気の向くままに

山、花、人生を讃える

或るお婆さんの変身

2023年08月09日 | 人生

或るお婆さんの話だが、その婆さんは嫁のすることが一々気に食わず、腹が立って仕方がなかったという
それで或るとき、宗教家にその事を話したというのであるが、以下は、その婆さんと宗教家の問答であり、谷口雅春著『親鸞の本心』という本からの引用です。

 

「一体誰が腹を立てさすのですか」と宗教家が問う。

「嫁が一々私に気に入らぬことばかりをするものですから」

「嫁が気に入らぬことをしたら腹が立ちますか」

「腹が立って致し方がありません」

「それでは其の立つと云う腹は誰の腹ですか」

「それは私の腹が立って仕方がありませぬ」

「あなたの腹はあなたが立てたり立てなかったりするのであって、嫁が立てるのではないでしょう」

「嫁が腹を立てさせるのです」

「そんなことはありますまい。たとい嫁がどのようなことをしようとも、あなたが腹を立てなければそれで好いのでしょう。そのあなたの腹を立てるものの正体は一体なんですか。それを一つ考えて御覧なさい。」

「・・・・・・・・・・・・・」

「あなたは腹が立つとき気持ちがよろしいですか」

「気持ちが悪くて悪くて、全く地獄の苦しみです」

「その地獄から逃げ出したいと思いませんか」

「逃げ出したいので先生に御相談申し上げているのです」

「そうでしょう。あなたの腹の中には、腹を立てて自分で自分を地獄へ突き落している『自分』と、その地獄から逃れたいと思っている『自分』と、二種類の自分がいるようですね」

「はい・・・・・」

「その二つの自分のうち、どちらが『本当の自分』か静かに座って考えて御覧なさい。これから毎朝正座して30分間『本当の自分は、腹の立てる自分ですか、腹を立ててるのを嫌う自分ですか』と自問自答して答えて御覧なさい」

 

 こう云われて、その婆さんは毎朝々々、教えられたようにして正座して、本当の自分を見出すことにつとめたそうです。

 

そして今まで仏様は十万億土の彼方にいると思っていたが、自分の本性が仏様であるとわかり、それとともに、他の人も仏様じゃと分かり腹が立とうにもたちようがなくなってしまった。そして嫁いじめをやめ、嫁御大事と互いに拝み、拝まれ、本当に極楽世界の生活を送ったということでした。

以上、婆さんと宗教家との問答がとても面白いので、紹介させてもらいました。

 

○何故人間が理想郷を求めずにはいられないのか、人間が何故「欣求浄土(ごんぐじょうど)」の心が起こるかと云えば、斯くの如き浄土が既にわれわれの「生命の既成体験」の中にあるからなのである。吾々の生命は、その既にある体験の中で、既に斯くの如き浄土に住んでいるからなのである。「欣求浄土」は、既に吾らのいのちの体験に於ける、望郷の願いであり、魂のホームシックに他ならないのである。 

 

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サムシング・グレートを観る

2023年08月08日 | 人生

禅宗の『無門関』という本にはいろいろの公案(問題・問いかけ)が提起されているが、その中にこんな問いがある。

 

昔、中国の奚仲(けいちゅう)という人がたくさんの車をつくった。ところが奚仲(けいちゅう)は何を明らかにしたかったのか、せっかく作った車をまたバラバラにしてしまった。いったい奚仲は何を明らかにしたかったのか。という問いである。

 

これは、「車とは何か?」という問題のようですが、答えは車は部分品ではなく、また部分品を集めた全体でもなく、本当の車は、それを作った奚仲(けいちゅう)の心の中にある。なぜなら、本当の車は、荷物を乗せ、人を乗せ、そして「輪っば」を回転させて前に進むという、アイディアであり、理念であり、設計図である。だから、車はそれを製作した奚仲(けいちゅう)の心の中にある。そのことを奚仲は明らかにしようとした、というのがこの問いへの答えであるようです。

 

この「車とは何か?」という問いかけは、「会社とは何か?」でもあるし、「人間とは何か?」という問いかけでもあるが、腕をちょん切り、足をちょん切り、首をちょん切り、それぞれにお前が人間かと問いかけても、返事をしない。それなら全体に向かって「お前が人間か?」と問いかければ、「そうだ」と返事をしてくれるかもしれないが、いくら返事をしてもそれが正解とはいえない。なぜなら身体を人間と思っているかぎり、身体は峠を越えれば、衰え、しなびていくばかりであり、そのような存在には夢も希望もないからである。

