朝夕が涼しくなり、ちょっと熱燗が恋しくなる季節となった。
ということではないが・・・今回お訪ねしたのは、地元桜井市三輪にある醸造元「今西酒造」さん。
前日に電話を入れたところ、今は11月からの仕込み準備中。それでも良ければ・・・ということで快く受けて頂き、杜氏さんにも会わせてもらえるという。
ここは三輪神社に近く、JR三輪駅からもすぐのところ。
店の軒下には、造り酒屋を示す「杉玉」が掛けられ、「三諸杉」の板看板が目をひく。
奥様の出迎えを受け杜氏の中村さんの案内で、醸造蔵を見学させて貰うことに・・・。
11月から3月までが一番忙しい時期とか。
今は、各機械や備品の清掃・洗浄作業中で、嵐の前の静けさといった感じだ。
清酒の原料である米は、酒のランクによって精米の仕方が異なるという。
玄米の表層部や胚芽の灰分やビタミン類、タンパク質、脂質などを取り除き、米の中心部のデンプン部分だけを残す比率が異なるのだろう。
一般の清酒は70%が残るという。つまり30%を捨てる。吟醸酒は40%を捨て、大吟醸となると50%を捨てる。
なるほど大吟醸は高いはずだ。
更に「洗米」して「米を研ぐ」のだという。
研ぐとは? 白米の表面に残っている糖分を水で洗い削り取るのだとか。2~3%カットするとか。
次に直径2mくらいはある大きな釜で米を「蒸す」のだ。
写真は釜だけだが、この釜で湯を沸かし、この上に蒸し器の釜を乗せて米を蒸すのだ。赤飯作りと同じ要領だ。
蒸された米の一部は室(ムロ)に入れられ「麹菌」を作る。このムロは昔からのもので、壁面、天井、扉まで全て籾殻(もみがら:玄米にするときに除去される表皮)が入れられていて厚みは40cmほどもある。
壁面に入れられている籾殻の入れ替えや補充は天井の隙間から行うという。製麹室をいろいろ見てきたが、こんなムロは初めてだ。
今は殺菌中で、中には何もない。ただ、消毒中の匂いだけが漂っていた。
ムロの室内は、35~40℃に保たれ48時間かけて麹を育成されるのだ。
次は、発酵タンクに麹・水・蒸した米などを入れる、仕込みの工程だ。
酵母を増殖させアルコール発酵させるのだ。この状態が「もろみ」なのだ。
5,000リッターのモロミが入るタンクが何本も並んでいる。
「当社は地酒ですから、少ないですよ。」と言われていたが・・・。それでも多い。
今は空っぽのタンクだが、モロミが入るとどんな匂いが漂うのだろうか。
次の工程では、発酵が進んできた「もろみ」を圧搾機に掛けるのだ。
「槽(ふね)絞り」といわれる方法で、「もろみ」を布袋に入れ積み重ねた上から加圧していく。
この工程で「酒粕(さけかす)」と「酒」に分けるのだ。
昔、この絞り具合で緩くしたものが「大吟醸」となり、絞り込んだのが一般の清酒だったとか。
今はこの「槽絞り」は大吟醸専用とか。手絞りだから高価なのだ。
隣には、自動で絞る機械もあったが、これは一般の清酒用なのだろう。
道路を挟んで、瓶詰め工場があった。瓶詰めの充填ライン、瓶詰め用タンク、ろ過器などがあった。
瓶詰めされたケースが高く積まれている。発送を待っているのだろうか。
中村・杜氏に、「杜氏」とは? と聞いてみた。
『工場長のようなものですよ。』
『全ての工程に責任を持っていますが・・・他の2人と同じことをしてますわ。』 と、笑っておられた。
大学卒業後、新潟の杜氏に弟子入りし、みっちり仕込まれてこの今西酒造へ。
自宅は会社のすぐ近くとか。ムロでの麹菌作りは昼夜を問わないため、徒歩で通勤できるほうが良いとのこと。
『お酒は、3分の2がコスト。化粧品などに比べコストの比率が高い。米代・水道料、加えて酒税。なかなか厳しいのです。』と、経営者的な視点も。
奈良県下での杜氏は3人。そのうちの一人。36歳の若手だ。
70歳以上が多いなか40~50歳台はいないという。これからの「酒造り」に貴重な存在だ。
古くて新しい酒造法、「室町時代の僧坊酒の酒母造り」を奈良の若手蔵元グループが500年ぶりに復元したという。
このメンバーの一員でもある。この蔵でも『菩提もと・三諸杉』という名で売られている。
また、テレビでも紹介された、和製シャンパン「雷来(らいらい)」の発売など、新製品の開発にも力を入れている。
また、蔵主の積極的な方針は、直営居酒屋「diningbar雷来」を、奈良市内にオープンされている。
とは言ってもこの「今西酒造」は265年の歴史を重ねた老舗蔵なのだ。
創業は江戸時代中期の寛保2年(1742年)という。
こんな手間のかかった「大吟醸」を飲まないわけにはいかない。
「お勧めのお酒は?」と、中村・杜氏に聞いた。
「大吟醸・みむろ杉」は、どうでしょう? 500CCで、2000円。
晩酌にコップ一杯だけ飲んだ。まったりした味。旨い!
手作りの現場とその工程を見ると、やっぱり、旨いのだ。
軒下には、造り酒屋を示す「杉玉」が・・そして「三諸杉」の板看板が目をひく。
精米された米を「研ぐ」のだ。白米の表面に残っている糖分を水で洗い削り取るのだ。
この大きな釜で湯を沸かし、この釜の上に蒸し釜を乗せて米を入れ、米を蒸すのだ。
この「室(ムロ)」に入れられ「麹菌」を作るのだ。この壁面・天井・扉には、籾殻が詰められている特殊な構造なのだ。室内を35~40℃に保たれ48時間掛けて麹菌を育てるのだ。
5,000リッターのモロミが入るタンクが何本も並んでいる。
「槽(ふね)絞り」といわれる方法で、「もろみ」を布袋に入れ積み重ねた上から加圧していく。この工程は「大吟醸」を造る専用のものだ。
隣にあった「もろみ」の自動絞り機。これは一般の清酒用なのかなぁ。
色んなお酒が・・・。「室町時代の僧坊酒の酒母造り」の『菩提もと・三諸杉』も並んでいた。
醸造工程の写真が掲示されていた。
若手のホープ、杜氏の中村祐司さん。
杜氏お勧めの「大吟醸・みむろ杉」。早速、買い求め晩酌で・・・。やっぱり旨い!
今西酒造株式会社
住所:奈良県桜井市三輪510
電話:0744-42-6022
FAX:0744-42-3612
HPアドレス:今西酒造
今は近代的な機械で作っているところがほとんどでしょうが珍しいですね。
燗酒の美味しい季節がやってきましたね。
最近日本酒を毎晩少々いただいています。ひやおろし、伏見のでしたがもう空になってしまいました(笑)大吟醸おいしいです。いま冷蔵庫には山田錦が入ってます。吉野杉の樽酒というのを試しましたが私には匂いが気になり、もう買いません。
決して酒飲みではありません(^^)が、奈良で飲んだ春鹿おいしかった~
お味噌の情報ありがとうございました。
のび太は、なんでもOKのほうですが、寒くなってきましたので、熱燗が好いです。 でも、大吟醸ともなれば、冷酒で飲みます・・・日本酒は、どちらかと云えば辛口を好みますが、造り酒屋の絞りたては美味しいですネ。 本当は、自家製のドブロクが旨いのですが、なかなか飲めません。
コーヒーなら微妙な違いが分かるんですが・・・