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邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「座頭市牢破り」

2010年09月28日 | ★ぐっとくる時代劇
座頭市16作目、勝プロとしては第一回作品。

監督が山薩、撮影宮川一夫とくれば
見ない手は無い!と飛びつくが
勝プロ一回目なので
もしかして
山本 + 勝監督???作品?

冒頭、盛り場で無理やり的当てをやらされた市が
見事に極小の的を射抜き、野次馬の度肝を抜くシーンの始まりは
ワクワク。
かぶさる音楽も何処かゴジラの登場を思わせるように派手で
まがまがしく、つかみはオッケ~!!

が・・

とある村にわらじを脱いだ市は
百姓たちを啓蒙するインテリ侍(鈴木瑞穂)に出会う。
悪い親分と善い親分の対決に巻き込まれて悪い方を倒したつもりが
善いと思っていた方(三國連太郎)も実はワルだったため
不覚にも沢山の犠牲者を出してしまう。

がここで
待った~~!

最初に市が心酔していたはずの
ニセ善玉三國連太郎親分の心変わりがさっぱり説明されていない。
西村晃が演じる残虐で色好みの役人の扱いも中途半端で
イマイチ乗れない筋運び。
もしかして三國連太郎が咳をしていたことに関係あるのかしら?
全然わからな~い!

市に斬られてしまう子分に細川俊之と酒井修がいて哀れを誘ったり
座頭に扮した藤岡琢也と鳳啓助が笑いを取ったりするが
なんだかもったいな~い。

囚われた啓蒙侍を救い
うそつきの三國連太郎の首をすっぱり斬って
得意の三味線早弾きも披露したりと市さんは大活躍ですが・・
題名の「牢」は破っていないし
(襲うのは街道でしたし)

なんだかつじつまが・・・

ラスト、百姓たちに「シェーン!カムバック!」さながらに
「市さ~~ん!」「いちさ~~ん!」と惜しまれながら
田んぼの一本道を去っていく姿はまるでヒーロー!

不気味で恐ろしかったゴジラがどんどんアイドル化していったように
シリーズ最初の、ひとり裏街道を歩いていた座頭市は
このあたりからどんどん饒舌になり
ヒーローになっていったのであります。
それはそれでカッコイイですけど
孤独で淋しくて強い市が好きだったなあ。

勝新によると思われる演出のアイディアが
そこかしこに見られるので
そういうところを探すのも面白いかも。

どうでもいいことですが
落ち武者に代表される元結が切れたざんばら髪って
不気味だけど、三國連太郎がそうなると怖さ百倍で最恐!

1967年
山本薩夫
脚色 中島丈博 松本孝二  猿若清方
原作 子母沢寛
撮影 宮川一夫
美術 西岡善信
音楽 池野成

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「侍」再見

2010年01月19日 | ★ぐっとくる時代劇
「桜田門ノ変」の記事を書いてから
たまらなく「侍」が見たくなって
再見!

最初の映像から桜田門だったのね!

カメラとカット割りが
カッコよくて痺れる。

脚本は
星野監物(伊藤雄之助)率いる水戸浪士が
浪人鶴千代(三船敏郎)の素性を探る動きと
鶴千代の生い立ちを知る東野英冶郎の語り、
狂言回しの役割を果たす記録係の記述と、
三本立ての構成で
次はどうなるどうなると引っ張り込まれていく。

橋本忍の真骨頂。
さすが~~~~!の上手さ。

ラストの死闘は
なんとたっぷり8分!

その間、よけいな音楽は一切入れず、
歌舞伎の雪の場面で使われる
太鼓を打ち鳴らす「ドン!」「ドン!」という音が合間に入るだけ。
音が消されたような雪景色の中
凄まじい雄叫びと呻き声が響き渡る。
ここで変な音楽が入ることなど考えられない緊迫感だ。

襲われた側も襲った側も死に物狂い。
現場のモタモタ、ゴタゴタ、ズビズバ?が手に取るように伝わってくる。

すごい臨場感で息がつけない!
高々と首を挙げる三船の表情と後姿は
何かに呪われているようで
ギリシャ悲劇と言うよりはホラー!

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「大奥」

2009年09月22日 | ★ぐっとくる時代劇
恵比寿ガーデンシネマの
「溝口健二特集」でお見かけしてより
西島秀俊さんを他人と思えなくなっているわたくしです。(勝手に)
西島さんはテレビ版「大奥・第一章」でも
憂いを秘めた徳川家光を演じ、大好評だったが
このたびは絵島生島の生島新五郎を演られるとのことで
楽しみにしていた。

結論から言うと上様のほうが似合っていたように思いますが。

といいまするのも 
べらんめえ言葉が合わない、
額にばらりと落ちるひと筋のなんとか毛
(色男役によくあるほつれ毛のことを
以前京本政樹が説明していたが、忘れた)が、これ見よがしすぎる
・歌舞伎役者場面がキツイ・
などなどの「うわべ」の理由からなのですが

