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絡み合う人間模様が見事!『震度0』by横山秀夫

2020年05月04日 | 小説レビュー
 
~阪神大震災の前日、N県警警務課長・不破義仁が姿を消した。
県警の内部事情に通じ、人望も厚い不破が、なぜいなくなったのか?本部長をはじめ、キャリア組、準キャリア組、叩き上げ、それぞれの県警幹部たちの思惑が複雑に交差する…。
組織と個人の本質を鋭くえぐる本格警察サスペンス。
 
 
横山秀夫氏は、相変わらず緊張感溢れる物語を書いてくれますよね。
 
ストーリーとしては、まさに「本格警察サスペンス」で、警察組織の中の、登場人物全員が、自己保身と立身出世、そして、それぞれの妻達の思惑が絡み合い、最後まで緊張感を高めてくれます。
 
組織の中で仕事をしていると、身につまされることも多く感じられ、とてもリアル感に溢れる内容となっています。
 
日々、我々が当たり前のように信頼をおいて、府民市民の安心安全を守っくれている警察の方々って、みんながみんな、そういう訳でもないでしょうけど、立場が上になればなるほど、色々な思惑が絡み合い、ドロドロの泥沼に入り込んでいきます。
 
「どんな結末?」とハラハラしますが、最後には見事に昇華してくれます。
 
不破課長の謎の失踪というミステリー要素はあるものの、それよりも人間の内なる感情が見事に表現されていて、最高の緊張感を持って最後まで読み切ることができました。
 
人間を描かしたら本当に巧い作家さんですね。
 
★★★☆3.5です。
 
 

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