コスモロジーを伝えても元気にはならない?

2006年08月19日 | メンタル・ヘルス

 去年の8月20日からこのブログ授業を始めました。

 ちょうど丸1年です。

 このブログとほぼ同じ内容のつながり・重なりコスモロジーの授業をすると、学生の中から必ずといっていいほど出てくる、いくつかの典型的な質問があります。

 ネット学生のみなさんにも、たぶん同じような疑問・質問のある方がおられると思いますので、少しずつお答えしていきたいと思います。

 典型的な質問の一つは、「この授業を受けて、私は元気になったんですが、今すごく落ち込んでいる友達に伝えても元気にはならないんじゃないでしょうか?(あるいは、元気になりませんでした)」というものです。

 これは、かなりの程度そのとおりというほかありません。

 コスモロジー教育=コスモス・セラピーは、どちらかというと「予防志向」の方法で「治療志向」の方法ではありません。

 (この言葉は、小澤徳太郎先生がスウェーデンの環境政策と日本の環境対策との違いについて使っておられるものを借用しました。)

 落ち込み-自信喪失-うつ状態というのは、ある程度続くと「心の癖」、さらには「アイデンティティ」「パーソナリティ」にまで固着してしまいがちです。

 私の臨床的な経験からすると、いったんアイデンティティにまで固着してしまうと、落ち込んでいる私=私という心理状態になり、元気になると私が私でなくなってしまうような気がして、元気になりたいのになりたくないというアンビバレンツな状態になる人が多いようです。

 そうすると、コスモロジーを伝えて元気にしようとしてくれることが自分のアイデンティティを攻撃されることに思えて、素直に受け容れることができなくなるのです。

 そういう状態になっている人に、コスモロジーをすぐ直接伝えても効果はないどころか、逆効果のことさえあります。

 ここで詳しい臨床心理学的な手順を書くことはできませんが、落ち込みが癖-アイデンティティになっている人には、まずそのままの状態を受け容れるというアプローチから始める必要があります。

 そして、相手が十分受け容れられたと感じた(とこちらが感じる)段階になってようやく、「でも、元気になりたいんだよね? 元気になりたいのなら、お手伝いしたいと思うけど」というアプローチを始めることができます。

 そのための方法としては、私はアドラー心理学、論理療法、フランクルのロゴセラピー、サイコシンセシス、そしてコスモス・セラピーなどを総合的に使っています。

 つまり、コスモロジーは、いつでもどんな心理状態の人にでも有効というわけではないのです。

 しかし、その人と、予めかなり深い心のつながりができていて、その人の落ち込みが固着化していない段階なら、心を込めて伝えるとうまく伝わり、元気になってもらえることも少なくありません。

 「コスモロジーは、残念ながら万能薬じゃないんだよね。でも、友達の状態をよく見て、うまく伝わりそうだったら、伝えてもいいんじゃないかな。ダメそうだったら、他の手を考えるといいね」というのが、そういう質問をした学生への私のアドヴァイスです。

 それから、一般的には、多くの心の病がつながりを見失ったことから起こるという事実を見ると、心理的健康のための予防策として、できるだけたくさんの子どもに、できるだけ早くからつながりコスモロジーの教育をしたい、というのが長年にわたる私の切実な願いです。

 ネット授業を受けて共感してくださったみなさん、ぜひ、一歩進んで、コスモロジー教育を広める運動に参加してください。



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