邦画ブラボー

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「祇園囃子」

2004年08月24日 | ★人生色々な映画
「小津が愛した女優たち」という番組の中で
若尾文子は、「監督の求めている役になりきることだけを
いつも考えているんです」と言っていた。
「何かの役を演じている時の方が、自分でいるより楽なんです・・」とも。

溝口健二監督作品・「祇園囃子」では、若尾さんはまだ初々しい10代で、
あの「刺青」の主人公と同じ人とは思えません。
様々な女性を演じ分け、常人の何倍もの人生を生きているようで羨ましい。

今にも崩れ落ちんばかりに頼りなげな木暮実千代もいい。
口元のほくろ、美しい横顔。
大輪の花のような華やかさがある女優さんでした。
台詞まわしが艶っぽすぎてどきりとしてしまいます。

やり手女将の浪花千栄子(適任・適役)のプレッシャーや、
好色なお客の嫌がらせに負けず、
かばいあうように生きる二人の美しくけなげな姿に泣けました。

監督は溝口健二、そして撮影はあの宮川一夫という、
黄金コンビが作り上げた美しい珠のような作品です。

目を見張ったシーンがひとつ。

浪花千栄子さんが洋服姿(あっぱっぱ・古いですね~)になるシーンが
一箇所あるんですが、
とても珍しい歩き方なんですね。

足先がカタカナの「ハ」の字、というよりも
股関節からすでに着物仕様になっているのです!
先日青山の路地裏で見たおばあちゃんがこんな歩き方だった。

1953年 溝口健二監督作品 川口松太郎原作

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