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邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「眠狂四郎 魔性剣」

2014年01月07日 | ★ぐっとくる時代劇

今年の初映画は

「眠狂四郎 魔性剣」となりました!!

 

 市川雷蔵主演

「眠狂四郎シリーズ」第六作目となるこの作品の目玉は

狂四郎を兄の仇と狙うおりん役の

嵯峨三智子です。 

この頃の嵯峨三智子は

もしかしたら

母親の山田五十鈴を凌いでいたといっても過言ではないんじゃないかと

思わせる才能を感じさせます。

妖艶

ロウたけた美貌

小股の切れ上がった女

魔性の女

数々の形容詞を並べても語りつくせないほどです。 

 

物語は狂四郎が、

例の毒舌

ひとりの女の心をズタズタにし、死に追いやってしまったことから

始まります。

でもその事をちょっぴり後悔した狂四郎は

贖罪のためか?お家騒動に巻き込まれた子供を救ったりと

柄にも無く

「いいおじちゃん」になったりもします。

 

「据え膳をいただこう」

のシーンや

転びバテレンフューチャーの

おどろおどろしい黒ミサの場面など

けれん味もちらちらで楽しめます。

ただ、円月殺法をお見舞いする相手に

スターがいないので

ちょっともの足りない気も・・・やっぱりこういうシリーズは

狂四郎に見合う

バ~ンとした悪役が欲しいところですね。

 

その穴を埋めている嵯峨三智子は

狂四郎をつけ狙い、物陰からちょろちょろ出てきて、 

「お前さんにかかわるものはみんな不幸になるのさ」

「ふん カッコつけやがって」

「ざまあ見やがれ」

 

さすがの狂四郎もぐさっとくるような

捨て台詞を吐いては猫のように消え

強烈なオーラを放ちます。

 

雷蔵も著書

雷蔵、雷蔵を語る」で

「非常に貴重な人材で、

特に時代劇をやらせれば

彼女ほど仇っぽい演技が出来る女優は他にいないだろう」

と言っているほどです。

また、共演した時は「彼女の強烈なお色気発散、立ち居振る舞いといい日常会話のエッチさ加減(本文どおり)に

たじたじとした」そうです (爆)

一方、

「いろいろと苦労していることが人間のふくらみにならず

だんだん本質と遠ざかっていくようでは損をすると思うが。このままでは惜しい」とも。

 

この本が出版されたときはすでに彼女は

薬物依存、スキャンダルや整形で

いつの間にか我々の前から姿を消してしまっていたのでした。

 

惜しいですよね~~~

 これは

最高に美しかった頃の彼女と雷蔵の

ツーショットを拝める

貴重な作品といえるでしょう。

 (どうでしょうこの”おりん”の必殺流し目。

狂四郎に悪態をついているところなのに、この色気ですわ!!)

 

1965年 安田公義監督

日本映画専門チャンネルにて

 

 

 

 

 

 

 

 


笹沢左保の「峠」シリーズでござんす(感想)

2012年04月22日 | ★ぐっとくる時代劇

笹沢左保の股旅ものっていうと

すぐに浮かぶのは

「あっしには係わり合いのねぇことでござんす。」

木枯らし紋次郎」!

この「峠」シリーズは、

「紋次郎」の撮影中に主役の中村敦夫が怪我をしたため、

復帰まで番組が休止。

その穴埋めで急遽作られた

たった四回のシリーズだと言う事ですが、

とても充実した内容。

隠れた股旅ものの傑作と言ってもいいと思う。

紋次郎にも共通する、主人公である渡世人たちの

クールな生き様が心に残ります。

 

プロットが面白いのは当たり前なんだけど

各話演出もキレが良くて、一気に見てしまいました。

音楽もまことに良しで

股旅気分を盛り上げます。

高橋悦史主演森一生演出宮川一夫撮影の

第一話といい、

まあほんとに

甲乙つけ難いんですけど、

いつもは繊細な文学青年のような役が多い

松橋登が、

ニヒルで寡黙な渡世人を演じる第4話:

森一生演出「鬼首峠に捨てた鈴」

が、

展開といい、乾いたムードといいものすごく良かったです。

絡む子役がまた上手くて・・・・

 

川津祐介も「青春残酷物語」以来の

適役!

