名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

一局の将棋一回の人生

2015-10-16 | 将棋本 断捨離
一局の将棋 一回の人生 (新潮文庫)
1994年出版、河口先生の本です。元の単行本は1990年出版です。その元の小説新潮では1988年から。

新人類の鬼譜
羽生世代が若いころは新人類と呼ばれていました、旧世代も紹介して、新しい感覚を持った集団が入ってきたんだ、という当時の将棋界の様子がわかります。若いころの写真が目を引きますね。
運命の棋譜
これは図面入りで対局室の風景が見えます。
待ったをしたい棋譜
プロのぽかを集めたもの。

小説新潮のエッセイなので、あまり難しい解説ではないです。新潮文庫なので古本でも見つけやすいでしょう。息抜きに読んでみると面白いです。
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20151016今日の一手<その178>;形勢が悪い時は変化球を考える。

2015-10-16 | 今日の一手
20151016今日の一手

先月13日の名南将棋大会からAさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。










昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は77角1枚。
後手の攻め駒が34飛13角45銀で3枚。46歩の存在も大きいです。
総合すれば後手が有利です。

問題図の少し前、後手からの45歩に同歩が悪手です。46歩のくさびが入ってしまいました。
取らずに35歩です。

46歩なら同金で

後手から攻めようがありません。
35同角同銀同飛44角打

これも楽勝です。

本来は石田流に矢倉で対抗すれば35歩や36銀の筋がありますし、上部に厚いので受けやすいのです。(菅井流の攻め方も対抗策が出たようですし。)

大局観として
問題図で

ここでは68飛が角筋に入って攻撃目標になっていますし、68玉は囲いの外、46歩と抑えられて打ち込みがあり、37金は桂馬の筋に入る、と悪条件が重なっています。受けきれる自信はありません。
ともかくは駒得なんて狙わずに、33桂だけはさばかれないように受けるしかありません。
駒得は味が悪いです。形勢が悪い時に意識したら駄目です。でも駒損で受けるだけでは望みがないので、損失は抑えなければいけません。
4枚の攻めは切れないです。33桂をはねられないようにだけは意識しましょう。


× まず、45同銀が本来は自然な手なのですが、これは考えてはいけません。45同桂で後手の攻め駒が4枚。

35銀54飛55銀と必死の受けですが

35角同歩56銀

56同歩57銀59玉37桂成同桂47金

こんな調子でしょうか。すぐに負けます。


× 実戦は35歩で、これが普通な気はします。

35同角同飛26角34飛35歩

角銀交換ですが、変なところに角を打たねばなりません。
74飛33角成56銀同歩76飛

銀銀歩歩と角桂の交換、駒得とは言えないですし、歩切れで受けにくいです。
77馬56飛57銀59銀

これで後手が優勢になりました。57銀が悪手で、58銀なら難しかったと思います。

戻って、後手は35歩に同角だったのですが、56銀が正着。

飛車は取り切れませんね。56同歩に45桂

これも58銀と受けるしかなく、35飛。

後手陣は飛車を渡しても問題がありません。
35同銀同角で受け駒がないので88飛くらい。47銀と打ちこまれます。

47同銀同歩成同金上79角成

これは後手が楽に勝てますね。
35歩では45桂を防げませんでした。


× 35銀も35歩とだいたい同じですが。

35同飛同歩36歩も見えます。

26金56銀同歩45桂58銀37銀

37同桂同歩成同金59銀

59同玉37桂成48歩

この変化は受けきれます。36歩で金がそっぽに行ったようでも35歩の支えになって13角が働かないのです。
35銀は勝負手で、35同飛同歩36歩を誘った、ともいえます。やってもらえばいいのですが。56銀同歩45桂となれば35歩の変化に合流することになります。


△ 33角成は変化球。

33同飛45銀なら

先手もそんなに悪くないでしょう。

33角成にも56銀で

34馬は57銀成同玉47歩成

47同玉68角成で受け方は難しいです。

34馬が89桂にひもをつけているので桂得はキープできます。54飛や57飛や46歩や57銀があって、全部受けられないので39金から玉の移動が最善でしょうか。
39金54飛35歩

危ない形ですが一応互角、問題図が悪かったことを考えれば有力候補です。


△ 55銀がかわしの手筋。

たまに角換わり腰掛銀で出てきます。攻める方はうっかりしやすいです。(私だけかも)
36飛は35歩でぱっとしないので、36銀にそれでも35歩。

37銀成同金47金

47同金同歩成同玉35角

35同銀同飛36銀

36歩では歩切れなので45飛46銀43飛の後が困ります。後手は飛車を逃げるわけにはいかず、
35同飛同玉45銀47玉46歩58玉

大駒を両方切ってしまったので後手の攻めは遅くなりました。33桂もそのまま。
受けきりとは言えませんが、逆転しているかもしれません。

ぱっとしないと書きましたが、36飛のほうが難しいです。取ったら受けきれないので35歩しかなくて

37飛成同金36金で食いつかれます。

33銀成37金同玉36金(33銀成ではなく21飛から11飛成が良いのかも)

28玉47歩成41飛

これで先手玉を寄せきれるか、先手は上部開拓して入玉できるかの勝負です。


× 67銀とかわしたら角筋が通っていて得だと思うかもしれません。

36銀35歩

37銀成同金47金同金同歩成同玉35角

35同銀同飛36銀に46歩

先ほどは67の銀が55にあったので、この歩は成立しませんでした。
46同玉45金同銀同飛

これで49飛成とできますね。失敗です。


形勢が悪い時は、自然な手でよいとは言えません。45同銀や35歩が自然な手ですがだめでした。
形勢が悪ければ基本的には読まなくてはいけません。時間がないなどの理由で感覚で選ぶなら、
35銀や67銀は一応考えても結局だめそうな手です。35歩や55銀のほうが、より有力だから。
33角成や55銀がこういう場合に考える手です。少し変化球を投げている感じ。相手のいうことは聞きませんよ、という手です。なるべく読みを入れて、33桂を働かせないことが選択の条件です。


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