サネカズラ:実蔓(モクレン科(またはマツブサ科)サネカズラ属)の真っ赤な果実が秋の陽に光っています。和名の実蔓は秋の果実が美しいことからきています。
古くからサナカズラとも呼ばれ、詩歌にもうたわれてきました。蔓が分かれてまた会うということから“会う”にかかる枕詞にもなっています。百人一首の「名にしおはば 逢坂山のさねかずら 人に知られで来るよしもがな」も同様の意味合いからでしょう。
別名のビナンカズラはつるや葉を水に浸して出る粘液を、男の整髪に用いたので美男蔓の名があるといいますが、実際には男女を問わず用いられたようです。
トロロカズラ、フノリカズラ、ビンツケカズラなどの別名もこの粘液からきています。
雌雄異株で、赤く熟した集合果は、餡玉のまわりに小豆や栗をつけた和菓子の“かのこ”を想像させます。
ためしに一粒とって口に含んでみましたが、ただ青臭い味がして、いただけない味でした。