わが町の広報に、講演会とその講師について次のように紹介されていました。
講師:エッセイスト・元高校教師・作家 宮本延春(まさはる)氏
演題:「オール1の落ちこぼれ、教師になる~いじめ、ひきこもり、天涯孤独の絶望を乗り越えて~」
著書:『宇宙を感じる7日間』『こころの羅針盤――親から子に伝えたい60章』『オール1の落ちこぼれ、教師になる』などがある。
と、紹介され、そして大きめの顔写真もついているが、爽やかなイケメンである。
なぜ、こんなことを書き始めたかと言うと、もう12年も前になりますが、読売新聞にある先生の紹介があり、それが感動的で印象に残っていて、その先生が12年の時を経て、わが町にやって来るというので、勝手ながら運命を感じ、書き始めた次第です。
しかも、この講演会のことをわたしに教えてくれたのは家内で、わたしが12年前に感動しながらその先生のことを家内に話したのを覚えていて、それで「あの先生が来るよ」と教えてくれたのです。
12年前の職場の新聞にはその先生について、およそ次のように紹介されていました。
見出しは「37歳の新米高校教師」と言う見出しでした。最初、先生の授業の始まりについて書かれていました。先生は黒板に各教科の科目名を書いて、それぞれに「1」と書きます。そして「これが何だか分かりますか?」と生徒に質問します。生徒は何のことだかわからないので黙っています。それで先生は「これは私の中学3年生のときの通知表で、私はオール1の成績でした」と、言います。生徒たちは「中学3年の時にそんな成績をとっていた人が、どうして今、先生なの?」というわけで、驚きの表情を見せながら先生を注視しています。
先生はおもむろに語り始めます。先生の中学時代はいじめられっこでした。それで、もともと良くなかった成績が3年生の時にはとうとうオール1になったのです、と。
中学を卒業した先生は就職して働くようになりました。そして先生に恋人ができました。恋人は近くの職場で働いていた女性で、ある時、その恋人がNHKで放映された「アインシュタイン・ロマン」という番組のビデオを貸してくれました。それを見て先生はどうしても数学の勉強をしたくなったということでした。
そして働きながら定時制の高校に通い(ここは記憶違いかもしれない)、数学を猛勉強し、他の教科も勉強し、とうとう一発で或る国立大学へ入学したのでした。そして、修士課程を経て研究室に残り何かの研究をしていた。そして結婚し、順風満帆な生活をしていたが、或る時、先生はふと思った。「研究もいいが、自分はいじめられっこで成績も悪かった。だから、その経験を生かしたい」。そう考えるようになった先生は、思い切って37歳で大学の研究室を後にして、地元の高校教師になったということでした。
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わたしも40歳中ごろ、ふとしたきっかけでアインシュタインを知るようになり、数学は勉強したいと思いつつしなかったが、宇宙や量子力学の本を読むようになり、その分、おかげで人生が豊かになった気がします。そして、この新聞の記事を読んだときには、「先生よ、あなたもか!」と共感し、嬉しくなったのでした。(ちなみに、わたしも高校時代は落ちこぼれでした)
先日テレビを見ていたら、日本の有名な天文学者が言っていました。「UFO」はたいがい何かの見間違いが多い。しかし、天文学者のほとんどは地球外生命の存在を信じている」と。
日本人の多くは科学迷信に陥っている感がありますが、しかし、一流の科学者たちは生命の神秘、宇宙の神秘を感じているのではないか。物理学者はこの宇宙をすべて数式で言いあらわせるはずだと信じている。そして、そのことにとても神秘を感じ、さらに、その上には何があるのかと驚異を感じつつ探求し続けている。それは信仰者が「もっと神仏を知りたい、近づきたい」と願いつつ、精進しているのと、ほとんど同じに思えるのである。
ある科学者は言っている。「(たとえ一部でも)この宇宙を、人間が理解できるということが不思議だ!」と。