事件の聞き込み

実家　夜

私は一人で留守番？
一番早く帰宅して
１階の居間で寛いでいると

オレンジ色のＴシャツを着た
おばさんが縁側に来る

縁側は半分サッシを閉めて
一部網戸にしている

近所の人かな？
（私は実家の近所の顔が
　ほとんど分からない

私：こんばんわ

「○○××」

ぼそぼそとした声で
おどおどした様子

なんだか不穏な空気を感じて
物売りか？と思い

私：要りません

とにかく関わらないでいよう

雨が酷く降ってきて
窓にも、窓にかけた洗濯物にも
かかるかもしれないから
サッシを閉めてカギをかける

＊＊＊

私が夜、玄関に帰宅
（さっきのとつながっているようで違う

奥のほうから声がして

私：ただいまー！

また窓の向こうに
さっきのおばさんがいて
今度はおじさんも一緒

やけに複雑な作りの機械を持っていて
こちらに向けているから

私：
撮影するんですか？
映りたくないので止めて下さい

とレンズ辺りを手でふさぐ

２人はなにか大変な事件を
極秘で調べているかのよう

周囲に気づかれないように
１人でも多くの証言を
集めている様子

何があったのか知らないし
証言することもないし
どこかに顔が映るのは嫌なので
厳しく断り、戸を閉める

母に事情を話すと
何か心当たりでもあるのか

台所の上に小さな紙を置いて
「物置小屋」と赤いペンで
走り書きしている

私：
物置に何か入ってたの？
たいしたものじゃないだろうけど

用心に越したことはないから
２人で家中の窓を全部点検して
開いていたら閉めてカギをかけることにする

私：
途中、万一のことがあった時のために
台所に１０分、いや５分戻らなかったら
すぐに警察に通報ね


真っ暗になったほうが
相手には好都合だろうか？

懐中電灯は物置にまとめてあると聞き

私：
そういうのは、災害時のために
いろんな所に置くものだよ

台所の窓に
人影が見えた気がして

母は横からバーンと
勢いよく閉める

ひと晩真っ暗でどうしようか？