスである。

 ③2012年に中東で発生したMERS(中東呼吸器症候群)は感染者数2500人、致死率34%と極めて高い。ラクダから人に感染した。

 ④今回の新型コロナウイルスは未知のもので、SERSやMERSほどの強毒性はないが、致死率はインフルエンザよりはるかに高いと見られている。

 

≪解説≫

○人体に入って感染症を引き起こすものとしては、ウイルスと細菌がある。ウイルスは特殊な顕微鏡で見なければ見えないぐらい小さく、自分自身では増殖できないため、人の体の細胞の力を借りて増殖する。この様に自己増殖できないことから、一般的に生物ではないと言われている。 
   ウイルスが増殖しようとすると、これを排除しようとして身体の温度を上げ、さらに免疫機能が働いてウイルスを攻撃するが、出会ったことのないウイルスに対しては免疫機能が充分に働かない。このため新しいウイルスに対しては感染が拡がり重症化するので警戒が必要だと言われている。

 

五箇公一(国立環境研究所)談

○中国南部に生息しているいろんな種類のコウモリを調べると、種類ごとに特異なウイルスが寄生している。で、ウイルスは自然宿主(しぜんしゅくしゅ――ウイルスと共生している生物のこと) というものの中で共生していて、その中でウイルスは常に変異している。その変異がたまたま新しい宿主に出会ったときにマッチングして、一気に拡がることを繰り返している。今回も野生生物の中で閉じ込められていたウイルスが、人間が自然の中に入り込み、活動域を拡大していく中で、家畜または人間に感染するタイプに変化している。

 

≪ナレーション≫

○16世紀、スペインの南米大陸に上陸し、インカ、アステカの国を征服したが、わずかな兵力で勝利したのは、銃や鉄製の武器に加え、スペイン人が感染症を持ち込んだからだ。この時代、免疫がなかった南北アメリカ先住民は5600万人が死亡した。

○1918年、全世界で8億人が感染したスペイン風邪は、第1次世界大戦の末期、戦死者1000万人をはるかに超える4000万人以上の死者を出した。、

○1957年のアジア風邪と言われるインフルエンザでは200万人が亡くなった。 

○1997年、鳥インフルエンザ(H5N1)は香港で初めて人に感染し、6人の死者を出した。

○2009~2010年 新型インフルエンザは豚由来のインフルエンザで、死者1万9000人、日本では203人が亡くなった。

 

押谷 仁(東北大・専門家会議メンバー)談

○21世紀に入ってSARSやいろんな高病原性(強毒性)とか、鳥インフルエンザとかの流行があって、それが本当は自然からの警告で、人類はもっと真摯にこの警告を受け止めなければいけなかったんですけども、2009年のパンデミックが重症例が少なかったということもあって、警告を受け止めることが出来なかった。その為、今回のようなことが起きた時の準備が出来てなかった。

 

五箇公一(国立環境研究所)談

○僕は外来生物を研究しているが、例えばヒアリ一つとっても、アメリカではこういうパターンで巣をつくって広がるとか、中国ではこういうパターンで広がるとか、その共通項をもって日本でもこうなるだろうと想定してマニュアルを作っていた。ところが今回品川のオオミ埠頭で出て来たヒアリは全く違った形で巣をつくっていた。砂も土もないコンクリートの中でちゃんと巣をつくっていた。要は生き物、ウイルスは生物ではないが、野生で生存しているものは常に進化し、順応的で、人知を超えたところで新しい住処を見つけて行くわけですね。だからウイルスの場合も同じで、前はこうだったからという想定でやっていたんでは追いつかないんところがあるんです。

 つづく       


新型コロナの感染原因

2020年03月28日 | 新型コロナについて

コロナウイルスは太陽のコロナに形が似ている所から名づけられたものらしい。その感染源は、まだはっきりしていないが、動物の「センザンコウ」ではないかという説や、あるいは「蝙蝠(コウモリ)」が発生源で、センザンコウは仲介役との説もある。

 

厚生労働省のホームページには
「コロナウイルス」はどのようなウイルスですか? という問いに対して凡そ次のように答えている。

答:これまでに人に感染するウイルスとしては7種類見つかっている。
    一つはSARS(重症急性呼吸器症候群)で、2002年に発生。
    一つはMERS(中東呼吸器症候群)で、2012年以降に発生。
    一つは今回の新型コロナウイルス(SARS-CoV2)。
    後の4種類は一般の風邪の原因の10~15%(流行期は35%)を占め、多くは軽症。

  コロナウイルスはあらゆる動物に感染しますが、種類の違う他の動物に感染することは稀です。また、アルコール消毒(70%)などで感染力を失うことが知られています。・・・とある。

 

次に新型コロナウイルスは、コウモリ由来というのは本当ですか?の問いについては、

答:新型コロナウイルスが動物由来であるとの確定的な証拠は見つかっていませんが、その遺伝子配列が、コウモリ由来のSARS様コロナウイルスに近いため、コウモリがこの新型コロナウイルスの起源となった可能性が考えられています。・・・と回答されている。


そんな中、昨日27日のYohooニュースでは、イギリスのBBCニュースが次のように発表していることを伝えている。

曰く、
○研究を主導した香港大学のトミー・ラム博士は、マレーシアから中国に密輸されたセンザンコウから、COVID-19(新型コロナウイルスのこと)の原因となっている新型ウイルスに関係する2種類のコロナウイルス群が見つかったと説明した。

○ラム博士は、この密輸されたマレーシア産のセンザンコウからウイルスが見つかったことから、では、このセンザンコウはどこでウイルスに感染したか、
   
①密輸中に中国の蝙蝠から感染したのか、
   ②それとも本来の生息地である東南アジアで感染したのか、
と、感染経路の疑問点を指摘・・・・とニュースは伝えている。

絶滅危惧種のセンザンコウ、新型ウイルスに似たウイルスを保持  (BBCニュース)

 

ちなみに、
SARSの原因については、確定的ではないがハクビシンだろうとか、もともとはコウモリがもっているウイルスだとか言われており、MERSのウイルスはヒトコブラクダがもっているそうで、それとの“濃厚接触”が原因といわれているとのこと

 

ところで、新型ゴロナウイルスの感染源と疑われているセンザンコウは、哺乳動物の中の「鱗甲目」に分類されるそうだ。そして、国際取引は禁止されているにかかわらず、違法取引が近年格段に増加しているとのこと。その理由の一つは、その肉が珍味であり、鱗は薬になることらしい。そのため、センザンコウは絶滅の危機に追い込まれているとのこと。(動物の売買や解体時には濃厚接触が伴う)。

 

かつてイギリスで狂牛病が発生したが、その原因は何かというと、本来草食動物である牛に、成長を促すために、自分と同種か、近種の動物の体を餌の中に混入して共食いさせていたのが原因とされている。これは牛だけでなく、羊や豚、鶏にも行われていたらしい。そしてクロイツフェルト・ヤコブ病の感染経路の一つとして、狂牛病の牛から人への感染が挙げられている。

 

このようなことを考えると、今回の新型コロナウイルスについても、人類の「自分がよければ」という勝手な仕業が、新型コロナウイルスを人間に感染させ、逆に自分たち人類を苦しめることになっているのではないかと、そんな危惧も湧いて来るのである。