邦画ブラボー

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「肉体の学校」

2006年12月08日 | ★愛!の映画
三島由紀夫を初めて読んだのは確か高校生の頃だったと思う。

「花ざかりの森」、「仮面の告白」の華麗な筆致に驚き
「憂国」はエロティックな描写に赤線をひいて
退屈な古文の時間に回し読みし
お爺ちゃん先生にしぼられた、楽しい?思い出がある。
だがしかしティーンエージャーにとって
三島の世界は底知れぬ沼のように不可解で深遠だった。
それから何十年・・(笑)

このところ映画化されたものを立て続けに見ているのだけど、
これが面白い作品ばかりなので原作もついでに買いまくった。
遅ればせながら絢爛たる世界に溺れてしまいそうである。

なんといっても
登場人物の心理がとてつもなく複雑で繊細なのに参る。

時々ついていけなくなるほど捻じ曲がり、
ひねくれまくって
しかも赤ん坊のように純粋だったりするのでとっても困る。

そしてくらくらするほど美しい!のにもほとほと困ってしまう。

「肉体の学校」は
男を漁っては捨てている旧華族令嬢の妙子(岸田今日子)が
むせかえるようなゲイバーの喧騒の中で見つけた
美しい獣のような男、千吉(山崎努)に見とれるところから始まる。
千ちゃんはバイセクシュアルなので男でも女でもOKなのである。

初めてのデートに
下駄履きで現れ、勝手にパチンコ屋に入るわけのわからん男に妙子は夢中になる。
フランスのELLE誌のグラビアが
そのまま映画になったような「男嫌い」もびっくりしたけど、
めちゃめちゃスタイリッシュな画面を作る木下亮って何者?

男に溺れながらも高いプライドを捨てきれない女。
対して
生き延びるために常に物事に対してクールに振る舞い、
這い上がろうとしてきた男。
果たして勝負はどっちに?

お二人の名優に加え、木村俊恵、東恵美子といった
ベテラン女優が妙子の金持ちの悪友として登場している。
東恵美子は「白い巨塔」の東教授夫人だったし、まあいいとしても
木村俊恵はどうしても
「仁義なき戦い」の“山守のおかみさん”を思い出してしまって
スノッブなマダムには見えなかったなあ。

レトロモダンなインテリアを嗜好する方も必見だ。
妙子の豪華でお洒落な棲家に目が釘付け。
エレガントなお洒落にも注目。
物憂げでけだるそうなたたずまいは女性なら誰しも憧れるだろう。
岸田今日子はそんな妙子にぴったりでした。

木下亮 監督作品

原作
三島由紀夫  脚色 井手俊郎  撮影 逢沢譲
音楽 池野成 美術 竹中和雄

*映画の中のイイおんな*
岸田今日子:エレガンス・・長い手袋に大きな宝石。
写真集でチラッと見た三島夫人って妙子みたいな人だったような気がする。
(お顔じゃなくて雰囲気が)
直接的な表現をしなくてもすごくエロティックな匂いを放てる人である。

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