邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

平成版「犬神家の一族」

2006年12月10日 | ★人生色々な映画
東宝試写室で見てきました!
先日からもったいをつけていた「嬉しいこと」とは、このことです。

30年後のセルフリメイク・・
果たしてどうなんだろう?
という思いで
日比谷に着いたときは正直言って
期待が半分と恐さ半分だったのです。

面白かったです!

前作と比べられるのは必定ですが
傑作と言われた前作を忠実になぞっているのにも驚かされました。
が、微妙に異なる場面もあるのです。
市川監督はもっといじりまくりたかったようで
春に公開だったらがらりと変わっていたかもしれません。

試写を見る前に実は
前作を4回見て台詞やセット、
カメラの位置など細部まで叩き込んで行ったので
どういう意図で変えたのかも
理解出来て、たいへん興味深かったです。
見終わってからまた一回見て確認したので通算5回。(爆笑)

前作の風景を再現した那須の町並み・・
だがそこを歩いてくるのは目の下にたるみも出来
皺も出来たあれから30年後の金田一です。
そして同じ惨劇が繰り返されるわけですが、
出演者は等々力警部、那須神社神官などを除いて
がらりと変わっている・・
それは映画を超えている・・というか
上手く言えませんがなにかとても不思議な体験でした。

すごく良かったのは菊之助くんです。
それと奥菜恵が上手く
ぶっ飛ばされるシーンなんかは、ど迫力でしたよ。
松坂慶子は少しふっくらされましたが、
華がある美女であることに変りなく
面白い役作りで見ごたえがあり、
萬田久子もよかったです。
近年大人しい役が多かった富司純子さんは
お竜さん以来の久々に華々しい演技をされていて、
これも必見。母子の情愛も痛いほど感じさせてくれます。

石坂浩二さんのなんとも滋味深い微笑が
時空を超えて天から降ってきたような金田一を体現していたように思います。

ぜひ劇場でご確認ください

それにしても大滝秀治だけ、
昔と変わらないのはなぜだあ!!

市川監督はやはり偉大ですね。2作で完全に犬神にノックアウトです。

本作に関しては公開されてからまたあらためて
細かく(笑)触れたいと思っています。

「犬神家の一族」オフィシャルサイト

「肉体の学校」

2006年12月08日 | ★愛!の映画
三島由紀夫を初めて読んだのは確か高校生の頃だったと思う。

「花ざかりの森」、「仮面の告白」の華麗な筆致に驚き
「憂国」はエロティックな描写に赤線をひいて
退屈な古文の時間に回し読みし
お爺ちゃん先生にしぼられた、楽しい?思い出がある。
だがしかしティーンエージャーにとって
三島の世界は底知れぬ沼のように不可解で深遠だった。
それから何十年・・(笑)

このところ映画化されたものを立て続けに見ているのだけど、
これが面白い作品ばかりなので原作もついでに買いまくった。
遅ればせながら絢爛たる世界に溺れてしまいそうである。

なんといっても
登場人物の心理がとてつもなく複雑で繊細なのに参る。

時々ついていけなくなるほど捻じ曲がり、
ひねくれまくって
しかも赤ん坊のように純粋だったりするのでとっても困る。

そしてくらくらするほど美しい!のにもほとほと困ってしまう。

「肉体の学校」は
男を漁っては捨てている旧華族令嬢の妙子(岸田今日子)が
むせかえるようなゲイバーの喧騒の中で見つけた
美しい獣のような男、千吉(山崎努)に見とれるところから始まる。
千ちゃんはバイセクシュアルなので男でも女でもOKなのである。

初めてのデートに
下駄履きで現れ、勝手にパチンコ屋に入るわけのわからん男に妙子は夢中になる。
フランスのELLE誌のグラビアが
そのまま映画になったような「男嫌い」もびっくりしたけど、
めちゃめちゃスタイリッシュな画面を作る木下亮って何者?

男に溺れながらも高いプライドを捨てきれない女。
対して
生き延びるために常に物事に対してクールに振る舞い、
這い上がろうとしてきた男。
果たして勝負はどっちに?

