新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
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キササゲ:木大角豆・木豇(漢名に迷う)7月1日

2011-07-01 13:16:55 | お知らせ」

東海道自然歩道を茨木から高槻へ抜ける林道沿いの谷筋に群生する気になる木がありました。ササゲに似た30㎝ほどもある果実を多数垂れ下げているのでキササゲ:木大角豆・木豇(ノウゼンカズラ科キササゲ属)には違いないのですが、問題は花を見ていないのでキササゲなのかアメリカキササゲなのか分からないことでした。
公園で見て花の時期と思って行ったとき蕾、2回目で初めて薄黄色の花に出会い、キササゲだと確認しました。
両種とも日本の自生種ではなくて、キササゲは中国原産ですが、万葉集にも出てくるという古い渡来種で、古くから薬用や観賞用に植えられ、今では野生化もしています。6~7月枝先に淡黄色で、漏斗型の花を円錐状につけます。
中国名は梓樹、長いさく果は生薬で梓実といわれ利尿、解毒などの薬になります。梓は日本ではカバノキ科のアズサ〈ヨグソミネバリ〉を指しますが、本来はキササゲの同属別種のことです。アメリカキササゲは北アメリカ原産で明治時代に渡来したといわれ、花が白色で内側に紫色の斑点があることで区別されます。
以前にも書きましたが、キササゲは漢名では木偏に秋で楸〈シュウ〉です。面白いことには木偏に冬の柊〈ヒイラギ〉もおなじくシュウと読みます。
俳人の加藤楸邨は、はじめ柊村(しゅうそん)と名乗っていましたが“とうそん”と読むひとが多いので、楸村、木がごたつくので楸邨にしたといいます。一方、昭和の歌人宮 柊二はそのまま“しゅうじ”です。
ついでに木偏に春の椿でツバキを指すのは国字で、中国ではチン、センダン科のチャンチンを指し、椿は山茶と書きます。
木偏に夏の榎をエノキに充てるのも国字で、中国ではカ、檟とも書き、“ひさぎ”すなわちキササゲを指します。中国では楸も榎も同じキササゲとなります。(ひさぎはアカメガシワの古名ともいわれます)
木偏に冬をヒイラギに充てるのも国字で、中国ではショウガの1種で葉は芭蕉に似る、とあります。
木偏に春・夏・冬の3字は、本家の中国よりも、日本の国字の方が季節感で優れている気がします。

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5 コメント

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アドヴァイスください (いさみ)
2011-07-02 06:55:23
 はじめまして。大学1年・中学2年・小学1年の3人の男の子の母親です。
 こどもたちが通う附属学校園にはそれぞれシンボルの木があります。幼稚園は「いちい」小学校は「ポプラ」中学校は「きささげ」です。また、小学校では各学年の木をPTAで決めて学校に植樹し、6年間、その木が学年の愛称になります。長男が小学生の時は「もくせい学年」、次男は「アカシア学年」でした。
 今、小学1年の三男の学年の木を探していまして、貴殿のHPを拝見しました。とても知識豊富であたたかな文章に感動しまして、アドヴァイスをいただけたらと思い、コメントを書かせていただきました。
 私はこどもたちの健やかな成長と明るい未来を願い、「月桂樹」を学年の木に推薦しようと思っています。いかがでしょうか。また、他に良い木がありましたら、教えていただけないでしょうか。唐突で大変失礼とは存じますが、よろしくお願いいたします。
 
 
 
