最近白髭橋のカレーの炊き出しに来るようになった面白いおじさんがいる。
先週の土曜日は珍しく来なかったが、彼は口紅をいつも差してきていた。
その口紅の差し方も大胆で唇から大きくはみ出し差していた、彼いわく、大きく塗った方が綺麗に見えるとのことだったが、私は「少し大きすぎるね」とだけ微笑みながら伝えた。
彼は同じドヤに住む住人とあまりうまく行っていないらしく、彼独自の試行錯誤の上、神風の鉢巻きをした女の子のアニメのキャラクターを真似するようになり、この姿で戦うと言っていた。
何回か会った時に私は彼に「おじさんと呼べば良い?それともお姉さんと呼べば良い?」と聞くと、「お姉さんが良い」と言うので、それからは私は「神風のお姉さん」と彼、いや、彼女を呼ぶようになった。
彼女は炊き出しに原付バイクで来る、その容姿はとてもユニークである。
彼は散切り頭のような白髪交じりのヘアースタイルで少し紫色に髪を染め、メガネも二つ重ねていたこともあった。
私は彼女の話しにいつも魅了されてしまう。
彼女がどんな人生を生きて来たかなど、私は知る由もないが、彼女は彼女の人生を時に苦しみを乗り越えるために敵と戦い、防御もし、また楽しんでいるように思えた。
私も私の人生を楽しみたいといつも思っている、私の人生に私は微笑み、人生からの問いに丁寧に答えていきたいものである。
あなたもどうかあなたの人生を楽しんでほしい、辛いこともあるでしょうが、どんなに小さなことでも、他人から笑われるような形で構わない、あなたの人生です、あなたの人生に微笑み返してほしい。