旅と旅行

　ジムのロッカールームは、四方山話で盛り上がる。独断と偏見の織りなす微妙なバランスが面白い。そこには理路整然とした正解は存在しないので気楽である。

　昨日、城北公園の花菖蒲を見に行った話をすると紫陽花やナツツバキ（沙羅）など季節の花を愛でた話と話の輪が広がった。共通しているのは近場で済ませていること。

　コロナ禍の4年余りで「旅する心が失せてしまった」という声に、大半がうなづく。ある人は「そのことはストレスを軽減する自己防御である」と強調した。「旅の楽しさを忘れることも必要やったんやな」としみじみつぶやく。

　突然「ところで旅と旅行の違いって何かな？」とFさんが割り込んできた。一人旅と団体旅行、修学旅行を修学旅とは言わないように、同じような意味の「旅」と「旅行」を使い分けている。という話。

　Fさんは国語辞典を引いてみたらしい。すると
　　【旅行】・・・旅をすること。他の土地に出かけること。
　　【旅】・・・・住んでいる所を離れて一時的に他の土地に行くこと。旅行。
　とあったらしい。「何じゃこれ？違いが知りたいのに！」とつぶやいたという話に「Fさんらしい」と一同笑う。

　吉田拓郎の♪旅の宿♪が♪旅行の宿♪じゃ味も素っ気もないと言う人。「新婚旅行」は「新婚旅」になると明るさが消えるなあとかそれぞれ思いつくまま「旅」と「旅行」について語る。

　話はいつものごとく何となく終わり、それぞれのトレーニングへと向かったが、何となく「目的がはっきりしているのが旅行、はっきりした目的を持たず、個人的な気ままな要素が多いのが旅」というのではとみんなの話を聞いていて思った。

　ブログはやっぱり「素浪人旅日記」であって「素浪人旅行日記」じゃダメだよなと考えながらトレー二ングに励んだ。