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ゲッケイジュ (むかご)
2011-07-02 08:11:37
学年の樹に月桂樹をお考えとのこと、大いに結構かと思います。
拙ブログでは08年11月18日(バックナンバー参照)に、「ゲッケイジュ:月桂樹(実もまた香る)」月桂樹取り上げています。
「(クスノキ科ゲッケイジュ属)が黒い実をつけています。
地中海沿岸原産の常緑高木で高さは12mぐらいになります。
日本への渡来は1905年ごろ、日露戦争の勝利の記念樹として各地に植えられたといいます。
ギリシャ神話では、太陽神アポロンは、おっかけっこの末、ゲッケイジュに化したニンフのダフネを愛し続けます。
そして、年中緑を保ち、浄化の力を持つこの木の枝で作った月桂冠を、優れた詩人や、競技の勝利者に贈るようになります。
葉や花にシオネールなどの精油を含むので芳香があり、乾燥した葉はローリエまたはぺイリーフと呼ばれ、肉料理などに使うポピュラ-なスパイスになっています。
雌雄別株で、日本には雌株が少ないそうですが、万博公園の世界の森で実をつけた木に出合ったので、花より先に実の登場になりました」
少し敷衍しますと、日露戦争の戦勝記念樹とは、東郷平八郎と、上村彦之丞両海軍大将により日比谷公園に植えられたそうです。
ギリシャ神話では、太陽神のアポロンが、美と愛の女神アフロディテの息子エロスが武器をもてあそんでいるのを見てからかいます。エロスは怒り、金の矢でアポロンの胸を、鉛の矢でニンフの胸を射ます。金の矢は最初に見たものを愛する矢、鉛の矢は追ってくるものを嫌いになる矢。二人は壮絶なおっかけっこをします。川岸でアポロンにつかまりそうになったニンフは、父である川の神に「せめて私の姿を変えて隠して」と頼み、1本の月桂樹に姿を変えてもらいます。アポロンは木になったダフネをなおも愛し続けます。
そして、緑を保ち、浄化の力を持つ月桂樹の枝でつくった冠「月桂冠」をすぐれた詩人や、競技の勝利者に贈るようにしました。
ローレルとも呼ばれる月桂樹の種名Laurus nobilisのnobilisは「高貴な、気品ある」の意ですし、“月桂”は「月の桂」、中国の伝説で、月に生えている丈の高い桂の木のことで、「月の桂を折る」という言葉は科挙の試験に及第する、または文書生が官吏登用試験に及第するなどの意味があります。
以上は、単なる耳学問の羅列で、間違いもあろうかと思いますが、学年の樹に「月桂樹」はいろいろな意味で、ぴったりのご着想と思います。
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ありがとうございました (いさみ)
2011-07-03 02:32:51
 あたたかいアドヴァイス、本当にありがとうございました。自信をもって学年の樹に推薦できます。
 もう1つ、とても個人的なことなのですが、教えていただけないでしょうか。
 三男の名前は「聖樹(せいじゅ)」と言います。2004年6月のオリンピックイヤーに生まれたことと(聖)、よい字画をということで、命名いたしました。
 数年前、中古住宅を購入いたしましたら、庭に「なつつばき」がありました。今、白い花を次々と咲かせております。この「なつつばき」を「沙羅双樹」また「聖樹」とも言うと聞き、ネットで検索しましたが、諸説あるようでよくわかりませんでした。ですが、庭にある「なつつばき」を三男は自分の樹として親しみをもってかわいがっています。
 「沙羅双樹」と「なつつばき」と「聖樹」の違いをご存知でしたら、教えてくださいませんか。
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三聖樹のこと (むかご)
2011-07-03 08:24:29
釈迦がその木の下で悟りを開いたという菩提樹(インドボダイジュ:クワ科)、釈迦がその木の下で入滅したといわれる沙羅(双)樹(フタバガキ科)、釈迦の母である摩耶夫人が、花盛りのその木から一枝を折ろうとした時、左脇腹から釈迦が生まれといわれる無憂樹は、仏教の三聖樹といわれています。
ナツツバキは別名をシャラノキともいうので、日本ではこれを仏教の三聖樹のひとつである沙羅双樹に擬することがありますが、ツバキ科のナツツバキ(シャラノキ)はフタバガキ科のサラソウジュとはまったく異なる木です。同じように日本でボダイジュといわれて寺院などに植えられている木はシナノキ科で、クワ科のインドボダイジュとはまったく異なるものです。これらの混乱は、インドの聖樹は気温の関係で、中国では生育が難しく、かわりの木で代用したのが日本にも伝わったのではないかといわれています。
そんなはなしは別として、聖樹というのは立派ないいお名前です。
ナツツバキは私も大好きな花です。6月末、自宅から程近い市のキャンプ場の裏にあるナツツバキ園へ満開の花を見に行ってきました。キャンプ場の若いスタッフにナツツバキを見に来たというと、初めて聞くというような顔をしますから、ぜひ見ておきなさいといっておきました。

この関係の木については、何回か“むかご“でとりあげています。
もしご関心がおありなら覗いてみてください。
http://blog.goo.ne.jp/suiyoukaji/d/20060701ナツツバキ
http://blog.goo.ne.jp/suiyoukaji/d/20071219ボダイジュ
http://blog.goo.ne.jp/suiyoukaji/d/20100711ボダイジュ
http://blog.goo.ne.jp/suiyoukaji/d/20080215サラソウジュ
http://blog.goo.ne.jp/suiyoukaji/d/20100303ムユウジュ
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よくわかりました!! (いさみ)
2011-07-04 02:30:26
ありがとうございました。今までの疑問が解消いたしました。ナツツバキ園にはいつか行ってみたいです。どの樹もいわれを聞くと、また一段と感慨深くなるものですね。本当にありがとうございました。また、訪問させて下さい。
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