お二人の名優に加え、木村俊恵、東恵美子といった
ベテラン女優が妙子の金持ちの悪友として登場している。
東恵美子は「白い巨塔」の東教授夫人だったし、まあいいとしても
木村俊恵はどうしても
「仁義なき戦い」の“山守のおかみさん”を思い出してしまって
スノッブなマダムには見えなかったなあ。

レトロモダンなインテリアを嗜好する方も必見だ。
妙子の豪華でお洒落な棲家に目が釘付け。
エレガントなお洒落にも注目。
物憂げでけだるそうなたたずまいは女性なら誰しも憧れるだろう。
岸田今日子はそんな妙子にぴったりでした。

木下亮 監督作品

原作
三島由紀夫  脚色 井手俊郎  撮影 逢沢譲
音楽 池野成 美術 竹中和雄

*映画の中のイイおんな*
岸田今日子:エレガンス・・長い手袋に大きな宝石。
写真集でチラッと見た三島夫人って妙子みたいな人だったような気がする。
(お顔じゃなくて雰囲気が)
直接的な表現をしなくてもすごくエロティックな匂いを放てる人である。

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浅丘ルリ子トーク

2006年12月06日 | ★TV番組
昨日の香川京子さんは
「女優らしくなく・・」と書いたが
じゃあ“女優らしい”ってどんな人だっていうの?と、
自分に激しく問いかけていたところ、
格好の人がテレビに出ていた。
浅丘ルリ子である。

今更言うまでも無く、
日本映画の黄金期をささえ、現在もなお映画に舞台に
大活躍されている大女優さんだ。

私は舞い上がった。
というのも数日前、三島由紀夫原作の「愛の渇き」を見て
激しく感動したばかりだったからである。
たいへんに難しい役だったが、他の女優さんでは考えられない程
主人公に肉薄していて素晴らしかった。

昼下がりのN○Kのスタジオに現れたルリ子さんは
金のブラウス、ゴールドのマニキュア、
「芦田淳さんからこれ着ていけばといわれた」という
ゴージャスなスーツから折れそうな脚を
惜しげもなくさらしていた。

アナウンサーに言われる前に自分で言う。
「細いでしょう~~細いのよ。でも元気なんです!」

群がる人々に気軽に声をかけ握手し、
手を握られた人はそのままぶっ倒れるんじゃないかと思うほど感激していて
スタジオ一帯に「スタア~~!」の金粉が舞っているような華やかさであった。

もちろん化粧は濃い。
濃いが、メイクを落としてもお美しいのは間違い無いのだ。

なんでも、ちょっと出かける際にも
アクセサリーをつけ、きちんとした服、フルメイク。
常に女優であることを意識されているそうだ。

昨日求めていた答えがここにあるではないか!
インタビューが進むにつれ、
私の興奮は増していった。
この人こそ私が思うところの
「女優」のイメージに合致するのではと期待は高まる。

持参した、「こだわりのコーヒー」をアナウンサー共に
つぎながら、ポンポンと喋る喋る!

「あらいやだ、私、手が震えているわ。緊張してるのね」
ありがたそうにコーヒーをすするアナウンサーは
石橋蓮司の「煮ちくわ」の時と同じ台詞
「美味しい!」を同じトーンで繰り返していた。

大スターは意外とお話好きだった。

「こないだ電車にはじめて乗ったの。」「色んな方がいるのね!」
浅丘ルリ子が電車に乗る姿は想像しにくい。

*ポイント:生まれてこの方、電車に乗ったことが無かった。

「私実は料理も上手なんです」

*ポイント;料理はおろか、
靴下も自分で履いたことが無い風に見える


「はじめて皆さん(他の女優)がなさるように
帽子かぶってノーメイクで出かけたら、ほんとに楽なのねえ」

*ポイント:いつでも何処でも常にフルメイク

「ずっときちんとした格好しかしなかったんですけど、
最近ジーパンを履いてみたんです!」
石坂浩二さんと離婚された6年前くらいから
少し心境が変わられたようだ。

ではお写真を・・・
次の瞬間、ブラウン管を見つめていた誰しもが
ガツンと殴られたような衝撃を受けたのではないか?

それは想像をはるかに超えた姿であった。

全体に装飾がほどこされた、
ベルサイユタッチ?のデザイナーズもの。もはやジーンズであって
ジーンズではなく、モードなのである
その上にフルメイクの浅丘さんの顔がある。

う~~~~~~~~~~ん・・・やっぱりこうでなくては。

*ポイント:いわゆる世間一般的な格好は
しない
、庶民のいう「カジュアル」とは概念が異なるのである。

芝居の稽古時も、浴衣などではなく、
シーンに合わせた着物をその都度着て小物も変える!とか。
それは蜷川幸雄さんの芝居をやったときからの習慣で、
役に近い服装で稽古するという方針からなのだそうだ。
なんたるプロ根性!

