カルカッタより愛を込めて・・・。

次のアピア40のライブは6月でしたがお休みします。

自由のために。

2008-02-28 19:25:13 | Weblog

 黄疸の出た彼をドクターでイギリス人のSrマイケルに診てもらった。

 A型肝炎で可能性が高いとのことだった。A型肝炎の検査はほとんどここではせず、ただB型である可能性のある者はそれを受けた方がいいとのことだった。そして、肝機能の状態を調べる血液検査を受け、そのデータを今、取っといた方がいいということで血液検査を受けた。

 シアルダーにある検査をする病院ではマザーのボランティアやマザーのボランティアが連れて来る患者は費用が半額になる。440Rsが220Rsになり、彼もほんとうに助かった。今日、結果を取りに行き、今夜、シスターにそのデータを診てもらい、ビタミン剤などの処方をしてもらうことになっている。

 自分はほっとしている。ここで他人に薬をあげるということやケアをすることにはほんとうに慎重にならなければならない。あらゆる可能性がありえるからだ。そして、近くの病院に行ったとしても、検査をしっかりしないと誤診をされてしまう可能性もありえるし、病気の原因がはっきりしないものまであるからだ。
 Srマイケルはもう何年もこのカルカッタで働いているドクターであり、シュシュババンのディスペンサリーでも何人もの患者達の症状を見てきている信頼できるドクターであり、すばらしいシスターだ。

 検査の結果が良いことをいろんなボランティアが望んでいてくれる。そう願っていてくれることが自分にとってほんとうに嬉しいことだ。今、彼の症状はとても安定している。食欲も出てきているし、このまま無理をせずにいてくれたら、もう心配はいらないだろう。

 昨日、しばらく会わなくなるボランティアを一緒に呑む予定でBarに入った。たばこを買うのを忘れていたので、買いに外へ出た。そこに一緒に駅をまわっているアイルランド人のミッキーと会った。一緒に呑もうと誘った。

 ミッキーはジプシーの家に生まれた。いつもバカみたいなことばかり言ったりやったりしては周りを笑わせたりしているとても明るくて良い奴だ。

 二時間ほど呑んで帰ろうとすると、もう一軒行こうと彼が誘った。アイルランド人はほんとうによく呑む。彼がよく言うのは二日酔いで会社を休むのはアイルランドでは普通のことらしい。そのくらい呑むことが好きらしい。ちなみに彼はそのとき、すでに登録のボランティアをすっぽかしていた。

 次の場所で一本ビールを飲んで、そして、その次は彼のホテルの屋上でまたビールを一本飲んだ。夕焼けがきれいだった。今回インドに来て、始めてそんなビールを飲んだ。

 屋上では心地よい風が吹き、空には鳥が大空を羽ばたいていた。それを眺めているだけ幸せな気分にもなった。

 そんな時、真面目な顔でミッキーが言った。
 「Tetsu、今日はありがとう。実は今日、メールでとても悲しいニュースを知ったんだ。親友が死んだ。彼はIRAのボランティアをしていて、その戦いのなかで撃たれて死んだ。そのニュースがあったから、今日は呑みたいと思っていたんだ」

 言葉が無くなった。嘘かホントかも疑ったが、彼の顔から、それは事実であることがありありと伝わった。
 亡くなった彼とは小さい頃からの親友であり、一緒に戦ったこともあったと言う。ミッキーはもう戦うことに疲れ、今はそこから放れたと言った。

 「自由のために戦う」それがゆえに命を無くして行く。その意味はどこから来て、どこで終えるのか?勝利の意味は。敗北の意味は。憎しみ、悲しみは無くなることが出来るのだろうか?許すその意味は生まれてくるのだろうか?

 愛の意味を自分は何度も問い直す。

 彼らは「自由のために戦っている」ミッキーは悲しそうに言う。大空を見上げながら、羽ばたく鳥たちを見上げながら、飛ぶ鳥を自由と照らし合わせながら。

 彼と一緒に呑めて良かったと思った。タバコを買いに外に出たことも偶然ではない。彼の言葉を聞くためだった。そう疑わない。

 今朝のミサで亡くなった彼の親友のことを思い祈った。そのことをミッキーに伝えた。とても喜んでくれた。

 亡くなったものはこの場には帰って来ない。しかし、形を変えて、自分達のそばにいてくれる。あり続けれてくれる。一緒に生き続けてくれる。

 自分はそう感じ、そう信じている。

 今日は駅で足のすねから蛆虫がかなり湧き出ている麻薬中毒者の患者がいた。とってもやせ細っていた。彼が治療の必要性を分かり、また明日、治療を受けに来てくれることを望んでいる。
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