 

しかし、人は身体のみ見ているのではなく、身体の奥にある目に見えないものをも見ている。だからこそ夫婦は年老いても、睦まじく暮らすことも出来るし、さらには自分自身が生長すれば一層明らかに背後にあるものを観て尊敬の念さえもつことも出来る。

 

形の車は朽ち果てても、本当の車はそれを考案した奚仲の心の中にあり、いつまでも慈しまれているのと同じように、われわれ人間も、その考案者である神(仏)の中にあって、いつまでも永遠に愛され慈しまれている。それは母親の心の中に、いつも、いつまでも愛しきわが子がいるようなものかと思う。

 

このように吾々は肉体的身体だけを見るのではなく、それ以上に、その背後にあるサムシング・グレートを観なければならないのではないか、そんなことを感じさせられているこの頃です。

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温暖化防止のために

2023年08月02日 | 地球温暖化について

猛暑、酷暑が続いているが、日本だけでなく、世界的にも例年以上の猛暑であるらしい。
梅雨の季節には毎年のように水害が発生しているが、水害にあっていない地域の人たちも、今では他人事ではなくなってきているのではないだろうか。

このまま行くと、これから先この程度では済まなくなるというのは、多くの科学者・研究者たちが指摘しています。しかし、温暖化や気候変動による災害のニュースは流れても、対策を呼び掛ける声はあまり聞かれない気がします。それで、温暖化防止を呼び掛ける記事はないのだろうかとネットで検索すると、すぐに国連広報センターの記事が見つかりました。

それで、一人でも多くの人に読んでいただければと、誰でも実行できそうなものを選んで下記に転載させてもらいました。

子供や孫、そして未来の人たちのために、ささやかながら出来ることは実行していきたいとと思っています。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

≪以下は国連広報センターの記事からの抜粋です≫

誰もが気候変動の抑制に貢献できます。移動手段から使用する電力、食べ物に至るまで、私たちは変化をもたらすことができるのです。気候危機に立ち向かうために、以下の10の行動から始めましょう。

 

家庭で節電する

私たちが使用する電力や熱の大部分は、石炭や石油、ガスを燃料としています。冷暖房の使用を控え、LED電球や省エネタイプの電化製品に取り替え、冷水で洗濯し、乾燥機を使わずに干して乾燥させてエネルギー消費量を減らしましょう。

 

徒歩や自転車で移動する、または公共交通機関を利用する

世界中の道路が車であふれ返り、そのほとんどが軽油やガソリンを燃焼させています。自動車に乗る代わりに徒歩や自転車で移動すれば、温室効果ガスの排出が削減され、健康と体力の増進に役立ちます。移動距離が長いときは列車やバスの利用を検討してください。また、自動車は可能な限り相乗りで利用しましょう。

 

野菜をもっと多く食べる

野菜や果物、全粒穀物、豆類、ナッツ類、種子の摂取量を増やし、肉や乳製品を減らすと環境への影響を大幅に軽減できます。一般に、植物性食品の生産による温室効果ガスの排出はより少なく、必要なエネルギーや土地、水の量も少なくなります。

 

廃棄食品を減らす

食料を廃棄すると、食料の生産、加工、梱包、輸送のために使った資源やエネルギーも無駄になります。また、埋め立て地で食品が腐敗すると、強力な温室効果ガスの一種であるメタンガスが発生します。購入した食品は使い切り、食べ残しはすべて堆肥にしましょう。

 

環境に配慮した製品を選ぶ

私たちが購入するあらゆるものが地球に影響を及ぼします。あなたには、どのような商品やサービスを支持するかを選択する力があります。自身が環境に及ぼす影響を軽減するために、地元の食品や旬の食材を購入し、責任を持って資源を使ったり、温室効果ガス排出や廃棄物の削減に力を入れていたりしている企業の製品を選びましょう。

 

声を上げる

声を上げて、他の人たちにも行動に参加してもらいましょう。声を上げることが、変化をもたらす最も手っ取り早く、最も効果的な方法の一つです。あなたの隣人や同僚、友人、家族と話してください。経営者には、あなたが大胆な変革を支持することを伝えましょう。地域や世界のリーダーたちに、今こそ行動を起こすように訴えましょう。

   以上

 

次の記事も合わせて読んでいただければ嬉しいです。

肉食・飢餓・温暖化

 

 

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