物語がすすむにつれ
だんだんと西島ペースにのみこまれ。
最後には泣けそうに・・・
不思議なオーラ、男の色気!がありますねえこの方は。

仲間由紀恵も、
人生たった一度の恋に燃える純情な絵島役を好演。
この人は近年稀に見るプロの女優さんだと思っている。
決して「素」の顔を見せないで
司会をしてもコメディをやってもシリアスな芝居をやっても
きっちり仕事をこなす様は
歌手でいうと、絶対ミスらない小林幸子のような、プロ魂、
ど根性を感じる。

大奥といえば女の戦い

鬼女軍団の親分には高島礼子、そして松下由樹、
眉毛の無いメイクで時折ぎらっと光る目が恐い木村多江、怖いといえば杉田かおる
映画とあって、益々声にドスを効かせた浅野ゆう子という
おなじみメンバーに加え、仲間側に井川遥
特別ゲストに江波杏子(画面が締まる)、北村一輝(画面が濃くなる)
もちらっと顔を見せる、
大奥ファンには嬉しいラインナップでまさに大奥祭り状態

ちょっと気になった箇所:
井川遥とラブラブ役の及川光博が
江戸城のど真ん中を現代人のように手を振って
スタスタ歩いていてしらけたので
時代劇なのだからそこんとこ宜しく演出して欲しかった。

高島礼子の悪役、貫禄ありあり。

監督 林徹  脚本 浅野妙子

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「乾いて候」

2008年12月24日 | ★ぐっとくる時代劇

久々に
子連れ狼のコンビ、小池一夫と小島剛夕の原作、
傑作時代劇「乾いて候」(1984年)を見た。

主人公腕下主税(かいなげもんど)を演じる
田村正和の他に田村高廣(アニキ)田村亮(弟)も共演している、
今見ると夢のようなドラマ。
三兄弟、共に甲乙つけがたい立派な容貌だ。
さすが、阪妻の遺児たち!

着流し、総髪の超二枚目が似合う役者ってなかなかいません。
へたすると
ギャグになってしまう役どころを
完全に「二の線」で通してくれるところが嬉しい。
どうせ私を騙すなら騙し続けて欲しかった~~♪
騙し続けてくれる俳優がいい。

これ舞台で見ようと思っていて見損なったんですよ。

先日、正和10年ぶりの時代劇とかの
「忠臣蔵・音無しの剣」をちらっとみたが、
ちょっと若作りが苦しかった。
田村正和でも年は取るのだなあ。
しかし
すっくと立ったらこっちのもの。
立ち居振る舞いはやっぱり狂四郎、
腕下主税を彷彿とさせる流麗なものであった!

「よっ!にっぽんイチ!」
と、声をかけたくなるような
役者さんもそういない。

もっと時代劇やって欲しいです!

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「おんな極悪帖」

2008年07月31日 | ★ぐっとくる時代劇
これは面白い~~~~~~~~~~
久々にどえらく面白い娯楽時代劇を見た。

その味わいは、
クリームあんみつに白玉をたっぷり乗せて
パッションフルーツをトッピングして
生クリームを絞りだしたような・・と言いましょうか。

安田(大楠)道代の美しき悪の華に
トンデモ・キ印ヘンタイ殿様(岸田森)、
悪の美剣士(田村正和)、
凄腕短刀使いの中老(小山明子)、
ずる賢い助平をやらせたら右に出るものはいない?小松方正の医者、
同じくむっつり助平をやらせたら天下一品、佐藤慶の家老などの
色と欲が絡みあい、
地獄のような戦いが繰り広げられる時代劇。

岸田森が幼い子供の前で
わははははは
わははははは
と笑いながら何かをアグっと食べてみせて
その口元が血で真っ赤!になるシーンがあるのだが
はっきり見えないので
それが何かが激しく知りたい!!

主役の安田道代の男をとりこにする手練手管は
悪女をめざしている女性必見!
ただし、「小悪魔」通り越して
「大悪魔」ですのでハンパではないです。

その凄腕女っぷりも見事だが
小山明子の、
敵には氷のように冷酷、
惚れた男(田村正和)にはメロメロ年上女に変身する女も
見もの。
田村正和も意外な役回りがグ~~・アイラインはすごく太いです。

全員悪人登場人物が、
騙し騙されて死ぬまで戦う、
地獄草紙さながらのデスバトル。
最後に残る幼い若君が
母の亡骸を前にして
キ印殿様そっくりに
わははははは
わはははは

と笑う、
ブラックなオチ付き。

原作は谷崎潤一郎の「恐怖時代」。
安田(大楠)道代の
妖艶な美しさは悪魔的だ!

歌舞伎で歌右衛門が演じたことがあるそうな。
タイムマシンで戻って観たい~~!!

監督は「眠狂四郎」などの池広一夫です。

時代劇専門チャンネル
「禁断の大映おんな映画」で観ました。

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