ポイント2:人口増加に食糧増産が追いついていない

2006年08月25日 | 持続可能な社会
 前々回のブログでお話しした状況に対して、穀物の収穫量がどうなっているか、おおまかに見てみましょう(これは、第一版1999年時点に把握したデータのまま)。1050年には6億3000万トン、75年に12億3000万トンと約倍増しています。96年推定では18億4000万トン。つまり50年からいうと3倍に増えています。人口は50年から96年で約2.5倍です。それに対して食糧は3倍に増産できています。

 これなら大丈夫じゃないか、という感じがするかもしれませんが、実はこれは森林を耕地に転化し、膨大な化学肥料と農薬を費やして土壌汚染をやり、たいへんな量の地下水資源を汲み上げて灌漑をしながらここまできたわけです。最近は、これに遺伝子組み換えという危険な試みも加わっています。

 つまり環境の汚染、破壊、資源の浪費、生態系かく乱の危険を前提にしてここまできたということです。

 これから毎年8000万人(これは、7600万人になりましたが)増えていくということは、穀物だけでも2600万トン(これは、2470万トンになります)必要だということですが、すでに生産可能な土地は減少しつつあり、水資源、土壌の汚染流出は許容の限界にきているというのが、国連食糧農業機関その他信用していいと思われる機関の認識です。

 必要な食糧は穀物だけではありませんが、海洋資源も基本的には同じような状況にあるようです。

 ごく最近のFAOの発表を見てみると、以下のような状況です。

 「世界の8億5200万人の人々が十分な食料を作り又は購入する力を欠いている」(FAO日本事務所・プレスリリース、2005年12月7日

 「農産物の生産及び消費は、先進国よりも開発途上国でより増加している。しかしながら、最貧国においては、農産物生産の成長率が人口増加による農産物需要の増加に追いついていない、と4日にOECD-FAOが農業見通しを発表した。」(FAO日本事務所・プレスリリース、2006年7月4日

 「2006年7月 No.2発行  世界穀物在庫急減の予測:多数の国で食料危機継続
 FAOは7月発行の“Crop Prospects and Food Situation”(「穀物見通しと食料情勢」)の中で、世界の食料在庫は2006年に急減し、その原因は穀物の収穫減と需要の増大によると述べている。」

 つまり、FAOなど各機関のたいへんな努力にもかかわらず、人口増加に食糧増産が追いつかないという状況は克服できていないのです。



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コメント (9)
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