昨日はもう死期のまじかの人と会った。
自分の口から出る言葉の一つひとつがどのようなものだったかを別れてから省みた。
十分に心しているつもりであるが、それは自分がそうしているだけ、ほんとうはどんなものなのだろうと空に問うように見上げた。
気が付けば、辺りは夕焼けの美しさが広がるだけであった。
「それで良いんだよ」と言われている気がした。
心はその美しい夕焼けと同化していった。
ふとあの奥さんのことを思い出した。いつも帰りには「ノモシカール」と自分が教えたベンガル語を言い、両手を合わせて見送ってくれたことを。
「それで良いんだよ」と言われている気がした。
紅葉を色濃く輝かせる夕焼けにあたたかく見守られている気がした。
「ノモシカール」と挨拶をした。