邦画ブラボー

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「鬼の棲む館」

2007年10月09日 | ★愛!の映画
南北朝時代。
荒地に建ったボロ寺に
荒くれ男の無明(勝新太郎)と
美しい女、愛染(新珠三千代)が暮らしていた。
男は妻を捨てて女との愛欲の生活に溺れている。
あいぞめ・ではなくあいぜんと読みますから念のため。

男を追ってくる妻にはなんと高峰ひ・デコちゃんが!

二人の
肉欲にどっぷりひたった、
爛れきった、
煩悩の塊のような
淫靡で卑猥で
猥雑な生活を(シツコイ?)
これでもかとみせつけられてもなお
男が振り向いてくれることを信じて妻は寺に居座る。

ここらへんは
脚本が新藤兼人ですからねちっこいです。

二人に徹底的にコケにされる妻役を高峰秀子がしぶとく演じております。
このような汚れ役をよくもまあ・・と思うくらい。

我儘な愛染を満足させるため、男はとうとう大盗人になり下がる。
ある晩
高野山の上人(佐藤慶)が宿を求めてやってくるのだが、
愛染をひと目見るなり驚愕する。

悪と善の戦い、
鬼と仏の戦いが勃発

西洋の悪魔VS神に匹敵するこの宿命的な戦い、
さてどちらが勝利するのだろう?

そしてこういう場合
「悪」のほうを応援したくなるのは何故でしょうか?
「エクソシスト」でも
悪魔のほうを応援してしまったなあ・・・

三隅研次が
谷崎文学をとってもわかりやすい時代劇に仕立てている。

いつもはしとやかな役が多い
新珠三千代の胸がすくような
運命の女・ファムファタルな悪女ぶりは
たいへんなものだが
ねっちりと二人を見る高峰秀子もまっこと、恐ろしい。
そして谷崎原作ゆえやっぱり、男は情けなく描かれておる。

1969年 監督 三隅研次  脚本 新藤兼人
原作 谷崎潤一郎  撮影 宮川一夫  美術 内藤昭
音楽 伊福部昭

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