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「心ゆたかな暮らしを」  ~Shu’s Page

小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

渇いた現代社会の投影か『砂の女』by安部公房

2016年11月12日 | 小説レビュー
~砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。
考えつく限りの方法で脱出を試みる男。家を守るために、男を穴の中にひきとめておこうとする女。
そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、二人の生活を眺めるの人々。
ドキュメンタルな手法、サスペンスあふれる展開のなかに、人間存在の象徴的な姿を追求した書き下ろし長編。20数ヶ国語に翻訳された名作。「BOOK」データベースより


安部公房という作家さんの名前ぐらいは聞いたことがあるでしょう?『壁』とか有名ですよね?

そんな僕も安部公房作品は初めて読みました。

色んなレビューを読んでいると、「安部公房を読むなら最初に『砂の女』を」と書いてあります。

しかしまぁ、どこを読んでも「砂、砂、砂・・・砂」始めっから終わりまで砂だらけです(×_×)

口の中や身体中が砂にまみれているような錯覚に襲われるほど、作者の描写に引きずり込まれます。まさに蟻地獄にハマったような・・・。

ふとした不注意?から、砂の穴底で暮らすはめになった30歳過ぎの教師の物語です。

何とか脱出を試みようと、思い付く限りのあらゆる手段を講じますが、どれも叶わず・・・(´д`;)

もがけばもがくほど、深みにはまり、そしてとうとう砂底での生活に甘んじてしまいます。

まさに我々が暮らす日々、その環境も似ている部分もあるかもしれません。

「砂を噛むような日々」から、何とか抜け出そうとする主人公、まさに自由を渇望しながら、地上での生活を夢見ます。

そして最後には・・・。

人生、望んでも望んでも、叶わないことが沢山あり、どこかで折り合いを付け、小さな幸せを見つけて暮らしていくほかありません。

悲しくもあり、「これで良かったんかも・・・。」と思えるような結末でした。

★★★3つです。
コメント
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