ポイント:常に女優であることを忘れない
というか、長年そうやってきたので忘れることが出来ないのだそうだ。

以上の結果を持って
浅丘ルリ子さんは私のイメージの中で今や絶滅危惧種ともいえるような
最も女優らしい女優であることを確認した。

思えば、そういう方と同じ時代に生きていること自体も貴重だ。
間違いなく後世、伝説になる人である。
いつまでもお元気で大女優オーラを発散させて欲しい。

そんな浅丘さんの新作
「早咲きの花」 オフィシャルHP

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香川京子さんin 「徹子の部屋」

2006年12月05日 | ★TV番組
徹子の部屋」に香川京子さんが出ていた。

おっとりとした口調で静かに語る香川さんは
およそ女優らしくなく
上品な奥様・・といった風情であった。

だがこの人ほど見かけによらない人はいない。

溝口監督、成瀬監督、そして黒澤監督、今井正、豊田四郎監督作品、
巨匠の作品に多数出演した。
小津監督の「洗いざらしだね」という言葉通り、
素は真っ白なのに
その役柄によってがらりと豹変する、女優の中の女優だと思う。

「近松物語」のときはなんとまだ22歳だったそうである。
「赤ひげ」の狂女、「猫と庄造と二人のをんな」のアプレガール、
「ひめゆりの塔」も忘れがたい。
貞淑な人妻、安寿!・・等々。

役が入ると優しげなまなざしが一変し、強い光を放って
まるで魔法を見るようである。


ロバート・デ・ニーロが「タクシー・ドライバー」で脚光を浴びた頃
インタビューを見て、あまりの淡々とした素顔に
役者とはすごいものだなと驚いたことがあったが、
香川さんはもっとすごいと思う。

小津作品に出た時、
小津監督というよりは原節子さんと共演出来るのが嬉しかったとか。
黒柳:「あの方、笑いながら台詞をおっしゃるのね。
私やってみたけど出来なかったわ」
徹子さんが鏡の前で
笑いながら原節子の台詞を言ってみている風景を想像して笑った。
私も真似してみたけど出来なかった!(爆)

人に仕事を決められるのが嫌で、
いち早くフリーになったそうで、
そういうところからも静かな外観とは裏腹の強いプロ意識を感じた。

今また47年ぶりに主演されたそうだ。
戦争中の千葉・館山を舞台に
女性たちが戦争を考える物語
「赤い鯨と白い蛇」。せんぼんよしこ監督の意欲作だ。
「世の中、高齢者の方が多くなってきて・・
若い方向きの映画だけではなく、高齢者がごらんになるような
映画もなくてはいけないと思う」という香川さんの顔は
引き締まっていた。同感である。
70歳を過ぎてからの主役っていうのも素晴らしいですね!

赤い鯨と白い蛇公式HP

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「花実のない森」

2006年12月03日 | ★人生色々な映画
松本清張原作のサスペンス。

若尾文子
頭二つあるかと思うほど
ボリュームのあるヘアスタイルで登場する。
付け睫毛にふっといアイライン、60年代の最新モードで
魔性の女全開です。

自動車のセールスマン梅木(園井啓介)は郊外で車を走らせていた際、
見知らぬ女二人を車に乗せることになる。
若い方の女みゆき(若尾文子)の美貌に釘付けになった梅木は
「このまま別れるのは惜しい」と思う。

お互い憎からず思っている男女というものは
なぜかいずれは会えるもので
再び出会った
梅木とみゆきは男女の仲になるが
みゆきの身辺はなにやら不可解・・

調べていくうちに梅木は奇怪な事件に巻き込まれていく。
田村高廣はみゆきに異常な執着を燃やす異母兄で
「おまえのそばで食事がしたい」などと気色悪くて最高。

いつも面白い役どころの船越英二も上手い。

二転、三転するプロットが
さすがの松本清張節。
それに若尾の魅力も加わった相乗効果でぐいぐいみせていくが
今ひとつドカンとくるインパクトにかけるのはなぜでしょう。

園井啓介は優しいマスクの、いかにも二枚目で
若尾と似合いのツーショットであった。

1965年
監督  富本壮吉
脚本 舟橋和郎
原作 松本清張
撮影   小原譲治
音楽   池野成
美術 間野重雄

*映画の中のイイおんな*
若尾文子:この映画の中では華奢な二の腕なども見せ、
洋装がほとんどです。メイクは極濃いです。
何度も変わるヘアスタイルにも注目。
絶対真似出来ないボリュームだけど。(The B52’に似ている)

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