邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「絵島生島」ドラマ版

2007年01月23日 | ★愛!の映画
原作:舟橋聖一
有馬稲子と片岡仁左衛門
「絵島生島」を
昨年暮れに前半六話まで見て、残りを先週末に見た。

1971年放送のドラマだから、
かれこれ30年以上前の作品になる。
有馬稲子 (当時39歳)、
片岡孝夫(現仁左衛門)(当時27歳)。

仁左衛門の初々しいことといったらつるつるのぴかぴか。
優れた役者の芸とは年を重ねるうちに
発酵食品のように熟成されていくのだろうか。
まだまだ硬い果実のようで、
堂々とした有馬稲子にたじたじといった風情です。

物語の前半は
明るく気立てがよく働き者の街娘(有馬)が
大奥にあがってあれよあれよと
出世していくうち
花形役者生島新五郎にほのかな思いを寄せ・という
まあ至極まっとうなスジ運びだが
これが後半に入ってええっ!?という驚きの展開になる。

忠義者の絵島と芝居ひと筋の生島。
似たもの同士が出合い、恋に落ちながらも
お互いクソ真面目であるために禁欲に禁欲を重ねた挙句
暴発?していく筋書きが面白かった。

絵島が仕える大奥のお局、小畠絹子が女っぽくて二重丸。
小畠といい仲?になってしまうお側用人、間部越前に佐藤慶。

有馬稲子の力量はたいへんなものだが
小畠絹子も美しい。清濁合わせ持った女の味も
よく出ていてその上手さには舌を巻いた。

お局さまと、間部の禁断の愛の現場を見て
純粋な絵島の心はかき乱されてしてしまうのだった。
そこらへんの有馬の心理表現はさすがでした。

びっくりの展開の後半についてはまた後で。

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「西鶴一代女」

2007年01月17日 | ★人生色々な映画
どんぶり飯三杯食べたような満足感が残る女の一代記。
井原西鶴の原作を
溝口健二と田中絹代の黄金コンビががっぷりと
四つに組んで作り上げた日本映画屈指の傑作。

溝口健二が作り上げた作品を見ると
いつも「宝石」みたいだと思うのだけど
これもとびきり大きな翡翠のようなメノウのような
真珠のような映画である。

今だったらたぶん外国語賞はもとより、
アカデミー主演女優賞・ゴールデングローブ賞総なめ
するであろう、娘から老女まで。超セレブから街娼まで演じた
田中絹代の神がかりの演技力に圧倒される。

由緒ある家柄に育ち御所勤めをしていたお春だったが、
不義密通を犯し、男は斬首、家は取り潰しになり、
親子は追放されるが
器量がいいので松平家の側室となり、
殿様の子を産むも子と離されて里へ戻され、
借金で首がまわらなくなった親に島原に売られる。
身請けされた男が盗人だったために捕まって・・中略・・・
商家に雇われ、主人夫婦に可愛がられたかと思うのもつかの間、
廓勤めがばれて旦那に手をつけられ、嫉妬深い細君に責められ出奔・・
その他にも色々あるけど中略・・・乞食になっていたところを娼婦たちに拾われ、ヨタカになるが・・・

何度も中略しないと書けないくらい
運命に翻弄される「流転」と言うにふさわしい人生で、
男運が悪いと片付けるにはあまりにも酷い。

諸行無常の響きありありなのである。

で、無駄が無いといいますかテンポが実にいいんですね。
先へ先へと運んでいく脚本も素晴らしいし
水谷浩の見事な美術、流麗なカメラワークと
見るところは沢山あるが、なんといっても田中絹代。
強そうで弱い、弱そうで強い、
死ぬにも死ねない女の悲しみが伝わってきます。

年老いて娼婦になったお春が
巡礼の百姓たちの前で辱めを受ける場面は、
汚れ役もいとわない田中の女優魂を感じた。
汚れ役といえば
「モンスター」のシャーリーズ・セロンもすごかったが。
(注:文脈とはなんら関係ありません)

他にも名優が沢山出ている。
三船敏郎と宇野重吉が若すぎて、
そしてアクが無さすぎて誰だかわからない!!
三つ子の魂百までというが(?)かろうじて鼻をすするクセで宇野だとわかった
沢村貞子が可笑しすぎる!

1952年 原作:井原西鶴監督:溝口健二 脚本:依田義賢
稚影:平野好美 音楽:斎藤一郎 美術:水谷 浩

*映画の中のイイおんな*
田中絹代:田中絹代の凄さは何本か見てわかったのですが
わかったときは背筋がぞおっと寒くなりました。
凄すぎて。
役を完璧に理解して表現出来る女優さんなので、
いつもその役そのもののように見えますね。

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「華麗なる一族」(映画版)

2007年01月16日 | ★人生色々な映画
山本薩夫は社会派と言われながら、「白い巨塔」がそうだったように
エンターテインメント要素もしっかり押さえる。
ドラマの宣伝がやたら激しいので、
映画版を久々見直してみたらやっぱり抜群だった。

