邦画ブラボー

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「忍びの者・続霧隠才蔵」

2006年10月24日 | ★ぐっとくる時代劇
「忍びの者」として五作目
霧隠才蔵ものとなって二作目
ややこしいがそういうことになる。

話は続いているが
前作鴈治郎だった家康が小沢栄太郎に、と
配役は変わっている。

大阪夏の陣からの幕開け。
またもやしょっぱなから大砲の音と共に
指揮を取る家康が吼えまくる。

徳川の勢いはとどまるところが無い。

だがただひとり
その流れに抗うストイックな男がいた。

ソレは誰かといえば・・

炎に包まれた城内で腹を切ろうとする真田幸村(若山富三郎)を
熱く説得し城から逃がす霧隠才蔵(市川雷蔵)・・
に決まってます。

幸村への忠誠を貫き、家康(小沢栄太郎)の命を狙う霧隠は
スイッチオンになったままのターミネーター状態だ。

元々捨て身の忍者には恐いものなどあるはずが無く
たとえ幸村が死のうとも年老いた家康が病魔に臥そうとも
その手を緩めることは無い。
案の定家康本人にまで
「おぬしがわざわざやらずともワシは病で死ぬワ」
と笑われるが、才蔵は意に介さないどころか
目標貫徹に向けて燃え上がるばかりだ。

遂に家康が死んで、
「やったやったぞ家康が死んだ!」と叫ぶ姿には鬼気迫るものがあった
だが老獪な家康の指示もあって徳川の世は
ゆるぎないものになっていく。
これはブラックなオチといわざるを得ないだろう。

屋根裏での忍者の戦い、水中戦、くノ一戦など見所は押さえてありますが
ゲストも地味でちょっと失速気味。

「忍びの者」は当初、シリーズを予定していなかったが
図らずも大当たりしたので次々と続編を作ることになった。

雷蔵自身は忍者五右衛門が、死んだ妻子の元へ向かう
二作目で「忍びの者」を演じきったつもりだったようだ。
(「雷蔵・雷蔵を語る」より)
人気沸騰したため、
会社側の意向で続けることになったが、
雷蔵は
五右衛門(1、2)→釜茹でから復活・出奔(3)
という展開に疑問を感じたそうだ。
加えて
→いきなり霧隠才蔵が主人公に(4から
)となったのだから
大いに戸惑ったのではないだろうか。

面白いのは、
そうして会社の命でシリーズを続けざるを得ない自分を
「私の境遇も大きな力に押し流されてしまう忍者の運命に
似ているかもしれません・・・」と書いているところだ。

やるからには面白いものにして観客を楽しませたい・・
と思ったに違いないが
この第五作の歯切れがイマイチなのは、
そんな雷蔵自身の迷いが出ているからのような気がする。

1964年 監督 池広一夫
脚本   高岩肇
撮影 牧浦地志
音楽   池野成
美術   西岡善信

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