第2話「狂女が唄う信州路」で

持ち味である硬質な魅力を振りまいています!!

 第3話は天知茂と梶芽衣子の共演が見逃せません。

4話とも、甘さ抜きのビターなムード。 

渡世人が話す特殊な台詞が素晴らしい。

全編に渡り独特の美学が貫かれているのは

さすがで

笹沢左保を無性に読みたくなってしまった!!

****

時代劇専門チャンネル」さん、

これからも隠れた名作をどんどん放送しておくんなせぇ。


「大殺陣」

2011年05月12日 | ★ぐっとくる時代劇

 十三人の刺客」、「十一人の侍」、「大殺陣」は

工藤栄一監督の集団抗争時代劇の三部作だ

どれも最後に大迫力の抗争場面が控えているが

この作品では

「川」に入っての斬り合いが爆発的にエネルギッシュ!

手回しカメラによるリアルな映像は

まるで自分も斬り合って!?いるような気持ちにさせてくれる。

そしてこの作品では「音」もすごい。

戦闘場面にかぶさるすさまじい怒号と叫び声が、より臨場感を増している。

他にも「音」が効果的に使われている場面があって特徴的だと思った。

四代将軍家綱の時代。

大老酒井(大友柳太郎)は甲府宰相・綱重を

 後継に立て、自分の天下にしようともくろんでいた。

それを阻む一派が綱重を狙う。

新婚ほやほやの里見浩太朗も思わぬことから企てに巻き込まれてしまう。

それにしてもこんなに激しく暗い里見様(現・水戸黄門様)、見たこと無い!

さらにクライマックスでの平幹二郎!の

大爆発で胸がす~~~~っとするサービス付。

これが無きゃ、あまりのことにやりきれませんわ。

 

白黒映画。他の二作同様、光と影のコントラストが最高に美しい。

全体的に話が暗くて娯楽作とは言えないが、

ハードボイルド時代劇の傑作として後世に残る作品だと思う。

脚本は「十三人の刺客」の池上金男。

これもまたおちゃらけ無しのマジ時代劇です。 

三部作全部に出ているのが若くてイケメンだった

里見浩太朗なんですね!時代劇好きイケメン好き必見。

 

★追記:深作欣治の傑作時代劇「柳生一族の陰謀」の印象的なラスト、

錦ちゃんの狂乱はこの大友柳太郎から着想したのではと思いました。

関連記事

十三人の刺客

十一人の侍

 

1964年 

 

監督 工藤栄一 

企画 松平乗道 

脚本 池上金男 

撮影 古谷伸 

美術 富田治郎 

照明 安田興一 

音楽 鈴木静一

 

 

 


「十一人の侍」

2011年05月10日 | ★ぐっとくる時代劇

ひ、ひとが燃えてる~~~~~!!

びっくりしたなあもう!!

何度「あっ!」と叫んで腰が浮いたことか。

工藤栄一監督の過激な演出が冴え渡っております。

このあいだ三池監督によってリメイクされた

「十三人の刺客」(’63年)の4年後に公開された佳作。

無駄なジョークもいれずに一気に突っ走る、

ソリッドな任侠集団抗争時代劇。

 

将軍の弟であることを嵩に、暴虐を極める館林藩藩主松平齊厚(菅!貫太郎)に

主君を殺され、お家御取り潰しの憂き目に会う

夏八木勲以下忍藩十一人の侍のリベンジ物語。

冷徹なお役人水野越前守(佐藤慶)に

まんまとだまされる館林藩家老、南原宏次=(今回は悪役じゃない)が哀れでした。

十一人の中には

「十三人の刺客」メンバー、里見浩太朗西村晃が入っていてにんまり。

を守る館林藩家老には大友柳太朗と、

要所要所を

いい役者でがっちり固めております。 

さて、大願成就までには犠牲がつきもの。

あっぱれな死に様をさらす若侍(近藤正臣いい仕事してます)、

夫の邪魔にならぬよう自害する侍の妻など、日本人にはぐっとくる泣き所も押さえております。

ここいらへん、ちょっと「忠臣蔵」入ってます。

ためにためて

いざ!という決行場面は半端なく美味しいです!?

