新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
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ギョウジャニンニク:行者忍辱(修行の助けか、妨げか)

2011-05-27 08:41:05 | 植物観察1日1題

いつぞや礼文島の笹原のあちこちで山菜取りの人を見かけ、何をとっているのかと尋ねるとギョウジャニンニク:行者忍辱(ユリ科ネギ属)とのことでした。少し葉を食べてみると強烈な臭いでした。
近畿以北の本州の日本海側、北海道に多く分布する多年草で、強い臭いがあり、行者がニンニク代わりに食べたというのでこの名があります。
春、若芽を採り、そのまま味噌をつけて生食、ゆでておひたしや和え物に、鱗茎は刻んで味噌和えやてんぷら、炒めものと北国の人々には欠かせない山菜となっているそうです。
6~7月、高さ50~60㎝にのびた花茎の先に白い小さな花を多数球状につけます。この蕾と花茎も食用にされます。
“葷酒山門に入るを許さず”の葷はネギ、ニラなどの臭気の強い野菜のことで、不浄なもの、心を乱すものとして、修行者は近づけてはいけないとの意味だそうですが、ニンニクの代わりにギョウジャニンニクを食べた行者は、精がついて修業がはかどったのか、はたまた修行の妨げとなったのかどちらだったのでしょうか。
図鑑では、和名を行者大蒜と書いたのと行者忍辱としたのがありました。ちなみに“忍辱”は六波羅密の一つで、侮辱、迫害を忍受して恨まないことだそうですから、“行者忍辱”を食べた行者は、たぶん他人の非難に耐えてでも、精のつくこの食材を好んだのでしょう。