白椿

この道に幾つ寺ある春の京
立ち雛の飾ざらる部屋に通される
白椿朱の橋映つる池あざやか

恵方社に拝し春の香探しおり
早咲きの御幸桜はほつほつと
門入れば柳の枝垂れ芽を吹いて

歩き会で京都の神泉苑や頂法寺(六角堂)を歩く。

春寒し

春水仙一本は傾ぐ雨のあと
春寒し野菜あれこれ露店売り
自動ドア目に飛び込みしお雛さま

春告鳥

苔灯籠春告鳥の一声を
うららかやエプロンゆれる六地蔵
春時雨テンポの速き曲流れ

春時雨

透明の傘より明るい春の見え
ワイパーをこすりて春雨流しゆく
独り言気づけば笑い春時雨

春日

春日差し水槽の中動き出す
絵の中の一つはいつもチューリップ
春の日へ蔦からまりて樹上へと

春日

外見れば春日明るく射し来たる
ほらあれがおしどりと指す池真中
桜芽木ハーブ園へとつづく道

芽吹く

芽吹く樹の方より土手を青き空
梅ゆるむ椅子よりながむうすみどり
プランタースイトピーのつる伸びはじむ

梅

境内の梅ふっくらと古本市
二百年の鉢植え梅の並ぶ宮
本殿の梅の古木は対称に

春の空

春の空小高き丘を一人じめ
春の苗びっしり並ぶ丘の上
マイペース一人で歩く春落葉

春炬燵

石敷の底石透けて春の川
菜の花の一つの束を手のひらへ
お絵かきのクレヨン並べ春炬燵