邦画ブラボー

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「地獄」

2005年04月15日 | ★恐怖!な映画
これは・・・・
楳図かずお先生のギャグをお借りするならば、
ギョエ~!・・である。

昭和のトンデモ映画シリーズその1。
(その後シリーズが続くかは未定)

みなさんご存知の「地獄」。地獄に堕ちたらどうなるでしょう?
あまり考えたくないテーマですが
怖いもの見たさの方はどうぞ。これは中川信夫監督版。

タイトルバックになぜか女性のヌード??
最初から地獄の有様が描かれているわけではなく、まず
登場人物の現世でのいざこざ、過ち、その他もろもろが描かれる。

とにかくみんなみんな死んでしまう。
そのバタバタぶりは見事で、最後は一気!です。

あっけにとられる。

生きているうちから亡者のようなルックスの人たちも大勢出演。

そして彼らが地獄に落ちて再会。
恐ろしい地獄めぐりの始まり始まり・・・というストーリー展開。

主人公にまだうら若い天知茂。恋人に三ツ矢歌子、
天知につきまとう悪魔のような友人に沼田曜一
この人は独特の台詞回しで知られ、
ヒロシマの悲劇の語り部として全国を回っている方です。
久々にお顔を見たが、顔、声共にやはりインパクト大。

天知は前世の罪を悔いて謝ってばかりいる善玉学生。
反対の悪玉人間が沼田なのである。

閻魔大王はすごい隈取のアラカン(嵐寛十郎)。

亡者たちは現世の過ちを何度も何度も何度も繰り返し体験する。
嫌なことばかりを追体験させるのは
心理学でいうところの退行催眠、前世療法にも似ているような・・・

目をそむけたくなるお仕置き場面なのに
笑ってしまうのはなぜ?
ちょっと遊園地のお化け屋敷のえげつなさや
蝋人形館のエグ味を彷彿とさせます。

あまりにもバレバレの仕掛けにしまいには大笑いしてしまいました。
観念的な描写もアリ、前衛的でもあった。
いきなり逆さまになったり斜めになったりする
斬新なカメラアングルにも驚いた。

ラストで主人公らの安らかな?死に顔が写される。
あの世では「地獄の苦しみ」を味わっているというのに、
みな静かに眠っているようでした。

製作はいわずと知れた新東宝。大蔵貢。
この人が製作した一連の怪談映画は大蔵怪談として一世を風靡?
日本の「ハマー・ホラー」と呼ばれたということは定かではない。

とにかく「憲兵とバラバラ死美人」「亡霊怪猫屋敷」とか
「人喰海女」などちょっとアレな作品も沢山製作していた。

どぎつい色彩の駄菓子のように食べだすと癖になります。

1960年中川信夫監督作品

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