邦画ブラボー

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「裸の大将」

2006年12月15日 | ★人生色々な映画
時代は太平洋戦争末期~戦後。

放浪の旅の中で出会った人々との
暖かいエピソードがちりばめられている、
いわば山下清(小林桂樹)版ロードムービーだ。

小林桂樹の名珍演技に大笑いできるコメディ仕立て。

清の母に三益愛子、
加東大介、沢村貞子、団令子、
有島一郎、森川信、三木のり平など脇も豪華豪華。
みな名も無い市井の人々として登場するが
それぞれほんの短い出番でも
天下一品の芸を見せてくれる。

露天風呂で
清の長々した話に辟易する柳家金語楼 の百面相も見ものだし、
最もおかしいのは清の貧乏家族で、
マスコミに追っかけられるほど有名になったのに
共同便所の焼け跡に居を構えているのもバレるとか、
弟も職探ししてカッコつけなきゃならない羽目になったとか、
かえって迷惑がっているのが可笑しい。

「まったくあの子が有名になったおかげでとんだ迷惑だよ。
ほんとにどこまで面倒かけるのかねえ。」(三益愛子)

面白い脚本だな~と思ったら水木洋子だった。

世の中の矛盾も清にかかれば一発で白日の元に晒される。

出征シーンで、女「どうせ日本が勝つに決まってるんだから!」
清:「勝つか負けるかは誰にもわからないのに
千代ちゃんたちはヘンなこと言ってるな」

プッと噴出してからなるほどなと納得する。

反戦メッセージがスパイスを効かせている。
こうしてみると小林桂樹ってほんとに演技がうまいなあ。

男「兵隊に行って戦って死ねば靖国に祭られて神様になるんだぞ」
清「普通に死ねば仏様で戦争に行って死んだら神様になるんだな」

時々ドキッとする。

芦屋雁之助の山下清も素晴らしかったけど
こちらは可愛らしくて愛おしくなる清です。

言いにくいようなことも
山下清風に言うと厭味にならずにいえるかもしれない!

監督 堀川弘通 製作 藤本真澄 脚本 水木洋子
撮影中井朝一
音楽 黛敏郎 美術 河東安英

*映画の中のイイおんな*
団令子:ちらっとしか出てきませんが
バスガイドの役です。化粧直しをする仕草が
かわいらしくて、スタイル抜群!声がハスキーなのも
いいですね。

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