落ち込みの3つの原因

2007年09月04日 | メンタル・ヘルス

 「ほんとうの自己実現」の話の前に、感受性豊かで、やさしすぎて、いろいろなことがあるたびに落ち込んでしまいがちで、現代社会では生きづらい人のために、ちょっとだけアドヴァイスをしておきたくなりました。

 詳しくは、そのために訳したホーク『きっと「うつ」は治る』(PHP研究所)を読んでいただくことにして、ごく一部を改訳・引用しておきます。


 落ち込みの三つの原因

 1.自分を責めること
 もしあなたが、いつも自分をやっつけ、憎み、自分は世界中で最悪の人間だと思い、だからいつもひどい目に遭うのは当然だ、などと考えていたら、100パーセントの確率でまちがいなく落ち込むでしょう。自分をかなりきつく叱っているとしたら、その理由が何であれ、実質的にちがいはありません。昇進できなくても、年に一度の「ブタの叫び声コンテスト」で勝てなくても、誰かがあなたに挨拶してくれなくても、自分を責めれば自分で落ち込みを引き込むだけのことです。もし強烈に自分を責めていたら、気持ちがものすごく混乱して、泣きたくなって、黙り込んで不機嫌になって、橋から飛び降りたくなったりするでしょう。
 ちょっと責めるだけなら、嫌な気分になりまちがいなく不機嫌になるというだけのことかもしれません。その程度なら事態は深刻ではないかもしれませんが、でもデートをすっぽかしたり、パーティーや旅行を台なしにしたり、まわりの人にあいつとは一緒にいたくないと思われたりするのです。

 2.自分をあわれむこと
 うつになる第二の道は、自分をあわれむことです。自分が公平に扱われなかったといって悲しみにうちひしがれていると、ただちに落ち込みます。人の同情を買おうとして悲しそうな顔をしていると、やがて落ち込んできます。世界にはあなたの面倒を見る責任があると考え、それなのにこの世界はなんて不公平なんだろうと思えば、落ち込むのです。
 意外に思う人が多いかもしれませんが、「他の人は自分を公平に扱うべきだ」、「自分がやさしくしたらやさしさが返ってくるべきだ」、「世界は生きるに価する場所であるべきだ」などと言い張るのは神経症的なことだと学んだほうがいいのです。もしそういうありえないことを信じていると、自分が当然だと思い込んでいるようにものごとがならないと、必ず落ち込み、傷つけられたと感じ、腹を立てることになります。
 これからあなたに――落ち込みたいくないのなら――学んでいただきたいのは、この世に生きている間、恩を仇で返す人がいるというのは例外というよりむしろよくあることで、ものごとはいつもなるようにしかならないのだと納得するればするほどより心理的に健康な人間になれる、ということです。

 3.人をあわれむこと
 自分が足を折っても他の人が折っても、気持ちが暗くなることがあります。世界には苦しみが限りなくあるので、自分の直接の家族でなくても、何百万のもかわいそうな人たちのひどい状態に思い入れをする機会も果てしなくあるわけです。私は、そうしたひどい状態や心痛むようなことが現実にあり、時には悲劇的でさえあるという事実を否定するわけではありません。しかし、松葉杖の子どもをあわれんだり、家が火事になった人のことをあわれんだり、戦争で息子を亡くした母親をあわれんだりしていると、自分自身を責めたりあわれんだりした時とまるでおなじで、あなたは落ち込みます。どの方法であれ落ち込むのはおなじで、一つの方法は他の方法とおなじくらいひどくあなたを落ち込ませることができます。唯一確実なのは、あなたが最悪の苦痛に陥るということです。……

 教養ある文明人なら誰もが、仲間の人間の苦しみを感じるものです。人々が体験していることに共感や感受性のない人間は、明らかに神経症的で愚かか、さもなければ無神経なのです。仲間である他の人間の逆境に対する思いやりは、教養ある文明人の徴です。しかし思い入れのしすぎは、そうではないのです。これは、あなたが心理的に健康でいたいと思うなら、引いておかなければならない一線です。

 「ただ思いやりをしているのでなく、思いやりをしすぎているというのは、どうやってわかるのだろう?」という疑問が出てくるかもしれません。単純です。それはあなたが傷ついたときです。落ち込み、暗い気分、怒りを感じはじめたら、それは人のために思いやりをしすぎていて、かつ神経症的に行動している証拠です。そう、それは神経症的なのです。あなたの傷ついた気持ちはその人の悲惨の上にもう一つ悲惨を加えるだけなのですから。友達があなたに求めているのは、あなたが苦しんで落ち込むことではないのです。期待しているのは、あなたの元気さのレベルまで彼を引っ張り上げてくれることであって、彼が自分の落ち込みのレベルまであなたを引き下ろすことではありません。


 では、どうすればいいのか? と思った方は、ぜひ前掲書と拙著『唯識と論理療法』(佼成出版社)を読んでみてください。残念ながら、長くなりすぎてブログ引用は無理なので。

 きっと、気持ちがすっきりしてきて、有効な行動をしようという元気が出てくると思います。




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