深い森の中、

疾走する馬が砂煙の中、浮かび上がってくるシーンは鳥肌が出そうなくらい

カッコイイ。これだけでもものすごい見もの!

さらに

ラストの豪雨(この設定は「七人の侍」の激しさを思い出させる)の中での死闘は

「十三人・・」を彷彿・・いやもっとすごいかも!・・と思わせる迫力で大満足。

侍社会の無常観も漂わせ、圧巻エンターテインメントに仕上がっています。

 

余談ですが、

工藤監督って「刃物」の扱いがうまいというか、

殺陣がものすごくリアルで痛そう・・・

撮影の吉田貞次は「仁義なき戦い」シリーズのキャメラマン。

どどど~~~っと音がするような、臨場感のある画を撮られております。

アドレナリン沸騰!

1967年

企画 岡田茂 天尾完次 

脚本 田坂啓  国弘威雄  鈴木則文 

撮影 吉田貞次  

美術 塚本隆治 

照明 井上孝二 

音楽伊福部昭 

追記:この映画を企画された岡田茂さんがお亡くなりになったとか。

謹んでご冥福をお祈り申し上げます。 


「十三人の刺客」見ちゃったもんね

2010年09月29日 | ★ぐっとくる時代劇
これからごらんになる方に

注意点:
本編が始まる前にトイレに行っておくこと
ラストは斬り合いが続き、息がつけません。
それとお子様には見せないほうがいいです。強烈な映像が含まれます。

*********************


オリジナル工藤栄一版を見ているので
今回は新しい映画を見るつもりで
楽しもうと心に決めていたが
やっぱり比べてしまった!

派手なセット、CG、
もういいってくらいたっぷりの
ひとりひとりの個性を生かした戦いぶり・・
刺激いっぱいのアメリカ映画を見慣れた人にも
十分応えられる娯楽性を持っている。

戦闘場面でハリウッド映画みたいに音楽が入っていたら
嫌だなと思っていたけど、
工藤版と同じく
一切音楽無しだったのはナイス!

また、工藤版で度肝を抜いたハンディカメラによる
リアリティあるカメラワークも継承。
さらに工夫が凝らされ、パワーアップされていました。
カメラいいな、と思いました。

ただ三池流の悪趣味・・いやエキセントリックな演出は
私は苦手~~

ざっくりいいますと
ベテラン、若手、中堅を上手く配してエンターテイメントとして
派手にまとめたと思うが、
面白いところあったんだけど~~
刺激あったんだけど~~
・・・・むむむ・・
まあ、時代劇に何を求めるか・・でそれは違ってくると思います。
とだけ言わせてください。

これ
リメイクではなくて

登場人物と筋は似ていても、
方向性が全く違う映画ですね。

パワフルで乗りに乗ってる三池監督、次は当然3Dでしょうね。

私はシネコンのレディスデイに行ったのですが
お客は7割方入っていて
場内に年配の男性がけっこういらっしゃったのが印象的。
(水戸のご老公のような和服姿のご隠居様も!)
皆様は
どんな感想を持たれただろうか?
とても興味があります。

ごらんになったらぜひ感想お聞かせください!

追記:この作品を見たら
工藤版見ていない方、ぜひごらんになってください。
と言うことも言わせてください・・

2010年
監督:三池崇史
原作:池宮彰一郎
脚本:天願大介
音楽:遠藤浩二 
撮影:北信康
美術:林田裕至

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●工藤栄一版「十三人の刺客」

●「十三人の刺客リメイクされたのね」(昭和版とのキャストの比較)

●「十三人の刺客」リメイク談義::邦子とブラ子の会話

公式サイト


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