近代以降、とくにこの百年、とくにこの3,40年の間に行なってきた人間の産業活動による環境破壊汚染の結果だと推測される、他の生物種に対する影響がどれくらいかも見ておきたいと思います。
みなさんは、世界の生物種は毎日何種類ずつくらい絶滅しているとお思いでしょうか?
米国科学アカデミーの発表によると、毎日――間違えないでいただきたいのですが、毎年ではありませんし、毎月でもないのです――毎日約200種の生物が消滅しているそうです。そして、それはずっと止まっていないということです。
これはどういうことを意味しているかを、きちんと受け止めないといけません。「なんとなくたいへんらしい」「私たちにできる範囲の努力をしましょう」といったアプローチでは、この40年間、よくならなかったのです。
ですから、環境に関わる思想と行動の発想を根本的に変えなければいけないと私は思っていて、根本的に変えるための提言をしてきました。
地球の生物種は確認されているところで、約150万種だそうです。未確認のもののほうが多いらしく、500万から3000万種ぐらいいるのではないだろうかと推測されています。毎日200種ずつ滅びていくと、2050年ころまでに絶滅種は200万種にのぼるだろうといわれています。現存が確認されているのが150万種です。確認されている数よりも多い数が滅びるだろうということを、米国科学アカデミーが公式の発表として予想しているのです。
以上は、1998年の第一版の時に把握した数字でした。
今回、再確認のために国際自然保護連盟(IUCN日本委員会)の最新の記事を見てみると、状況は以下のようでした。
世界的な絶滅危惧種の状況
レッドリスト2004には15,589種の絶滅危惧種が記載されている。脊椎動物、無脊椎動物、植物、菌類を含む非常に幅広い分類群からなる種が記載されている。しかし、世界の190万種の既知種のうち3%以下しか科学的データがなく、この15,589という数字は絶滅危惧種総数の最も低い値といえる。……
近年の絶滅について
……近年の絶滅の割合は、過去に記録されている絶滅の割合を遥かに超えている。知られている鳥類や哺乳類、両生類の過去100年にわたっておこった絶滅の確率は、現在の絶滅のスピードが過去の記録にある絶滅のスピードの50倍から500倍もの早さで進んでいることがわかる。もし絶滅した可能性のある種を加えると、自然の絶滅のスピードの100倍から1000倍にまで上る。これは極端に控えめな試算である。というのも記録のない絶滅を全く考慮していないからだ。この試算は非常に控えめなものだが、現在の絶滅のスピードは、少なくとも過去の割合を2倍から4倍のオーダーとなっている。
生物種の絶滅に関しては、止まっていないだけではなく、絶滅のスピードの減速さえもできていないようです。
この他あげていけば、地球温暖化、オゾン層の破壊、放射能汚染、環境ホルモンなどなど、ずいぶんいろいろな、深刻なデータがもっと山ほどあるのですが、このくらいのポイントをあげただけでも、私たちがどれくらい絶望的な状況にあるかということを数値で確認していただけると思うのです。
くり返しますが、1969年、「あと10年しか余裕がない」と国連事務総長の警告があって、すでに35年経ったのです。これが今私たちのおかれている状況だということです。
私たちが、こうしたデータを知らないだけで、「それほどたいへんではないのではないか」「何とかなるのではないか」「できることをしよう」という発想やアプローチにとどまって、結局、実際には環境の悪化を止めることができていないという状況に満足したりあきらめたりできないのなら、「では、どうすれば、ほんとうに止められるのか?」と考える必要があるのです。
国際自然保護連盟の評価によれば、スウェーデンは今世界でいちばん「エコロジカルに持続可能な社会」に近づきつつあるそうです(それでも、まだ達成はしていないというのですから、課題は大変です)。
国単位で、環境の悪化を本気で止めようとしており、実際の効果をあげつつあると評価されているのです。
エコロジカルに持続可能な世界を創り出したいという願いをもつ人間にとって、今、スウェーデンはいちばんのモデルになる、ということでしょう。
昨日一日を使って、私たちはシンポジウム「日本も〈緑の福祉国家〉にしたい! スウェーデンに学びつつ」への参加呼びかけのDM450通以上を、政治家、学者、環境運動家などの方々に送ったところです。
もうしばらくしたら、一般の参加者の方への呼びかけも始めますので、お待ち下さい。
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