同じく政財界のドロドロを描いた
同監督の「金環蝕」に比べ、華やかでサービス満点だ。
原作(山崎豊子)がとにかく面白いですからね。

映画版で網膜に焼きついたのは月丘夢路(正妻)と
万俵(佐分利信)と愛人(京マチ子)の同衾シーンだったり、
月丘夢路が風呂に入っているところへ
仁王立ちの万俵爺さん(仲代達矢・鉄平と二役)が
現れるドッキリショットだったりするのだけど、
湯気の中で
公家出身のお嬢様奥様の月丘夢路が
なよなよと「白い葛餅」のように濡れた床に横たわる場面は
なかなかのインパクトでした。(裸体は吹き替え・当たり前ですが)

財界、政界、複雑に絡み合う人間関係と家族の愛憎を
錚々たる役者が演じて今見てもとても見ごたえがあるので、
ドラマで興味を持たれたらぜひこっちも見て欲しい。
最近リメイクがあまりにも多いから、お決まりの台詞ですみません。

ドラマは見ていないのでなんとも言えませんが
仲代達矢と木村某を比べても詮無いことなので
比べて見るようなことはしたくないです。

それにつけてもこの映画で
娘婿の
大蔵省役人役で出た田宮二郎が
のちに万俵鉄平と同じ運命を選択するなど
誰が想像出来ただろうか。

1974年 監督 山本薩夫 原作 山崎豊子 脚本 山田信夫 撮影 岡崎宏三
音楽 佐藤勝  美術 横尾嘉良 大村武

*映画の中のイイおんな*
酒井和歌子:清らかなイメージを一度も崩すことが無いまま
スクリーンから消えてしまわれて幾年月。
万俵二子のようなお嬢さん役がこれほど似合う人はいませんね。
花のような明るい笑顔をもう一度。
和歌子カムバ~~ック!

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「海女の化け物屋敷」

2007年01月13日 | ★恐怖!な映画
恥ずかしくてなかなか書けなかったのですが
私の2007年初映画となったのは
これなのです!!

幸先がいいというか、なんちゅうか・・
の内容でした。

海女はもちろんおばさん抜きで
みな若いピチピチです。
狙いまくった際どいアングルでの水中シーンはお約束。
陸にあがったらあからさまにシースルーなんですね、これが。

三原葉子が海女では無いけど
水着になったり、濡れた衣服をぴっちり体にはりつかせたりと
均整の取れたプロポーションを惜しげなく放り出しています。

女同士の泥プロレスまであったりの、念の入れよう。
万里昌代の海女ファッションが色っぽくて
見ものとなっております。

行き届いた観客サービスがてんこもりだから
やっぱり正月映画だな、これは。

期待した化け物は
そんなに恐くなくて肩すかしをくらったが、
沼田曜一が女の首を「うひ、うひひ・・ひひ」と絞める、
非常にアブナイ演出は、「九十九本目の生娘」での
異常なトランス状態で美女を血祭りにする爺さんを彷彿とさせ、
幽霊よりこっちのほうが不気味だった。

監督は同じ曲谷守平で、キャストがかぶっている。
若き菅原文太兄いも出ているけど、
グラビアから出てきたようなヤサ男ポーズで見事に浮いている。
後年の「仁義なき戦い」の面影はまったく感じられない!

そして、
お婆さんスター五月藤江がここでも
スパイスを効かせていて、
なんと首吊り死体役で爆笑させるという、前代未聞の荒業を披露している!!!

新東宝のエログロものの
メインのイメージキャラクターとストーリーの
つながりについては、
今度あらためてゆっくり考えてみたいと思います。

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「大女優殺人事件」

2007年01月12日 | ★TV番組
暴露しますと、
浅丘ルリ子と岸恵子が共演するというだけで見ました。

水前寺清子がかつらをかぶってイブニングドレス着てると
誰だかわかりませんね。

ダンス番組から出張してきたかのごとき大胆胸元ドレス姿の
松坂慶子まで参入してびっくりした。

珍しく神妙な顔の井上順をはじめ、
草刈正雄、西川峰子、片桐はいり、寺泉憲、谷隼人
はしのえみなどがミステリーの登場人物。

原作はアガサ・クリスティ。

まあ最初から犯人はわかっているような
ものだといってしまうのは野暮です。
という私は
肝心のストーリーを追うよりも
浅丘ルリ子の顔ばっかり凝視してしまうというていたらくだったんですけども。

ぼ~っと見ていたら
「大女優化粧を落とす」のシーンがあり、
ばっちり目が冴えてしまった。
思い切ったサービス演出である。

おばさま探偵の岸恵子は時にユーモラスに、
優雅に事件を追っていく。
そこに、「プチ・家政婦は見た」テイストも含まれている、贅沢な?構成だ。

日本映画の、
あれもやったこれにも出た、
あの監督とも、あの俳優とも仕事してきた二人の大女優の、
有無を言わさぬ存在感が
ドラマの格をひきあげていた。

衣装も、はしのえみと比べると天国と地獄のわかりやすい格差があった。爆)

こたつに入ってみかんを食べながら見るには(コタツ無いけど)
ちょっと人が殺されすぎ?かもしれないが、
久々に華やかな女優さんたちを見て
正月気分が舞い戻りました。

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