邦画ブラボー

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大菩薩峠「竜神の巻」

2005年04月12日 | ★ぐっとくる時代劇
妖剣・音無しの構えの机竜之介(市川雷蔵)・・

人気を博した眠狂四郎シリーズはこの後に続くのだが
この机竜之介というのがとんでもない男。
尋常ではなく腕が立つ。
その剣は災いを生み出していき・・・そして
女は犯すわ、敵もそうでないものも情け容赦無く
斬り、斬り、斬りまくるわで
そのクレージーさは他の侍ヒーローの追従を許さない。

第一部のラストで己の犯した業深き過ち故に
遂に精神に異常をきたし
わはわはわははははははと半眼になり暴れ狂う狂之介
、ではなく竜之介が圧巻だった。

そして狂ったまんま
竜之介を仇と狙う若者(本郷功次郎)と
対決するところで第一部は終わった。

主人公が狂ってしまってはもはやこれまでだろうと思いきや・・
第二部「竜神の巻」ではけろりと
正気に戻りまたもや向かってくるものをばたばた斬っている!

だが、「何も見えん!」
アクシデントに巻き込まれて、両目がつぶれてしまうが
盲目になっても、というか
盲目になったがためによけいに凄味が増しているではないか!

その強さは人間離れしている。

あまりに強くて爽快。

この後、森一生監督がメガホンを取った「完結編」がある。

シリーズ三部作で特徴的なのが
ひとりで何役もこなしている中村玉緒の存在。
まさに輪廻転生を象徴しているかのよう。
竜之介の業の深さが、
悪夢のように何度も繰り返される出会いを作り出しているのか。
暗い空に竜神の滝。ドラマチックな音楽が盛り上げる。

市川雷蔵の凄艶な魅力が
狂気の男をすら、美しくみせる。

1960年 監督:三隅研次 原作 中里介山 脚本:衣笠貞之助 

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