いただいた選句

●今日の秀句
■12月25日　□高橋信之先生選
　　　★下げてみる一匹の塩鮭の重さ
　　　　　　　生活の実感があって、それがこの句の強みである。
　　　　　　　生活の重さをさりげなく背負い、さりげなくこなす。
　　　　　　　ときには、楽しささえもある。（高橋信之）


（選句） 飯島　治朗様
　　　下げてみる一匹の塩鮭の重さ
　　　　　　　喉に縄や紐を通されて売られている塩鮭を、
　　　　　　　試しに下げてみる詠者の様子がよく見えます。
　　　　　　　年の瀬を感じさせる一句です。


好きな句 小川和子様
　　　下げてみる一匹の塩鮭の重さ
　　　　　　　年の瀬の景がよく伝わり、主婦としての作者の頼もしさを
　　　　　　　感じます。


好きな句 河野啓一様
　　　下げてみる一匹の塩鮭の重さ
　　　　　　　年末の買出しです。一匹ずつ下げてみて確かめて
　　　　　　　塩鮭を買います。意外に重いものです。字余りの
　　　　　　　「鮭の重さ」がよいと思いました。


（好きな句） 多田有花様
　　　投げ釣りの糸はゆっくり冬の日に
　　　　　　暖かな冬の日差しが降り注ぐ中での釣り、釣れても
　　　　　　釣れんでもよろしい、このひとときを楽しみましょう、
　　　　　　というゆったりとした雰囲気を感じます。

□高橋正子先生選■12月14日(日)～12月20日(土)
　　【特選/５句】
　　　　★毛糸帽畑の畝を往復す
　　　　　　　　畑のなかに毛糸の帽子が目だって、畝を往復している。
　　　　　　　　それが面白いので句となった。麦踏みとか、肥料を撒く
　　　　　　　　とかといった農作業なのであろうが、毛糸帽が擬人化され、
　　　　　　　　生かされた。（高橋正子）

【最優秀】2008-12-14
　　　★登校す列の中より咳聞こゆ
　　　　　　　登校の子どもたち列に、咳をする子がいる。その咳が
　　　　　　　気がかりになり、具合を思いやる作者がいる。
　　　　　　　平明な言葉だが、訴える力がある。（高橋正子）

　　ありがとうございました。

年の暮れ

天辺の梯子の庭師年の暮れ
肌襦袢一式干して師走晴れ
子ら送る寒柝の声回る時

白菜の切られ干されて新聞紙
蟹箱の積まれ声かけ店頭に
冬日さし蕾の梅のふっくらと
枯れ菊の庭隅にあり束ねられ

写真　多肉植物の金のなる木。寒くなって黄葉してきました。携帯で撮る。

冬の日

投げ釣りの糸はゆっくり冬の日に
桜島荷箱に絵あり歳暮くる
冬至南瓜半切れ太き物を手に

布団出す子の背またもや伸びうれし
ツリー無き我が家に子らは一泊す
一匹の塩鮭下げてみる重さ

包丁は鮪の解体使い分け
年の内感謝セールに足のばす
つきたて餅無料配布のアナウンス

流通センターの鮪解体を見物にいく。
写真はセンター内の花屋さんの薔薇。携帯にて撮る。

ミニ葉牡丹

まわりには明るき色をミニ葉牡丹
狛犬の後ろにそびゆ冬黄葉

手にとりて冬芽の殻をふいと吹く
やわらかな冬日の下へ移す鉢
冬の黄葉ビルより高く残りおり

冬の草バケツに投げ込み腰のばす
オカリナのクリスマスソング流れおり
カレンダーを戴き師走の街に

初氷

登校す列の中より咳聞こゆ
初氷表面つんと突けば割れ
冬の花支える添え木それぞれに

冬紅葉螺旋階段屋上へ
毛糸帽畑の畝を往復す
塀に添え木立てかけられて冬日受く
陶たぬき冬の紅葉に酔うそうな

１２月７日、めだかたちの水槽に初氷あり。