邦画ブラボー

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「手討」

2006年06月02日 | ★愛!の映画
岡本綺堂原作:
番町皿屋敷の物語。

だけど、悲恋もので怪談ではありません。
一枚でも欠けたら即刻お手討ち!の
「家宝10枚セット」とわかっていながら
みずから大事な皿を割ってしまう大胆不敵なお菊(藤由紀子)でびっくり。
その動機というのが、
愛を交わした殿様、青山播磨(市川雷蔵)の心を試そうという、
女心からだったのだ。
悲恋物語でありながら、お菊が浅はかすぎて
あまり同情心は湧かないけれど、
市川雷蔵がやっているので許そう・・。

たいへんなことを仕出かしておきながら、
「喜んでお手討ちになりますう~」
という心理が今もって理解不能。
播磨も「大小を捨ててでも添い遂げる」と言ってたはずなのに
手討ちにするなよと
つっこみたくなりましたがまあ、ねえ・・

背景に旗本と大名の対立という政治的背景があり、
武家社会の構造上、やむを得なかったのかもしれないが
なにやら癇症の似たもの同士カップルだった。

この話は「歌舞伎」でも見ている。

播磨(坂東三津五郎)が皿を割ったお菊(中村福助)に、
さあ皿を数えろ!とサディスティックに詰め寄る場面が
えぐい演出であった。
お菊がわなわな震えながら
「いちま~~~い、にい~ま~~い・・ひぃいい~~」と数える、
お馴染み部分もミックスした作り。

お化けが出てくる方の
「番町皿屋敷」は実は姫路の播州がルーツだとか。
色々混ざって伝わっているのでしょうか。

監督 : 田中徳三 原作 : 岡本綺堂 脚色 : 八尋不二
企画 : 浅井昭三郎
撮影 : 牧浦地志
音楽 : 伊福部昭 美術 : 西岡善信
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