菊池のぶひろの議会だより

日本共産党 桜川市議会議員 菊池のぶひろの活動報告です

仙台高裁 福島原発事故生業訴訟判決要旨を読む(しんぶん赤旗版)

2020年10月02日 11時41分18秒 | 国政
昨日は、東京新聞の判決文を紹介したが、今日は、しんぶん赤旗の要旨を紹介したい。

 東京電力福島第一原発事故で、東電と国に損害賠償と原状回復をもとめた「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟で、国と東電に賠償を命じた仙台高裁判決の要旨は次の通り。

【東電の賠償責任】
 2002年8月に地震調査研究推進本部が公表した「長期評価」は、海溝型地震の発生可能性について長期的な確率評価を行なう国の公的機関によるもので、単なる専門家の論文とは性格や異議がことなる。
 東電は08年4月に長期評価を踏まえたシミュレーションを行ない、福島第一原発に最大15メートルの津波が到来するとの試算結果を得た。長期評価の公表後速やかに試算していれば、遅くとも02年末頃には津波の可能性を認識できたと言え、東電には津波到来の予見可能性があった。

 08年の試算に基づき防潮堤を設置しても津波を防ぎきれないという東電の主張は、事故を防ぎきれなかったことの立証には不十分で、東電が結果を回避できた可能性はあったと推認される。
 新たな知見に接した際の東電の行動は新たな防災対策を極力回避し、あきらかに先延ばしたいという思惑が目立つもので、義務違反の程度は軽微とは言えない。

【国の賠償責任】
 
 長期評価を公表した地震本部は文部科学省内に設置した組織で、評価は国の知見とすべきであり、経済産業相が東電に試算の開始を指示したり、自ら規制当局として試算したりしていれば、遅くとも02年末ごろまでには、10㍍を超える津波の可能性が認識できた。長期評価の信頼性をとがめる国の主張は採用できない。長期評価は相当程度に客観的かつ合理的根拠を有する科学的知見だったことは動かしがたい。
 
 経済産業相が技術基準適合命令を発していれば、防潮堤の設置とともに重要施設の水密化は検討の対象になったと思われる。これらの対策を実施していたら事故が不可避という立証は不十分で、結果回避可能性や因果関係はあると事実上確認される。

 旧原子力安全保安院が東電に長期評価についてヒアリングした対応は、反対の学者1人のみに問い合わせしたという東電の不誠実ともいえる報告を唯々諾々と受け入れており、規制当局に期待される役割を果たさなかった。

 すべての事情を総合的に考慮すると経産相が技術適合命令に係る規制権限を行使しなかったことは、遅くとも06年末には許容限度を逸脱し著しく合理性を欠いており、国家賠償法上違法となる。東電や国は、長期評価で試算すれば喫緊の対策措置を講じなければならなくなると認識しながら、影響(東電の経済的負担の大きさ)を恐れる余り試算や試算結果が公になることを避けようとしていたと認めざるを得ない。
 
 経産相の規制権限不行使は06年末には違法で、かつ経産相の過失や事故との因果関係も認められるから、国は賠償責任は免れない。
 原発の設置運営は国のエネルギー政策に深くかかわる問題で、国が推進を決め、設置の認可や許可を維持してきた。事故被害者との関係で国の立場が二次的、補完的だからといって責任の範囲を損害の一部に限定することは相当でない。東電と国は損害全体について賠償責任を負う。

 注)昨日と今日は、同じ裁判の判決要旨を紹介してきました。私は書く前は、ほぼ同じと考えてパソコンを打ち始めました。ところが、大きく異なっているのです。スペースの関係もありますが、今日の方(しんぶん赤旗)が、はるかに打ちやすい、つまりわかりやすいのです。
これは本当に勉強になりました。





 

 

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