邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「逆襲獄門砦」

2006年06月27日 | ★ぐっとくる時代劇
先日、満州で映画製作の指導をした
映画関係者たちの足跡を追うドキュメンタリーを見た。
映画のことを何も知らない中国人に撮影のノウハウ、
編集の技術などを教えた方々は中国映画の基礎を作った。
だが、帰国した彼らを待っていたのは共産主義に加担した」
という冷たい世間の目だったという。
この作品を撮った内田吐夢監督もそういうひとりだった。

大陸でそのダイナミックな感性が培われたのだろうか。
飢餓海峡」、錦之介の「宮本武蔵」シリーズ、
型破りのスケールの大きさは日本人の枠を超えている。
片岡千恵蔵と組んだ「血槍富士」の立ち回りも圧巻だった。

時は幕末。役人たちは尊王、佐幕派に別れ、
権力争いの渦にいた。

天領地江州に新たに赴任して来た代官脇群太夫(月形龍之介)は
民百姓に圧政を加え、幕府の盛り返しを狙う。
更に討幕軍を討つ頑強な砦を築くために領民に重労働を強いる。

難しいことはわからねえ~~
代官さまたちの思惑は知ったこっちゃねえ~~!
砦の仕事は嫌だ~
おらたちは明日食う米もねえだ~~
人質の爺さま返せ~

おらたちの米を返してくんろ~~~~わあああ
(筆者解釈による勝手な脚本につきあしからず)

猟師の照造(片岡千恵蔵)がリーダーとなって決起した民衆は、
一気に代官屋敷に押しかける!!

怒涛のような一揆シーンはこの映画の最大の見所であろう。
のべ、何百人を使ったのか?あっけにとられるダイナミズムだ。
なるほど、門はこうして壊すのか。まるごとの大セットを破壊し、
屋敷になだれ込む!

片岡千恵蔵と憎憎しい月形龍之介の戦いも見ごたえがあった。
二人とも腹の底から絞りだすような声で見せ場を盛り上げる。

片岡千恵蔵が虐げられれば虐げられるほど、
その後にくる爆発が楽しみでわくわくしてしまう。

権力に対する反抗がテーマである。
ウィリアム・テル」が下敷きになっているのでしょうか。
(酷似している)
ストーリーはシンプルなのに感覚としては
まるで「ローマ帝国の崩壊」を目の当たりに見たような重量感だった。

代官屋敷をぶち壊してしまった百姓たちは大歓声をあげるが、
その後の運命は語られていない!

1956年 監督 : 内田吐夢 脚本 : 高岩肇  撮影 : 吉田貞次 
音楽 : 深井史郎 美術 : 鈴木孝俊
■ブログランキングへ
気が向いたら応援してください