邦画ブラボー

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「十一人の侍」

2011年05月10日 | ★ぐっとくる時代劇

ひ、ひとが燃えてる~~~~~!!

びっくりしたなあもう!!

何度「あっ!」と叫んで腰が浮いたことか。

工藤栄一監督の過激な演出が冴え渡っております。

このあいだ三池監督によってリメイクされた

「十三人の刺客」(’63年)の4年後に公開された佳作。

無駄なジョークもいれずに一気に突っ走る、

ソリッドな任侠集団抗争時代劇。

 

将軍の弟であることを嵩に、暴虐を極める館林藩藩主松平齊厚(菅!貫太郎)に

主君を殺され、お家御取り潰しの憂き目に会う

夏八木勲以下忍藩十一人の侍のリベンジ物語。

冷徹なお役人水野越前守(佐藤慶)に

まんまとだまされる館林藩家老、南原宏次=(今回は悪役じゃない)が哀れでした。

十一人の中には

「十三人の刺客」メンバー、里見浩太朗西村晃が入っていてにんまり。

を守る館林藩家老には大友柳太朗と、

要所要所を

いい役者でがっちり固めております。 

さて、大願成就までには犠牲がつきもの。

あっぱれな死に様をさらす若侍(近藤正臣いい仕事してます)、

夫の邪魔にならぬよう自害する侍の妻など、日本人にはぐっとくる泣き所も押さえております。

ここいらへん、ちょっと「忠臣蔵」入ってます。

ためにためて

いざ!という決行場面は半端なく美味しいです!?

深い森の中、

疾走する馬が砂煙の中、浮かび上がってくるシーンは鳥肌が出そうなくらい

カッコイイ。これだけでもものすごい見もの!

さらに

ラストの豪雨(この設定は「七人の侍」の激しさを思い出させる)の中での死闘は

「十三人・・」を彷彿・・いやもっとすごいかも!・・と思わせる迫力で大満足。

侍社会の無常観も漂わせ、圧巻エンターテインメントに仕上がっています。

 

余談ですが、

工藤監督って「刃物」の扱いがうまいというか、

殺陣がものすごくリアルで痛そう・・・

撮影の吉田貞次は「仁義なき戦い」シリーズのキャメラマン。

どどど~~~っと音がするような、臨場感のある画を撮られております。

アドレナリン沸騰!

1967年

企画 岡田茂 天尾完次 

脚本 田坂啓  国弘威雄  鈴木則文 

撮影 吉田貞次  

美術 塚本隆治 

照明 井上孝二 

音楽伊福部昭 

追記:この映画を企画された岡田茂さんがお亡くなりになったとか。

謹んでご冥福をお祈り申し上げます。