20151007今日の一手
先月13日の名南将棋大会からTさんとEさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損です。持ち歩がないので後手の駒得です。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒はありません。
後手の攻め駒は75角42飛で2枚。
総合すれば後手が有利です。
大局観として
先手不利です。でもまだ中盤戦が始まったばかり。手番ですので挽回したいところです。
後手の75角が不安定ですね。先手はこの角をいじめて戦果をあげたいのです。多分角銀交換はできそうです。しかし、
駒得は味が悪いのです。味よく捕獲するのは難しいのです。形勢が悪いならなおさらです。頑張っても角銀交換にしかならないなら、無理をしないほうがいいかもしれません。後手の角を安定させるのは大変です。先手の46角が後手玉をにらんでいるのですから。
△ 実戦は76銀でした。
84角に86歩74歩
44銀は73角で角銀総交換になるだけです。先手の誤算でした。86歩では85銀から千日手にできました。
こうなれば77桂73角65桂しかないです。
55角同角64銀46角35歩
嫌なところを突かれました。先手玉が薄いので食いつかれたらまずいです。
35同角34銀44角同飛同歩55角
ここで38金が敗着に近く(実戦は終盤で一瞬の逆転チャンスがありました)、両取り逃げるべからずで31飛ならまだ勝負です。
37の桂馬より99の香車のほうが価値が高いのです。
△ 66銀引が形がよいです。
64角55銀75角は千日手。
84角は48飛として
これなら後手から手を出すところがありません。先手はゆっくり58金右として、76銀から75銀右といけば少し味よく駒得できます。駒得といっても角と銀歩の交換ですからあわてずに。
× 同じようでも66銀上は84角で空振り。
○ 25歩は自然ですが怖い手です。
後手は歩得なので収めたくても角が安定しないのです。44歩から動きます。同歩同銀同銀同飛45歩。
54飛なら55銀74飛58金右
先手は局面を落ち着かせてから24歩を狙えばよいです。持ち歩があれば駒損ではありません。
58金右で24歩は47銀がうるさいので注意です。
26飛35歩同角34飛というのは後手のペース。
戻って、45歩に42飛なら58金右として47銀を消しておきます。
33桂には56銀と投入します。
64角同角同歩47金
しっかり受ければ24歩が残ります。
○ 58金右のほうが手堅いです。
44歩から銀交換は押さえてから25歩とすれば前の変化に戻ります。焦って角を追わないほうがいいです。
つまり、44歩同歩同銀45歩42飛に76銀64角55銀のような変化にしないこと。
35歩64銀同歩35角32飛
47金に27銀
58飛49銀59飛38銀引不成
46金47歩58金35飛同金48角
こんなのが一例です。
駒得に目がくらんではいけません。
○ 一番手堅いのは48飛です。
後手からの攻め筋は44歩しかないとみた受けです。
すぐに44歩は73角成から飛車を抜けますね。
84歩58金右を入れてから44歩
44同歩同銀同飛に
73角成同角44飛43歩
飛車が成れずに37桂を取られるのは、後手玉が堅ければだめです。
戻って、73角成ではなく85銀がにくい手。
75角には74歩が気持ちいい手。
46飛同飛64角は41飛成
これなら勝てそうです。
戻って64角同角48飛成
ここで73角成が好手。同銀48金64銀41飛
これで先手有利です。
25歩、58金右、48飛、どれも後手からの攻めは少し無理でした。後手は角が安定しないので持久戦にしにくい、ということに気が付けば受けて十分なのです。ただし25歩は先に攻めの手なので少し怖いです。58金右を勧めます。読みに自信があれば48飛でも素抜きの筋で大丈夫と気が付けたかも。
私の好みは66銀引です。中盤の千日手は気にしません。玉が堅くなるので一番手堅いです。
駒得も好きな方ですが、散々痛い目にあっているので、だんだん気にならなくなってきました。
現代将棋は駒の損得を気にしない傾向があります。駒の損得よりスピードです。同時に玉の堅さを重視するようになっています。
ですから形勢判断の方法を改良してあります。