二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

第29回 加賀・三策塾(合同学術研修会) 参加

2010年03月17日 | 鍼灸
何かと忙しいこの時期です。確定申告も終了し、少し落ち着いたところです。
有り難いことに、毎月、予定が目白押しです。また、患者さまも、気温が20度近くになったかと思ったら、同じ週内に雪が舞ったりと、春先は三寒四温と言われ天気の変化が激しい時期ですが、それを通りこして、激しすぎる気温変化が続いています。ですから皆様、体調がすぐれない人が多いですね。ということは当院も忙しいということなのでした~。

そんなこんなで、ブログはなかなか更新できまんが、時間と集中力のある時に一気にやるようにしています。

前置きはこのくらいにして、3月7日(日)に開催された、加賀・三策塾(合同学術研修会)の報告をしたいと思います。

日 時:平成22年3月7日(日) 午前10時~午後12時
場 所:石川県立盲学校
内 容:
 ・肢端紅痛症の一例
                   鍼灸なかだ治療院  中田和宏 先生

 ・『奥村三策の生涯と偉業』 ~奥村三策顕彰講演会~
                                松井 繁 先生  
 ・鍼灸・医療最新ニュース&書籍紹介



 症例報告の中田先生

前半の症例報告では、肢端紅痛症という聞き慣れない症候名の患者さま。この症候は、足の血管ノイローゼに例えられ、血管運動神経の障害により毛細血管が拡張したままとなり、皮膚が赤くなり痛むものです。鍼灸治療で奏功する症候であり積極的に治療を行うべきと書物にも書かれているものです。自律神経障害の一つですから、鍼灸治療が効くのですね。
この演題を見ただけで、「まだまだ知らないことがたくさんあるな」と、常に勉強、一生勉強しなきゃいかんなと思うのでした。

症例は、79歳の女性。両足趾の発赤と痛みが主訴。2年前に思い当たる原因がなく発症し、内科や整形外科を受診するも原因不明。雨が降ると痛み、歩行時に足裏痛、夕方になると両下肢が重だるくなったり、顔がほり足が冷えたりする。顔面、手掌、足趾、足裏の皮膚に発赤あり。糖尿病や高血圧、骨粗鬆症、高脂血症などの既往がある。今まで病気になったことがないくらい元気あったが、このような症状が長引き不安が重なり、ややうつ傾向にある。
足の趾間穴への鍼治療と、澤田流の経穴を使用して体力増強を期待しての太極療法を行ったところ、1ヶ月は痛みの改善がみられなかったが、夜間頻尿や便秘が改善され体調は良くなってきた。3ヶ月後(65診)には、痛み、発赤ともに消失し、皮膚も健康的なピンク色になってきた。うつ傾向の患者さまはドロップアウトしやすいが、痛みだけにとらわれず、全身に出ている症状(便秘や夜間頻尿など)を改善することで、信頼が得られ、治療を重ねることができた。継続して治療していくためにはモチベーションをあげることがポイントであり、慢性症状の消失につながることを考えさせられた症例報告でした。


 講演会の講師、松井先生




第二部の講演会は、鍼灸医学の近代化推進に絶大な力を及ぼした、金沢が生んだ鍼灸マッサージ師の大先輩である奥村三策先生の顕彰講演会が行われました。『奥村三策の生涯~近代鍼灸教育の父~』(森ノ宮医療学園出版部)を著された、松井 繁 先生にご講演して頂きました。
2歳で失明し、47歳でご逝去されるという短い人生でありながら後世まで名を残している奥村先生の生涯をパワーポイントにて辿りました。先生が師事した代々加賀藩筆頭藩医の御鍼立として前田家に仕えていた久保三柳、西洋医学では大井玄洞、東京医科大学学長の三宅 秀、あるいは、矢田部良吉、明治政府、初代文部大臣の森 有禮など、臨床や教育を行いながら、多くの人たちとの繋がりの中で、政府が行う漢方医学撲滅政策と真っ向から立ち向かい、鍼灸医学の存続と近代化のために信念と情熱を傾けた生涯は何かつき動かされるものを感じました。
また、時代のニーズに即した教科書編纂、奥村先生の教え子である富岡平吉が東大病院に、日本はおろか世界初の病院勤務マッサージ師として就職した話は、先生の強い信念を感じました。会場からは、奥村三策先生と同郷である私たちも誇りをもって努力し、鍼灸マっサージの良さを広めていきたいという意見もありました。この学術研修会の名称である。「加賀・三策塾」、この名に恥じないような鍼灸マッサージ師を目指していきたいものです。



その後、鍼灸業界の活動報告や学会のお知らせがあり、何冊かの書籍の紹介がありました。

自分で書籍から勉強することは大切なことです。しかし、このような講習会に参加し、新たな情報を得て、広い視点から医学や臨床を見つめ、患者さまにより良い鍼灸医療を受けて頂くことこそ医療を行うものにとっては必要不可欠なことだと思います。教科書では勉強できない生の情報や話が出てくるわけです。

これからさらに変化の激しい時代がやってきます。その時に来てから慌てても遅いのです。「今」の積み重ねこそ、未来の自分をつくっていくのです。早くそのような視点に立って勉強に励む鍼灸師が多く出てくることを願います。患者さまのためにも

私は名古屋の東洋医学研究所で10年間、勉強・修行させて頂き、勉強することが自然になっているようです。師匠の黒野先生には、「いい癖をつけて頂いた」と感謝しているしだいです。

しかし、患者さまのことを思えば、それが自然なわけであり、そうならなければ不自然なのですが…

さて、今回の講習会でも、日々の臨床に「心をこめる」ため、さらなる精進をと心新たにさせて頂きました。ありがとうございます 

二葉鍼灸療院 田中良和

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